大喜利双葉杯参 振り返り(2023.10.21)

Xはじめnoteでも双葉杯の話は少し書いたのですが、改めて「透明」の双葉杯参戦記を残しておくことにします。

【結成】
 5/31にフニャダキシンさんからお誘いのDMが届いた。
 フニャダさんとは過去に何回か同じ会に参加したり、直前には大喜利バトルタワーに参戦したりと交流はあった。その頃はまだ「ちゃんとした大喜利するし絵も描ける人」という認識だったが、器用で正統派の人が隣にいるのは心強いので2つ返事で承諾。

 もちろんバトルタワーもタッグ戦まで進出するなどコンスタントに結果を出されていたが、組んだあたりからフニャダさんの評判がどんどん上がっていったように思う。
 後日、本人は「4〜5月がピーク」と語っていたが、僕は全く大喜利をしない期間が1ヶ月近くあったので「😅」とは思っていた。

 「器用な正統派」と思っていたが、のちにこの人が「8割真面目で2割アホ、ときどき下ネタ」の人だと気づいた。

【タッグ名】
 僕は無限にタッグ名を出せるが、ワンマンで決めるならタッグ戦の意味がない。
 まずはお互いに10個単語出すことにした。「透明」はフニャダさんの語群の中にあったが、僕も候補に入れて直前に外していた。

 なんとなく決め手に欠けるな、となあなあにしていたが、後述の衣装をスーツで揃えるという段になった時に、「スーツの男2人がこの名前で出てきたらアツい」として再浮上。

【スーツ】
 今回の双葉杯、大喜利の中身以上にスーツを褒めてもらうことの方が多かったとすら思う。

 タッグ名が手探りだった頃にフニャダさんから送られてきた案の中に目を引く名前があった。それを深掘りしたところ、「スーツで出場したら面白いのでは」と返ってきた。
 「MASTER=PIECE」が頭によぎったが、若手の大会でこういうパフォーマンスをする組は少ないだろうし面白いかも、として乗ることとした。

 一応タッグ名もコンセプトに寄せたものを用意したが、発端となったフニャダさんの案を含めて軒並み既存のハンドルネームと被りまくり、「透明」とした。

 フニャダさんが紺のスリーピースという割りかしスタンダードな物にされると聞いて、僕は黒のスーツを引っ張り出してきたり、中のシャツを濃いめの青にしたりとちょっとずらす形をとった。完全に揃えなかったのは各人の大喜利のスタイルも意識してのことだ。
 僕はほかの大会で着ているような青と黄色のカラーリングにした。割と気に入っている。

 あとはバッジを揃えた。なるべく意味のないものにしようと選んだが、意図せず緑色=双葉の色になった。
 シンボルについても特に考えなかったが、到着してすぐに辺野目えのんさんに「明智だ〜」とばれた。明智の家紋だったらしい。

【対策】
 ガチガチに対策を組むことが有効でないことはなんとなくわかっていた。

 なるべく同じ会に参加したり、頻繁に連絡をとったり、認識を共通のものにしておくことを意識した。

 組分けキャスにて我々の名前が出た際に「色の近いタッグのほうが票を集めやすい」と明確に懸念点を刺された。「😅」と思った。
 一方、「対応力」というワードでお褒めの言葉をいただいたので、「😁」と思った。我ながらちょろい。

 10/8、名詞句移動さんと桶狭間さん主催の大喜利双葉杯対策会に参加した。2人で3巡。うち2回1位。わりと確かな手応えはあったので、僕は調整をやめた。

 対策、と銘打っておきながらもっともらしいことはしていない。わからないことだらけだったからだ。

【〜予選壱】
 曳舟駅前の利便性には毎度驚かされる。駅前のロイヤルホストで軽い昼食後、駅前のイトーヨーカドー、駅前のドラッグストアで買い出しを済ませ、駅前の会場へ向かう。

 双葉杯弐とは異なり、客席に段差の無いだだっ広い会議室に入ると、一気に緊張感が増す。
 ただ大喜利に1年半も携わっていると半分は見知った顔で、雑談をしているうちに緊張も解けた。fujiさんに応援お姉さんポストカードをいただいたり、金庫番さんってこんなに喋る人だっけと思ったり。

