Akino雨月
「闘う日本人」という題材でそれぞれの月にある出来事を、ショートショートの形で小説にしました。毎月いろんな行事などと闘っている小市民を少し滑稽に、また少し風刺をこめて書いたつもりです。ほんの少しの心の清涼剤になればと思っています。このマガジンは2月と3月のものをまとめたものです
11月「2024年の勤労感謝の日」 このショート小説は、約5分で読める ほんとにバカバカしいショートショートの物語です。 毎日、日本人は頑張っていつも何かと闘っている。 そんな姿を面白おかしく書いたものです。 今月は11月の闘いで「2024年の勤労感謝の日」がテーマです。 昭和生まれの林先輩とZ世代と新入社員ではどうも歯車が合わないようです。 それでも林先輩は時代と闘うのです。 「先輩、今月の24日って勤労感謝の日で祝日ですよね」 鈴木は少し不満そうに
このショート小説は、約5分で読める ほんとにバカバカしいショートショートの物語です。 毎日、日本人は頑張っていつも何かと闘っている。そんな姿を面白おかしく書いたものです。 今月は11月の闘いで『木枯らし1号』がテーマです。 昭和生まれの林先輩とZ世代の新入社員・鈴木とはどうも歯車が合わないようです。 それでも林先輩は時代と闘うのです。 「うー、寒!今日は北風が強いな。たぶん、木枯らし1号が発表されるぞ」 林はコートの襟を立てて、顔を覆うようにして言った。
(第19回) このショート小説は、約5分で読める ほんとにバカバカしいショートショートの物語です。 毎日、日本人は頑張っていつも何かと闘っている。 そんな姿を面白おかしく書いたものです。 今月は10月の闘いでハロウィンがテーマです。 昭和生まれの先輩社員林とZ世代と新入社員の鈴木ではどうも歯車が合わないようです。 それでも先輩社員の林は時代と闘うのです。 林は定時後の、会社の建物の薄暗い地下駐車場を歩いていた。
このショート小説は、約5分で読める ほんとにバカバカしいショートショートの物語です。 毎日、日本人は頑張っていつも何かと闘っている。 そんな姿を面白おかしく書いたものです。 今月は10月の闘いで二十四節季の「寒露」がテーマです。 タタカウ商事の林先輩と鈴木はいつものように話が嚙み合わないようです。 先輩の林と後輩の鈴木は、取引先から疲れたように会社に帰る所だった。 「そもそもあの案件のミスは部長の不手際でしょ。どうして僕たちが取引先に謝りに行かなきゃならないんですか」
僕の母はもうすぐで90歳になる。 そんな母さんは独特の世界観・価値観などを持っているようだ。毎日の母さんの言葉には僕には理解不能な言葉があるが、よくよく考えてみると・・・・・・やっぱり理解できない。 そんな日常の言葉を集めてみました。 ゾンビ アメリカの映画を題材にした大きなテーマパークのテレビCMがある。 母はいつもそのCMを見て 「この人いつも疲れている顔をしているね」と、同情深げに言う。 これはCMなので、その人がCMのたびに疲れている顔をしているわけ
僕の母はもうすぐで90歳になる。 そんな母さんは独特の世界観・価値観などを持っているようだ。毎日の母さんの言葉には僕には理解不能な言葉があるが、よくよく考えてみると・・・・・・やっぱり理解できない。 そんな日常の言葉を集めてみました。 夏の暑さ 今年の夏も本当に暑かった。 いや9月の中旬になった今でもかなり暑い。 母もこの暑さには参っているようで、毎日こんな事を言っている。 8月1日 「今日は暑い。この暑さは尋常じゃないね」 8月4日 「今日は暑い。こ
僕の母はもうすぐで90歳になる。 そんな母さんは独特の世界観・価値観などを持っているようだ。毎日の母さんの言葉には僕には理解不能な言葉があるが、よくよく考えてみると・・・・・・やっぱり理解できない。 そんな日常の言葉を集めてみました。 相撲 僕の母さんは相撲が好きだ。 大相撲の場所が始まると、毎日テレビをつけて見ている。 場所中はほぼ毎日見ているが、いつもこんな言葉から始まる。 「まっ、あのお相撲さん。太っているわね」 「あら、このお相撲さんも太ってい
#創作大賞2024 #恋愛小説部門 僕は部室に戻り、ケプラーの校則が書いてある、埃まみれの額を壁から外した。 そして、その額を裏面にして机の上に置いた。 留め具を一つ一つ外して行き、後ろの板を取ると中から白い紙が現れた。それは麻里子さんが言うとおり2枚重ねてあった。 表面はいつも見ている演劇部用の標語だったが、2枚目の紙にはこう書いてあった。 ケプラー(キムラ)の校則 き・既成概念に囚われず、その現象を素直に受け取る事 む・無理と思ったところが限界。無理と思わな
