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花様年華〜19-1. save Yoongi

19-1. save Yoongi

ねぇジン。
問題をひとつ解決するごとに笑顔が増えてくジンを見て、私は...
本当は喜ぶべきなんだよね。


隠し切れない達成感がジンから溢れ出す。
6回目のタイムリープでユンギを火の海から救ったからだ。

4、5回目と、事故前にユンギと出会える手応えがなかったようでジンはかなり意気消沈していた。
しかし、ナムジュン、ジョングクに加えて、6回目のタイムリープ中にテヒョンと再会、協力し、ジンの覚醒直前にユンギを探し出せたようだ。

『結局、ユンギが火をつけるまでに探し出すことはできなくて...ユンギは大火傷を負って、かなり長期間の入院が必要になったし、僕が現在に戻ってくるまではICUで眠ったままだった。それでも...ユンギに会えたんだ、やっと』

今回のタイムリープで救ったユンギについて、過去ではホテルの一室で火事が起き、その部屋のあるフロアが全焼した、とあった。
消防と警察の調べによると、ホテルの部屋と廊下の火災報知器が損壊されており、恐らく自らオイルを撒き火を放ち、命を絶ったとされていた。

しかし、現在にてその事故を調べると、確かに火事が起きたところまでは一致しているが、匿名による消防への通報が早く、ユンギは室内で倒れているところを救出された。全身に火傷を負い、一酸化炭素中毒の症状もあったが、幸い命は助かり、集中治療室で手当を受けている、となっている。

残念ながら、私の方ではこの後のユンギの足取りは掴めていない。

きっと、ジンはもうすぐ知ることになるんだろうな...

レポートにも事細かに当時の鬼気迫る救出劇が描写されており、読み手も自然と力が入るような展開だった。

ユンギを救うため飛び込んだ火の中でジンも火傷を負い、現在のジンの体にも勲章のように刻まれている。

ちなみにテヒョンだが、再会は果たせたものの、彼を取り巻く問題について解決には至っておらず、また次回以降のタイムリープへ持ち越しとのことだった。

...うまくいきすぎてない...?
こんな短期間にどんどんストーリーが展開されて、未来である現在が変わってきている。

私はまだ、心の中の黒い影を追い払うことができていなかった。

そして、ほとんどのタイムリープ被験者が言い出すであろう恐れていたことが現実に起こった。
残り5回に迫った臨床試験に対して、ジンに焦りが見え始めたのだ。

『ヌナ。あと5回のタイムリープで3人を助けるには時間が足りないと思うんだ。ナムジュンと会って救えた1回目は奇跡みたいなもので、ジョングクやユンギには僕の予想より時間がかかった。テヒョンにも会えたけどあいつの問題は相当厄介だし、ホソクとジミンに関してはまだ何も掴めていないんだ』

やっぱり。
6人みんなを救おうとしてる。

1人でいいから会いたい。
会って、ごめんとありがとうを伝えたい。

ジンはそう言ってタイムリープの臨床試験に臨んだはずだったのに。

欲張りすぎだよ、ジン。
そんなの無理だよ。 

『試験の半分で4人の仲間と会えたなんて正直、奇跡以上の何ものでもないよ。しかもその人たちの現在は好転してる。ジンもケガはしたけど元気なのが幸いだよ。試験はまだ半分ある。ゆっくりいこうよ?』

できるだけ冷静に、諭すように穏やかに話そうと心掛ける。
でも、仲間に会えたことでヒートアップしたジンの想いは勢いを増すばかりだ。

『ダメだよ、あと半分しかない!あと半分でテヒョンとホソク、ジミンの3人を救わなきゃいけない!時間が足りないよ!ヌナ、試験時間を48時間から延ばしてもらうことはできないの?』

ジンは珍しく興奮している。

ダメだ、真っ向から話せばきっとケンカになる。

私は。
私だけは落ち着いていなきゃ。
今のジンの先走った考えをまともに受け止めちゃダメだ。

『ジン、焦らないで。何度も説明してるよね?被験者の過去での無理な行動で、現在にどんなトラブルが起きてしまうか。それを全て分かった上で、受け入れると覚悟の上で言ってるの?』

ジンは不貞腐れたように視線を泳がせ、黙り込んでしまった。
私の言葉がきっと、冷たく鋭くジンの胸に刺さったのだろう。

いい。
それでいいんだ。 

つづく→

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