 しかし、いざネクタイを結ぼうとすると手が絡まって思うようにいかなかった。

 我々の出順はCグループとやや早め。

○ATPやバトルタワーで共に戦った実力者・寺井さんと驚異的な場数を誇る本格派・おだンゴさんの「やおら万端」

○ボケルバを主戦場とするパワーファイター・辺野目さん、茨城大喜利会を主催する正統派・えちえちさんの「えちえち現象」

○2人揃って関西からやってきた予測不能の問題児。かにスープさんと神になれ!さんの「わかめスープ」

 「やおら万端」と「えちえち現象」は関東勢の中でも勝手のわかる組だったので分析は可能。一方で難敵と踏んだのは「わかめスープ」。まるで戦法が読めない。

 フニャダさんが挨拶でボケないのは知っていたので、僕は軽くふざけることにした。わりとウケた。なんとなく会場がウケた時の温度感を掴むことができた。

 1題目「そば屋のアルバイト募集の張り紙に書かれていた変な一文(意訳)」。
 これは得意なお題、と手癖で回答して肩を慣らす。自己紹介よりウケなかったが。
 横長の回答席は他の回答が聴こえにくい。ただ、他のグループもウケているのはわかったので少し焦った。
 「求めている人材→ポジティブそば」でなんとか繋ぐ。フニャダさんも安定してウケている。
 しかし、予想通りわかめスープが自由すぎる。「妊娠」?「全部冗談ですぅ〜」?何を言っているんだ貴方たちは(面白すぎる)。
 最後に「時給370円で安すぎるし、語呂合わせで『そば』と書いてあるけど、せめて『ば』は8だと思う」みたいなことをダラダラ言って終わった。僕も大概だな。

 2題目「修学旅行中も授業みたいなことを言う数学教師(意訳)」。
 あんまり芯を食った回答が思いつかないな、と思う中、おだンゴさんが数学の文章題のフォーマットを使った回答で抜きん出る。
 やばいか?と思ったが、フニャダさんが「みんなの周りにはどんな鹿がいるかな〜?」で大ウケ。本当に最高だと思った。
 僕はフニャダさんに軽く乗っかって「ここ思い出の中に出るぞ」と出すなどした。
 しかし、すぐにマジックタイムに突入してしまい、長くは続かず。「π」とだけ書いて終わった。
 幸運にも順番が後半であったため、しばらくボードと睨み合い、なんか「沖縄で海に潜ったとき、先生が『π』って言っていたような気がする。そんな記憶がある。」みたいなことをダラダラ言ってどよめきのようなウケを得られた。よくウケたな。

 フニャダさんも安定してウケていたし、僕も調子は悪くなかったが、なんせ他のタッグがどのくらいウケていたかわからない。
 休憩中も「通ったでしょ」といろいろな方に言ってもらえたが、まったくもって実感がなかった。
 だからこそ、予選壱通過をアナウンスされた時、柄にもない大声をあげてしまった。

【予選弐〜大休憩】
 予選壱で抜けたらこっちのもの。やがて戦うことになる相手を観察しながら、束の間の休息を...とれることなどない。
 全体を通してさらにボルテージが上がっているように見えた。
 いきりたつ殺気に戦々恐々としながら観戦をしていたら、いつのまにか「だぁい休憩」に入った。

 この世に“知り合いばかりのフードコート”というものが存在するとは思わなかった。
 フニャダさんと金庫番さん、そして途中で合流したあかむつさんと取り留めのない話をした。当初は食事を摂らないつもりだったが、見ているうちに何か腹に入れたくなった。
 しばらく前から自分の食べたいものがわからなくなっている。その日はフードコートを2周して結局コージーコーナーのシュークリームを2個食べた。

【予選参】
 またもCグループ。後半なのはありがたい。

○関東若手屈指の注目株にして透明のマジライバル。カニさんとやや不安さんの「多幸感」

○EOA第2章覇者・フェスタさんと主にネット大喜利で活躍する剛腕・伝説商店街さんの「熱烈歓迎ロボ」

○8MELODIESのメンバーでもある新鋭・小粒庵さんとこの日のために“組手”で鍛え上げた日直さんの「うらめしや」

 どのグループも色が違うため、なんとなく票が分かれるんだろうなという気配があった。

 1題目「『レベル5 アラームを二重にかける』などレベル別の心配性の行動(意訳)」。
 これもどちらかといえば僕が得意かも、と思って取り組む。しかし、何個か出すがあまり大きなウケにはつながらず。
 特に「レベル777 ラッキーかも!」と書きあげたあと、やや不安さんが「レベル1001 いつまで続くんだ...?」と完全に上回ってきた時には焦った。
 小粒庵さんの「レベル0 泥棒のいる公園で寝られる」から着想を得て、「レベル0.5 肌寒い日にロンTで1回出てみる」と答えて大きくウケたのは嬉しかった。
 EOAで同タイプのお題に当たったフニャダさんは割と分が悪かった感じがするも「サウナを出たあと、もう1回局部を洗う」と答えて審査員を揺らしまくる特殊なウケ方をしていた。
 一方、僕は途中から“北海道”しか思いつかなくなり、「デパート建てたけど本当にデパートかな...でもここに北海道がまるまる入る...北海道展ができる...デパートですね」と答えた。

  2題目「魔王軍の飲み会(意訳)」。
 フニャダさんは本当にこういう時に心強い。手堅くウケてくれているのをずっと感じていた。予選壱・参通して、わりとどちらのフィールドかがわかりやすいお題に当たることが多くて助かった。最近でもかなりお題運に恵まれた大会だったように思う。
 僕はどちらの要素の解像度も高くないので結構苦戦したが、「掘りごたつを魔王城に作ることが決まった」と答えてウケたのは良かった。
 あと、フニャダさんが“つくね”を引っ込めてくれて本当に良かった。あの場で出すつくねは味がしないだろうと思っていたので。