#創作大賞2024 #恋愛小説部門 やがて夏休みも終わりに近づいた。 夏の終わりは、いつも意味もなく寂しさを感じる。 あんなに眩しかった青空も、どことなく秋模様になった気がする。 明日香さんと苦労して作った木星や土星の写真やスケッチのパネル。 部分月蝕の写真やその時の解説。 また先日のペルセデウス座流星群の星のカウント数などをまとめたものなどが、ようやく夏休みの終わる頃に完成した。 明日香さんはもちろん、松下先生や麻里子さん達が手伝ってくれて、ようやく部活の
#創作大賞2024 #恋愛小説部門 梅雨が明け、夏休みが始まった。 空はどこまでも青く、白く浮かぶ雲は夏模様を演出していた。 夏休みの最初の土曜日。僕たちは朝十時に学校で待ち合わせた。 僕は先に部室に来て、観測機器などの持って行くものを準備をしていた。 「グッ、モーニング!」 やけにテンションの高い明日香さんが、開けっぱなしにしていた入り口の外から大きな声でやってきた。彼女はミニのデニムスカートに袖無しの白いブラウス。それとピンクのリボンの付いた麦わら帽子にビ
#創作大賞2024 #恋愛小説部門 結局、僕は彼女の言いなりで、次の日からその倉庫のような建物の中で、シール貼や箱詰めのバイトをすることとなった。 その日は朝から憂鬱だった。 そもそもなんでバイトなんかしなくちゃいけないのかと後悔した。そして授業が終わるとそのまま帰ってしまおうかとも思った。 しかし、僕はやはり人が良いのか、それとも天体望遠鏡を買うと言うことに魅せられているのか、授業が終わる自然とあの部室へ脚が向かった。 部室の戸を明けると彼女は既にそこに居た。
#創作大賞2024 #恋愛小説部門 あらすじ 高校に入学したばかりの俊太は、ふとしたことから1学年上の明日香という女子生徒が立ち上げた天文同好会に入る事になった。 その部屋は元々演劇部の部室だったのだが、そこには「ケプラーの校則」という意味不明な訓示のようなものが飾ってあった。 あまり人を寄せ付ける雰囲気ではない彼女だが、夏休みには彼女のお姉さんのような叔母も一緒に天体観測合宿などをして、徐々に彼女との距離は縮まる。 そして夏休みも終わろうとしていた頃、明日香は俊太の
#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 武三郎は岸とキヨを店の中へと案内した。 キヨは先日もここへ来たというのに少し緊張している様子だった。それに対して岸は店内が珍しいのか、商品などを興味深く見ていた。 武三郎は武雄の姿は見えなかったので、丁稚の小助に武雄の所在を訊いた。すると奥の部屋にいるという。 「岸さん、キヨさん。ちょっとここで待っとってください。今、武雄兄さんを呼んできますさかい」と言って奥の部屋へ足早に向かった。部屋の前に着くと武三郎は、 「武雄兄さん。入
#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 とりあえず何もおこらないことが判ると、武三郎はキヨに「もう安心です」と言った。 キヨも安心した顔でその言葉に頷いた。 武三郎も、そもそも何も起こらないだろうとは思っていたが、それでも一抹あった不安がなくなり軽い足取りで家路につこうとした。 するとキヨは、今日はお店には誰も来ないようなので、今日はもう店じまいをして、買い出しついでにそこまで武三郎を送ると言った。キヨも武三郎といつまでも一緒にいたかったのだ。 武三郎は快く返事
#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 武三郎は困った。 突然、ツルからキヨに明日の葵祭の梅原家の手伝いをするようにと言われたが、それをどう伝えようかと悩んでいた。ツルのその言葉は嬉しかったものの、それをどうキヨに伝えるのか?そう考えながらも脚はミヤビに向いていた。気が付くと店の入り口に立っており、武三郎は仕方なく店のガラス戸を開けた。 「いらっしゃいませ……あっ、武三郎さん」 店に入ってきた武三郎を見ると、キヨは一瞬気遣うような顔を見せ、武三郎に近づいた。 「武
#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 五月十三日。まだ夜が明ける前の午前三時過ぎの東の空では、この京都でも肉眼でハレー彗星が見られるようになった。丁度、明けの明星の左の少し上の方に、白い尾をなびかせる彗星が見えた。 武三郎は山川邸の庭で、それを望遠鏡で覗いていた。 「ハリーがよく見えますよ、先生」 「そうですね。ほぼ肉眼でも見えますからね。次に見えるのは約七十六年後ですから、武三郎君も目に焼き付けておくように」 「しかし、あと六日で人類が滅亡するかもしれませんから