安野貴博は地方分散を訴えてないから石丸伸二より視野が狭いという見解について思うこと

タイトルの言説が流れてくるので書きたくなりました。それだけです。

備考:石丸さんの一次ソースは安野さんと石丸さんのNewspicks対談の無料分しか見ていません。残りは石丸支持者の発信から拾える範囲は拾ったつもりです。

結論から言うと、石丸さんの指揮する東京で地方分散では少子化は止められず、都の弱体化に見合う成果が得られず、全体の国力が下がるだけだな、というのが私の印象でした。

  1. 石丸さん、かなり見えているものが局所的でしかなさそう

  2. 地方分散と婚姻数上昇の因果関係を明確にした方が良さそう

  3. どういう意見だったら私は受け入れられていたのだろう

について考えをまとめていきたいなと思います。


石丸さん、かなり見えているものが局所的でしかなさそう

シリコンバレーとニューヨークを日本でも作りたい石丸さんの意見は無論できたら素晴らしいのは大前提の上です。
いや、(地方分散を)東京大学を地方に移転させれば(できる)ってどんだけ東京に愛着ないの?という印象が真っ先にきたので、ここから話を展開していきたいと思います。
今の旧帝大等は人口流出の歯止めとなしていない、という根拠があるようですが、それには大きな違和感があります。東京大学は首都にあるからこそその学力を保ってきた側面もあると思います。また例えに出されていたシリコンバレー内にあるスタンフォード大学よりもマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学の2校が評価を上回っていながら2つの都市が機能しています。

日本国内で京大が就職に不自由することもないので、前提が間違っているとしか思えません。
またアメリカにおいて多くの移民を受け入れており、移民は一般的に出生率が高い傾向があります。特にヒスパニック系移民の出生率が高く、これが全体の出生率を押し上げていること、世帯収入が低い層での出生率が高いことが知られていることも丁重に見ていかないといけないと思います。これは地方分散での経済成長での少子化とは相反しているといえないでしょうか。

https://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/18529307.pdf

アメリカはどの側面から見ても石丸さんの意見と相反する国だと私は思います。

また東大よりも良い大学が日本にはあります。
沖縄科学技術大学院大学(OIST)という、質の高い論文ランキングにおいて東大を抜いて9位になった大学です。沖縄全体では出生率では1位、人口が2021年まで増加していた事実があります。沖縄では東大よりも琉球大の方がもてはやされる風潮があったりと石丸さんの意見からは外れ値となっています。
もし地方分散をこれからも訴えていくのであれば、必ず答弁を避けては通れない県だと思うのですが、少なくとも無料対談分でここに視野があるようには見えませんでした。

さらに地方分散と経済創出のみで成功した先行事例はないです。
南アフリカは首都が三つあることから元から分散していますが、1980年代に4.78あった出生率が下がり続け、2.37となっていますが、南アフリカの平均賃金は、過去数年間で緩やかな増加傾向にあります。
フランス、スウェーデンでは地方分散も行って出生率を上げましたが、少子化対策のみに焦点を当てた記事においてはそれは触れられておらず、むしろ石丸さんが「対症療法は意味がない」とした現物給付などが大きく関与していたことが述べられています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/73/3/73_322/_pdf

地方に帰ったら子供は果たして生まれるのでしょうか?そもそも社会全体での「推し活(推しで十分だからパートナーはいらない)」「一人で生きていける女性」といった流れを崩してまで、婚姻数を確保できる確証が何処にあるのでしょうか?また0.99という数字に引きずられてはないでしょうか?東京の出生率は43位でそれ以下のこともあること、東京の都心3区(千代田区・港区・中央区)に限定すると、平均出生率は41.7で、沖縄に次ぐ2位にランクしています。

さらに1990年以降のデータでは、人口密度が高いほど出生率が高くなると関係が観察されたり、日本全体の出生率低下の要因を分析すると、地方分散の効果は限定的であり、全国的な出生率低下のトレンドが主な要因であるという考察も述べられています。

平均年収が最低の沖縄が出生率最高で、東京の次に年収が高く、同じく雇用が安定しており、過密がそこまで問題視されていない神奈川が示唆するのは、地方に行くことそれ自体が子供を産みやすくするわけではなく、子育て施策を雇用の金額に問題点を置くのは、石丸さんが現在の子育て施策が結果を出していないという結果に引きずられていることだと私は思えてなりません。

地方分散と出産上昇の因果関係を明確にした方が良さそう

1990年以降のデータでは、人口密度が高いほど出生率が高くなると関係の裏付けのように、東京は唯一、婚姻率が6.0以上を維持している都道府県で、2000年以降、20年以上にわたって婚姻率全国1位を維持しています。(2位が沖縄)結婚していない、というのは誤りです。
これには結婚適齢期の人口が常に補充されるからと言われていますが、東京での晩婚化は顕著で、来た人が戻っていってもその時にパートナーはおらず、東京より人口の少ないところで相手を見つける必要があります。東京を弱体化させた遺恨がどの自治体でも婚姻数強いては出生率にも関与していく可能性はないでしょうか?

