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無敗営業への道~愛と勇気~

この記事は Feedforce Group Advent Calendar 2021 の21日目の記事です。

昨日は シッピーノ株式会社 つつみさんの「チームは 1 日にしてならず」でした。過去のホロ苦い経験からご自身と真っすぐに向き合ってチームのため前向きに取り組まれている姿が素敵でしたね!

そんなボクは2019年に新卒で入社し現在3年目のとにかく明るい上岡 遼大(うえおか りょうた)といいます。ワールドトリガーで好きなキャラクターは荒船さんです。

株式会社フィードフォースの運営サービスの1つ、データフィード管理ツール dfplus.io の営業(フィールドセールス)として2年半ほど活動してきました。

こちらは去年10月に株式会社フィードフォースのnoteで取り上げていただいたインタビュー記事になります。

その中で参考にした書籍として「無敗営業」を挙げていました。今回はこの「無敗営業」を自分なりにどう解釈して、実践してきたかについてお話します。

「無敗営業」はなぜ無敗なのか

この本では「お客さまとの間にあるズレに気づいて解消する営業力」について書かれています。要約すると大きくこの3つに集約されています。

・営業は自分で気づかないうちに、お客さまとズレた行動をしがち
・成果を上げている営業は、個性の違いはあっても、お客さまとの間にズレを発生させないというポイントを押さえている
・ズレに気づいて解消し続けていくと、誰でも成果が上がる

愛と勇気だけが営業さ


「無敗営業」をバイブルとして1年以上が経過した今だからこそ思うのは、「愛と勇気だけが営業」ということです。(注:語呂が良いので”だけ”としていますが、無暗に限定する意図はありません)

営業である前に一人の人間として、相手から「もう一度会いたい!」と信頼を寄せてもらえると嬉しいですよね。しかし、ある調査(※1)によると、お客さまが「もう一度会いたい!」と思える営業担当者に出会う確率は6人に1人という結果が出ているそうです。つまり、6分の5はハズレを引いていることになります。

恋愛で考えると高い割合かもしれないですが、色々な仕事で忙しいお客さまからすれば正直やってられないですよね。そりゃ営業を受けるのが苦手な人がいるのもうなずけます。

では、どういう営業だとお客さまは「もう一度会いたい!」と思うのか?
これもある調査(※1)によると、「過去に出会った中で最高と感じた営業担当者の特徴を教えてください」というアンケートに対して、「わかってくれる、意図を把握してくれる、的確、明確」という特徴が他より約2倍の差をつけて圧倒的に多かったようです。

仮に「提案力」「迅速・即答」「臨機応変」「豊富な情報、知識」といった他の特徴を持ち合わせていたとしても、「この人は分かってくれない、どこかズレている」と感じさせてしまった時点でお客さまの心が離れていってしまうということになります。
※1:「無敗営業」より引用(マクロミルパネル利用のインターネット調査 2017年11月 TORIX調べ)

…と難しい話は置いておいて、この「わかってくれる、意図を把握してくれる、的確、明確」を体現するために、ボクは「お客さまへの愛」という気持ちを持つように心掛けていたのだと思います。前半はこの「お客さまへの愛」について熱く語ります。

一方で、「これ以上ヒアリングしたら怒られるんじゃないか」「提案したけど実際どう思っているのか」「実は他サービスの方が良いと考えていたらどうしよう」など、営業活動を通して怖さを感じる場面はいくつもあると思います。後半では、その中で「勇気を出す」ためにボクが実践してきたテクニックをまとめてみます。

その提案に、愛はあるんか?

いきなりですが、お客さまへの提案を「好きな人への告白」に置き換えてみましょう。

※ここ3年くらい「告白」という場面から遠ざかっており、そもそも告白する・される機会にも恵まれてこなかったので、一部偏見を含むかもしれません。あらかじめご了承ください。

楽勝・接戦・惨敗を見極める

「好きな人への告白」といっても、その人との関係性などによって難易度が分かれますよね。ボクはこの3つを見分けることで、告白に向けて使う時間、準備する内容、アプローチのやり方を工夫していました。

楽勝:すでに両想いであることが分かっている
接戦:やり方次第で成就にも失恋にもなる
惨敗:他に想い人がいたりして、そもそも勝負にならない

その中で接戦、つまり相手が何かで迷っているなら、この3つのどれかに当てはまっていると考えられます。

競合:他にも気になる人がいる
保留:今じゃなくてもいいと思っている
内製:恋愛としてのお付き合いを求めていない

楽勝か、接戦かを見極めて、もし接戦だとしたら相手は何で迷っているか把握する。それによって「相手との間にある情報ギャップ」を乗り越える狙いがあります。

この「情報ギャップ」に対する感度が高ければ、日頃の何気ない会話を通して無意識にニーズを探すことにつながります。逆に、この感度が磨かれていないと、相手のさりげない発言に気づかずスルーしてしまうことにもなりかねません。

