第96回選抜高等学校野球大会出場校の東海地区選考について

 

前回、第96回選抜高等学校野球大会出場校について記事を書きましたが、選考の中で気になった点が一つありました。東海地区で2校目で選考されたのが準決勝で敗退した宇治山田商で、準優勝の愛工大名電が3校目として選考されました。これは本当にまさかと思いました。東海地区の2校目で選ばれたのが準優勝の聖隷クリストファーではなくベスト4の大垣日大だった逆転選考があった2年前を思い出しました。時期を過ぎた2年前の選考についていつか書いてみたいと考えていたので、今回は東海地区選考について書いていこうと思います。

1.選抜における逆転選考について

選抜における逆転選考(準優勝校が落選し、ベスト4が当選するなど、上位進出した学校が落選し、下位の学校が当選すること)はたびたびおこなわれてきましたが、多くの場合上位進出校が大敗して、下位校が善戦した場合で2年前ほど大きな話題になることはなく、ここ10年はかなり少なくなってきていました。(一番最近は2018年の四国でしょうか。)それだけに2年前の逆転選考はまさかでした。

2.今回と2年前の東海地区選考について

今回と前回の選考で問題になった点は上位進出校が善戦での敗戦だったということです。

  • 今回の東海大会決勝戦と準決勝(豊川-宇治山田商)の試合と愛知県大会決勝

決勝 豊川8-7愛工大名電
準決勝 豊川6-5宇治山田商
愛知県大会決勝 愛工大名電7-1豊川
このように愛工大名電は東海大会決勝で1点差での僅差での敗退、さらに愛知大会では豊川に7-1と大勝しています。いくら宇治山田商が準決勝で1点差だったといっても逆転するには無理があるのではないかと感じました。これを見ると実は愛工大名電の方が豊川より強いのでは?と思ってしまうくらいです。

  • 2021年東海大会決勝戦と準決勝(日大三島-大垣日大)と静岡県大会決勝

決勝 日大三島6-3聖隷クリストファー
準決勝 日大三島10-5大垣日大
静岡県大会決勝 日大三島7-2聖隷クリストファー
このように東海大会では日大三島に対し、大垣日大よりも聖隷クリストファーの方が善戦しており、静岡県大会でも5点差と東海大会準決勝と同じ点差でした。また大垣日大は岐阜2位で、聖隷クリストファーは岐阜1位の中京に勝利しています。なお、大垣日大は6回終了時2-10と8点リードされていて、7回に2点返しぎりぎりでコールドゲームを阻止しました。それがどうして逆転するところまで至ったのか大きな疑問です。(個人的には2校目が聖隷クリストファー、補欠1位が至学館、補欠2位が大垣日大ではないかと思っています)

3.近年の逆転選考の起きにくさ

近年は、これは逆転選考が起きるんではないかという大差のゲームがあっても上位進出校が選ばれることが多くなっています。

  • 2019年北信越大会決勝戦と準決勝(星稜-佐久長聖)と石川県大会決勝 

決勝 星稜19-1日本航空石川
準決勝 星稜10-3佐久長聖(7回コールド)
石川県大会決勝 星稜16-2日本航空石川 
→2校目 日本航空石川

  • 2020年の東北大会決勝戦と準決勝(仙台育英-花巻東)と宮城県大会準決勝

決勝 仙台育英18-1柴田
準決勝 仙台育英1-0花巻東
宮城県大会準決勝 仙台育英12-2柴田(6回コールド)
→2校目 柴田

  • 2018年東海大会決勝と準決勝(東邦ー中京学院中京)

決勝 東邦10-2津田学園
準決勝 東邦10-9中京学院中京
→2校目 津田学園

上記のように最近はよほどの場合でも逆転選考はかなり少なくなってきています。3番目のケースがあったため東海地区で逆転選考が起こるということは全く想定していませんでした。

4.東海地区選考の考え方とこれから

上記のケースを考えると東海地区は地域性を他地区よりも相当重視しているのかもしれません。現在は東海地区は3校で決勝進出校が落選ということはほぼ考えられませんが、東海地区が神宮枠を取って4枠になったときに地域性の絡みでまた逆転選考が起きるのでは、と考えます。また、2年前の選考に関し、決勝まで行っても試合を落とせないとなるとエースに負担がかかってしまうという意見を見ましたが、本当にその通りだと感じました。高野連は球数制限を2020年から導入し、投手の登板過多を防ぐ取り組みをしているので、試合日程が過密になる地区大会で、エースが決勝まで投げるという戦略を取らざるを得ないようなことを避けるように選考委員会も考えてもらえればと思いました。選抜の選考は一人でも多くの人が納得のいくような選考を行っていただきたいものです。

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