 予選壱と同様、かなりの混戦だろうなと思っていたが、どちらのお題もウケ量では半分より上だろうと感じていたので、手応えはあった。
 結果、思っていたより差をつけて1位通過。続いて多幸感。やっぱり埋めよるんだよな。

【本戦】
 本戦初戦の相手は「マジ剣道」。大喜利茶屋はじめ数々のネット大喜利でも腕を鳴らすエイトさんと独自の視点でお題に斬りかかるおかしいさん。かなり手強い。

 相手が「マジ剣道」ということで、剣道アンチのおばの話をした。ちゃんとした意気込みを話せば良かったな、と思った。

 「八百屋さんが嫌われている理由ベスト3(意訳)」。
 全体を通して数は出ないだろうな、と思っていたので手数を増やす戦法を取った。

 「3位:2位が悪い 2位:1位が悪い 1位:3位が悪い」
 「3位:パン屋が近い 2位:近パン屋 1位:遠いパン屋さんもそりゃありますよね」
 「3位:大根が小さい 2位:つまり 1位:小根」
 「3位:高い 2位:高いということは 1位:つまり」
 「1位:サ
     ノ
  2位:ツ
  3位:木←“菜”になっている」

 5答出した。やったね。
 その間、フニャダさんもそりゃウケているし、もちろんマジ剣道も。
 僕に対してフニャダさんはスタンダードに攻めていってくれた。マジ剣道はおかしいさんが「3位が1番上のランキング」など構造をいじったのに対し、エイトさんは「3位:松本がいる 2位:浜田がいる 1位:2人はダウンタウンではない」と3段落ちを徹底していた。

 当たり負けはしていないと思ったが、結果は3-2でマジ剣道に軍配が上がった。異議はない。

 お題の作成者でもあるタックスマンさんに「お題を壊していく気概」を褒めてもらうことができた。もともとお題を壊すのが好きだったものの最近は控えていた部分もあったので、そこを評価されたのはかなり嬉しかった。

 と、我々の双葉杯はここで終わった。

  決勝は既報の通り、我々を下したマジ剣道vsスタミナ兄弟(水戸さん・井上ヘノシタさん)の対決。
 なんかもう次元が違った。特に優勝したスタミナ兄弟の大喜利は対策会でも見ていたが、「調子が良い」とかのレベルではなかった。2週間で何があったんだ。対するマジ剣道も全く息切れせずにそれぞれの角度から戦い続けていて、なんか本当にこのカードが決勝で良かったと思った。

 すべて終わったあと、たくさんの方から本戦について「うげさんのお題だった」「勝ったんじゃないかと思った」と言っていただくことができた。
 そりゃ本人目の前にして「納得の敗北」とは言うわけがないんだけど、評価されただけに晴れやかな悔しさはある。

 ただ「仲間1人キャリーできなくて何が得意お題なのか」という問いはしばらく残るだろう。

【総括】
 改めてここ最近の生大喜利を取り巻く状況は変化しすぎていると思う。あまりにも速い進化についていくのに精一杯の日々だ。双葉杯も想定の2倍を超えるエントリーがあり、生大喜利プレイヤーも日毎に増えている。

 今回の双葉杯を通してさまざまな人たちの多種多様な大喜利に触れることができた。変わりゆく環境の中でこれから自分の大喜利にどのような価値をつけていくかが大事だと思った。

 大会は楽しすぎる。戦うことが楽しいというより多くの人に自分の思考を伝えてその結果がすぐに返ってくる快感というのは舞台に立った者しか味わうことができない。僕にとって「勝つこと」とは「発表の機会を得ること」に他ならない。もっと出たい。もっと伝えたい。その過程でどさくさに紛れてタイトルが欲しい。

 日頃からそういう場を設けてくれているみなさんにも感謝の気持ちでいっぱいです。
 主催の四つ葉の黒婆さんはじめ大会運営に携わったスタッフ・審査員のみなさま、共に戦ったり観覧に来ていただいたみなさま、そして今大会に誘ってくれたフニャダキシンさん本当にありがとうございます!

 僕の大喜利を楽しみにしてくれている人がいることにも感謝したい。それは僕の功績というより、思ってくれているみなさんのおかげです。ありがとうございます。
 期待に応える、という言い方は自分の中で違う気がするのですが、楽しませたい気持ちは誰よりも強いと自負しています。

 今後も大喜利はただの趣味の1つ。飽きたら辞める。ただ、そうなるのはまだまだ先だと思う。その間に1人でも多くのみなさんと大喜利をして笑って笑わせたいので、変な理由で急に辞めないでほしい。

 いろいろ迷っているみなさんは一回フニャダキシン30人組手にエントリーしてみると良いと思います。その日僕は地元でなんか美味しいものでも食べます。

 ありがとうございました。

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