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花様年華〜17-2.

17-2.
→つづき

2回目のタイムリープ臨床試験の日がやってきた。

1回目の時とは人が変わったようにリラックスし、確実に何か手応えを感じているような表情のジンを見ていると、本当に過去から帰ってくるのか不安になる。

もちろん絶対帰ってくるし、帰ってきてくれなきゃ困るっ...

『被験者No.613、キム•ソクジンさん。これから2回目の臨床試験を開始します』

『ヌナ』

差し出された手を握り、ジンの温かさを感じる。
たった48時間よ。
ジンは必ずここへ、私の元へ戻ってくるんだから。

『気をつけてね、ジン』

ジンは小さく頷き、瞼を閉じた。

睡眠導入剤を吸入させ、意識を切り離す。
意識は無事、過去に到達し、正常化に一時間とかからなかった。

「彼、きっと頭がいいんだな。もうタイムリープのコツを掴んでるみたいだ」

いくら臨床試験をこなしても、実際にタイムリープを経験したことない私には分からない話だ。

所外の人に対して臨床試験を始める前に、「臨床試験の試験」として東条先輩は何度かタイムリープを経験している。

タイムリープの、いわゆるコツというのは回数の問題ではなく、いかに過去へ意識を集中させ、それを持続できるか、ということらしい。

過去に強い気持ちがあるからこそ、過去の自分とも意識を同化できる。

何百回と、東条先輩から話は聞いている。
頭では分かっていても、私は何となく心が追い付かない。

私は執着したくなるほど魅力的な人生を送ってこなかったんだな。

今が。
ジンといる今が本当に一番輝いていて失いたくない瞬間だから。


そういえば東条先輩はどんな過去のためにタイムリープしたんだろ。
いくら試験でも、過去に何もないのにできないと思うんだけど。



『今回はリミットギリギリの48時間でいってみよう。ただ危うそうな値が検出されればすぐに覚醒させる。言ってもまだ2回目だ。被験者にも焦ってほしくないしな』

東条先輩...
なんだか私の心を見透かしてる感じがする。

そうだよ、まだ2回目だよ?
焦って慌てて、もし向こうで怪我でもしたら大変だよ。


私の部屋にはジンが手作りしてくれた「婚約証明書」が飾られている。

タイムリープ臨床試験が終わったら僕と結婚してください
○月△日

ジンの大人っぽいスリムな字体のサインの横に、浮かれ踊っているかのような字で自分の名前を書くのがすごく恥ずかしかった。

漢字やひらがなも決して上手ではないが、ハングル文字は本当に書いても書いても上達しない。

もし子どもが生まれたら持ち物にはジンに記名してもらおう。


...なーんてねっっ!!

あまりに静かで穏やかな試験室でついいらぬ妄想を広げてしまった。
だめだめ、今はジンが過去で安全に行動して、無事帰ってくることだけを考えなきゃ...

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