既に日本国内にある特区として、自動車産業で有名な愛知があると思います。
令和4年賃金構造基本統計調査によると、愛知県の平均年収は519万2,800円で、全国平均の496万5,700円を上回っていますが、2023年の愛知県の合計特殊出生率は全国平均は上回りますが、1.29と同年の沖縄の1.60に大差をつけられています。

特区がないからこそ家賃の安さが実現できていることも懸念点としてあると思います。TSMC(台湾積体電路製造)が熊本県菊陽町に新工場を建設することが発表されて以来、周辺地域の賃貸物件の賃料が急上昇しています。2021年の進出発表時点での平均賃料は5.40万円でしたが、2023年第3四半期には7.43万円に達し、約37.5%の上昇を記録し、元々住んでいた人住めなくなった事例があります。九州のダム機能を果たし、九州内で最も年収の高い福岡県で唯一出生率が1.3を下回ってることからも、多極分散によるデメリットを裏付けていると思います。


地方でなぜ子供が生まれるかにおいて、地方では親と同居または近居する家庭が多かったり村全体が知り合いだったりという結果、子育てに対するサポートが得やすい環境があるからだと思います。
そして年収それ自体より、手取りで十分に子供を育てられる環境か否かを因果関係においた方が自然なのではないでしょうか?
目的関数または見えてないものの多い人間が振るった政策が良い東京を作れるか?私はやはり今の彼には大きくNOと突きつけたいなと思います。

一都民としてどのような意見でなら私は地方分散が納得できたのか


東京の無駄な人手が起きている箇所で、移住者への補助金制度を増やしたり、AIに置き換えれるところは置き換えて東京の力を維持しつつ、東京以上の強力な子育て支援、助け合いをプラットフォームでも行えるようにして全体の子供を生み育てやすくする方面、地方に移住する際の魅力が不足している場合、移住後定着しないことも問題だと思います。であれば地元に愛着のある人を増やしていく、地方に有力な大学、会社を国内外から誘致し母数を増やし、魅力をあげそもそも東京に行かなくても暮らしやすい環境を整える方面での地方分散というのが現時点では一番無難かなと考えています。

安野さんの政策の方が私には優れていると思う理由として、課題を細かく分離し、穴を無くしているからです。
健康寿命の世界一が実現ができれば、人数を大幅に増加させなくとも働き手が増え、より経済が発展していきます。
高校の時点で大学の単位が取れるようにする政策は優秀な人の社会人進出を早め、経済発展、個人の出会いの増加や若いうちからの収入を得ることによる晩婚を食い止める効果も見込めると思います。
性病の問題を単に女性側のみに置かなかったのも良いと思います。男性側からの感染を防ぐための政策としてHPVワクチンを無償化したことによる不妊原因を減らすことにつながります。
子供を産まないネックとして子供をそもそも持てない人のための不妊治療への施策、現在の小池知事のU18サポートは残しつつ、家賃の割引拡大、塾代の助成などにも意欲を出し、子育て世代がより2人目3人目を育てやすくしています。
少子化対策の一言にしていないこと、海外の事例だけでなく伊藤忠の事例を持ち出していること、これまで参照した記事でボトルネックとなっていると指摘された点はほとんど網羅しているように見えます。
全てを包括してみて視野が狭いとはとても思えません。

