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資本主義社会の本質について

ツイッターに過去に投稿した内容の再掲載です

ハーバードの卒業生の就職先

子供によい教育機会を与えるメリットの一つに、将来の選択肢の幅を広げることが挙げられる。選択肢の中には知的好奇心を刺激する専門職や高給与の職種なども含まれる。ハーバードのClass of 2022のサーベイによると、回答者の58%が卒業後コンサル、金融、テクノロジーの三セクターで就職するそうだ。知的好奇心を刺激する仕事というのは誰にでもできるわけではなく、大方は雇用主から高度な教育やスキル、関連する経験などを要求され、人材の需要と供給がタイトであれば高給が得られる場合が多い。上記のハーバード卒業生達の就職先からも、優秀な若い人材が貪欲に活躍できる機会を探し求めている事が読み取れるだろう。

資本主義社会の本質

現在の先進国は資本主義国家であり、一見すると自由に見えるが参加者達は大きく「資本家階級」と「労働者階級」に分ける事ができる。両者の詳細な説明についてはこちらを参照。

資本主義社会とは….

資本の蓄積のために生産が行われている社会であり、資本家階級と労働者階級という二大階級の対立のなかで、前者が支配している社会である。資本主義社会は、階級社会であるという点では、奴隷制社会、封建制社会と同じである

[河村 望]

『K・マルクス著、向坂逸郎訳『資本論』全9冊(岩波文庫)』▽『K・マルクス著、城塚登・田中吉六訳『経済学・哲学草稿』(岩波文庫)』

一部の実家が太い層以外は、大学卒業後に「労働者階級」の一員として社会人生活をスタートする。労働力の質に差はあるが、乱暴な言い方をするとパートタイマーでも前述のコンサル、金融、テクノロジーセクターで働くエリートサラリーマンでも時間を売って収入を得る「労働者」という意味では同じ層に属する。資本を持たない労働者の役目は、労働力(時間やスキル)を資本家階級に提供し対価として賃金を得て、消費を通し資本主義社会を支えている。米国のGDPの7割弱を個人消費が支えており、その中での労働者階級の存在感は大きい。資本家層が保有する資本(≈企業やアセット)の収入の一部は賃金として労働者に支払われるが、賃金には相場や上限があり企業の利益とともに空天井で伸びるわけではない。企業の収入がコストを上回り利益が発生した場合、利益のほとんどは資本家の懐に入る。資本家は蓄積した資本を事業、不動産、株式など様々なアセットに再投資し、労働者階級の労力を使用しリターンを得るというサイクルを繰り返す。自由経済はこうして回っている。資本主義では万能ではないが、それ以外の仕組み(社会主義など)よりはマシというのが、多くの先進国が歴史から学んだ教訓です。

資本階級層が受ける恩恵


なぜ資本階級になるといいのか理由は単純で、資本主義社会のルールが労働階級者より資本家層に相対的に有利にできており、資本家層は資本棄損リスクなどを取る必要があるとはいえ、国家と経済がうまく回ると中長期的には潤うルールになっている。資本家層がリターンを得られるようなインセンティブ(規制や税率)を設定し、彼らに資本を投資してもらうことにより経済を上手く回していくというのが多くの国家が行っている経済政策といった方が正しいかもしれない。

資本主義の攻略法

資本主義社会で成功するにはどうすればよいのか?

一言でいうと支配階級である資本家層の仲間入りをする事である。その層に早く到達すればするほど、経済的自由という意味での成功が得られ、労働による拘束時間も減らすことができる(経済的自由=幸福というわけではないことに注意)。

資本から得るリターンが労働収入を上回る、もしくはそれだけで生活できるようになると資本家階級の仲間入りと言える。エリートサラリーマンとして成功しても、課税所得が4000万を超えた辺りから合計55%課税されるようになり、頑張って働いてもそれ以降は手取りの効率が悪くなる。その点、株の利益にかかる税金は20%、不動産やその他資産は法人化して保有すると節税効果を得られるなど、賃金以外の収入であればより大きな金額を稼いでも所得税より低い税率が適用されたり、費用計上できる場合が多い。同じ時間をかけるにしても賃金以外で得られる収入の方が手取りが多く、また賃金以外の収入は労働時間と比例しない事も多く効率がよい(家賃、配当、キャピタルゲイン等)。

具体的な例として個人ができることとその恩恵の例

  1. 起業(節税、レバレッジ使用、キャピタルゲイン(低税率)などの恩恵がある)

  2. 株式投資(配当やキャピタルゲインなどで節税や税金支払いの繰延の恩恵)

  3. 不動産投資(法人化で節税、レバレッジ使用の恩恵)

起業するのはアイディアや資金調達力、資金調達、リーダーシップやリスクアパタイト、従業員とその家族を支える責任等色々な要素が必要であり、スキルの他に性格などで向き不向きがあるだろう。

株式投資はある程度小さく始められ、サラリーマンとして働きながら行う事ができる資本家になるための一歩である。不動産投資は株式投資のように数万円から始めることはできないが、銀行の借入を利用したり、法人化したりと節税やレバレッジの恩恵を受けることができる。

上記のような資本家の真似事を始めるのは簡単だが、明らかな効果が現れるまでには忍耐が必要である。個人でゼロから始める場合、若くから(特に独身時代)できるだけ節約し、給料の多くを資本として活用しリスクテイクを学び、資本の蓄積と共に、更なるリスクテイクを長期で行い複利効果を得る。これを長期で行う事が非常に重要。

投資経験の無い高校生や大学生には三菱サラリーマンさん著書をおすすめする。サラリーマンとしての賃金と株式投資で経済的自由を達成するコンセプトが分かりやすく、実例と共に説明されている。

最後に

  • この記事では資本主義社会で上手く生き抜く事が個人の幸せにつながると主張しているわけではありません。資本主義社会の本質とルールを説明することを目的に記事を書きました。

  • 資本主義は万能ではありません。多くの先進国は社会主義(共産主義)よりましなのでこの仕組みを採用していますが、法律や規制、社会保障制度、その他政府の支援等を通して社会的弱者の救済や経済的格差の是正を行う努力をしています。

  • 歴史的には労働者階級による革命で支配階級が没落するという事があり、今後も両者の差があまりにも広がるとなんらかの修正の力が働く可能性があります。


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