地方分散自体が悪いのではなく、少子化対策として多極分散を訴えるからおかしいことになるのではないでしょうか。地方分散には災害時のリスクを減らす、特区による経済発展などの側面はきちんと取り入れていくべきだとも思います。また彼が訴えてきた地方分散は、せっかく子育て支援を頑張っても成果を出したら地方交付金が減っていく、そもそもお金が足りないから子育て支援が思うようにできないという現状が東京への怒りに変換したもののように思えてなりません。
石丸さんは全自治体が残る必要はなく、結果的に統合、廃合があることについてはよしとしているというふうにお見受けしました。であれば逆に地方で一極集中と選択をしていくことも案として考えられるのではないでしょうか。私の案はどちらかというと国政の話なのですが、各地方の一部に地方交付金の分配比率を集中させていく、たとえば北海道、宮城、愛知、大阪、熊本、那覇を生かしそれぞれを東京とは異なる産業の特殊特区化していき、その隣接市に独身世代への支援が手厚い市、それとは別に子育て支援に支援の手厚い市を置き、残りを老後のんびりと過ごしやすい街にかえてしまう。地方内で流れが完結し、特区の仕事の従事者は地方以外からも人が流れ込んでいき補充されていく、経済を活発化させるのと、子育て支援を自治体に負担かけずに実行することを同時に行なっていく。この意見では、インフラを今のままで十分なのか、バンガロールの失敗例のように終わるのではないか、都度整備しないといけないのではないか/東京への怒りが特区に選ばれた地方に移転するだけでそれぞれの良さを潰す可能性があるのではないか/人的資源は地方からの流入だけで足りるのかといった課題は残りますが、東京は特区での雇用からは外れた人たちと、元から住んでいる人たちでどんどん強くなってもらうといった方面が考えられます。実現可能性は低いですが、東京からの人口流出をしなくとも石丸さんのしたい多極分散は可能であると考えます。ゆえに人を動かしたいのであれば地方分散のどこにメリットを感じ、どのように行うかは丁重に議論すべきだと思います。

まとめ

石丸さんには今の政治が「効果がない」のではなく「足りていない」可能性を見つめ直さないといけないと思います。国内外の事例を見ると石丸さんの意見には穴が多く、地方の良さまで潰しかねないと捉えています。
安野さんの政策は、課題を細分化し、具体的な対策を講じている点で優れています。健康寿命の延伸、若年層の社会進出促進、不妊治療支援など、多岐にわたる対策が少子化対策としても経済成長にしても効果的であると思います。
当たり前ですが効果のない政策は打たない方が合理的です。これらの意見は「対症療法ではなく根本療法」を訴える石丸さんのもとでは拒否されるものが出てくると思います。それでは安野都政下で生まれてたかもしれない子供を奪うことになります。この意見は必ず変える必要があると思います。
根本療法として、給与を上げることだけでは足りないことはこれまで述べきったことであり、地方分散策としてリモワを推進することは、人の出会いを減らすことであり、出生率低下に繋がります。ご本人のおっしゃる通り、行ったとしても地方分散に少子化対策のメリットはありません。地方への人口増が生み出すことは地方の家賃高であり、それについていけるだけの経済圏が地方にないと東京地方共倒れします。地方に無理やり人を移動させても、優秀な人は優秀な会社に引き抜かれる可能性がある以上、もう一歩踏み込む必要があるでしょう。
子育て支援は少ないところで集中させた方が合理的であるとされる中、地方の良さを潰しかねないのが多極分散であり、もう一段階具体案を深くしていかないと審議にすらならないと思います。
港区は都の交付税を受け取っておらず、地方交付税と他の都内市区町村の二重にばら撒いてる状態ですが、彼らの子育ての対症療法政策、及び青山学院大学、慶應大学に代表される充実した教育環境によって一時的に日本全体の出生率を超え、都内一位の出生率でした。
自治体が他所にばら撒き続けていても、県外からの流入が少なくとも、港区はこれからも成長していきますし、人口は増加していくのです。
だからこそ一極集中の方が合理的と見る人が視野が狭いとは言えず、安野夫妻はいずれも東京市部に住んだことがありながら地方分散の意見にはならないことからみても、一極集中のデメリットと地方分散のメリットを整理して、東京と地方を両方のメリットが高い政策を打ち出さないとここの意見は平行線になるだけであり、それが引き起こすのは今のままの一極集中です。
ゆえに石丸伸二さんは「今のままではいけない」でも「これをすることによる少子化は食い止められません」と言い切ってしまってはいけず、非現実的であっても両方を強くする多極分散の可能性を模索し続けないといけないのです。
たとえば一極集中において東京の晩婚化は食い止めきれず、それによる出産率の低下も問題です。
どこを取捨選択し、折り合いをつけるのかを一極集中を訴える小池、安野、地方分散を訴える石丸、どこかの市長のような構図で議論してみると面白いのではないでしょうか。

以上。

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