自分の価値を訴求する

こちらとして欲しい情報が明確でも、なかなか教えてくれないこともありますよね。どんな人がタイプ?いま気になってる人はいる?と聞いても、曖昧な回答ではぐらかされてしまった…という経験をしたことのある方も多いのではないでしょうか。

そういうときは「情報を出すだけの価値がある」と信頼してもらう必要があると考えます。ヒアリングを「貸し借り」で例えて、相手に質問をするのは「借り」をつくることだとすると、自らの価値を提供することは「貸し」をつくることに該当すると思います。言わずもがなですが、この貸し借りのバランスを保つことが大切ですよね。

そこで「好きな人への告白」を例とした価値の訴求についてまとめます。

その1:労務提供、適量コミュニケーション

例えるなら、重そうな荷物を肩代わりしたり、歩道の道路側を歩いたりするのが労務提供で、相手の髪型や服装などを良い感じに褒めたりするのが適量コミュニケーションでしょうか。つまり相手が喜んでくれることをするということですね。

「価値の大きさ」で考えると、相手に対するインパクトはそれほど大きくないかもしれないですが、恋愛(営業)経験が多くないボクはよく重宝していました。

その2:情報提供

ちょっと例えが難しいですが、試験前にテスト範囲について教えてあげたり、相手がコスメ好きならオススメのアイテムを話題に挙げることなどでしょうか。
「この人は自分が好きなこと(求めていること)について詳しい」と思ってもらえれば、きっと2人きりの会話を盛り上げることができるはずです。

その3:プラスαの提言

これはかなり難易度が高いですが、成功すればグッと価値訴求につながります。普段の言動から得た情報をそのまま受け取るのではなく、相手が本当に抱えている悩みや、何で満たされていないのかについて考え抜いて、そこに寄り添ったアドバイスをするイメージでしょうか。

このように、3つのポイントについて触れましたが、価値の感じ方は人それぞれですし、どのような相手でも喜んでもらえるように引き出しを増やしていく感覚が大切だと考えています。また、やっぱりヒト対ヒトのやり取りなので、好意・共感を重ねながら徐々に関係を深めていくことも大切ですね。

要件を整理する

これまで戦況を見極めて、適切に価値を訴求することで様々な情報を得られました。ただ、ここまでしっかりできていても、肝心の「告白」でズレてしまうこともあります。

その代表例として、相手が本当に求めているものについて明確でない場合があります。そもそも相手の中で恋愛に対する考えがまとまっていないと、思惑が噛み合いません。「あなたのことはキライじゃないけれど、自分の気持ちがよく分からないの…!」という展開を経験したことはないですか?

その対策として、相手の「課題や要望」を整理するためによくやっているお手伝いについてまとめます。

その1:キーワード化する

相手が抱えている悩みをキーワードにすることで、抜け漏れがないか確認します。

例えば「好きなタイプは色々あるけど、1つ目は優しい人、2つ目は休日の時間の使い方が合う人…」のように指で数えながら話すことで、相手の中で感じていた悩みを明確にします。リモートで会話しているならメモ帳などを画面共有して、そこに書き出すのでも良いかもしれません。(注:本当の恋愛では用法容量にお気を付けください)

その2:具体化する

次に、相手と確認したキーワードについて「どういう時に”優しさ”を感じるのか」「1か月に何回くらい一緒にいれば休日の時間の使い方が合うと感じるのか」などの観点で具体化していきます。

これによって過去の恋愛で感じた悩みや、それを経てどういう人物像を求めているのか引き出すことにつながります。

その3:優先順位を確かめる

もちろん理想的な人物像を全て満たしているに越したことはないですが、そんな人と出会えるのは奇跡が何回起きても足りないので、相手の中での優先順位を確かめていきます

この際、自分の人物像に近づくようコッソリ誘導できたりすると最高です。腕の見せどころですね!

これまで「目の前のお客様に”愛”を伝える」ためにボクがやってきた工夫をまとめてきました。恋愛と違って営業では一度に多くの人を相手にするため、気にするポイントが多いのはちょっと大変です。でも、ボクがここまでやってこれたのは、これらの工夫を通して、お客さまに「この営業はわかってくれている」と感じてもらいたい!その一心だったからだと思います。

勝利の女神は勇者に微笑む

「愛」について熱く語り終えたところで、後半は「勇気」について書いていきます。そろそろ恋愛経験の引き出しが少ないことが露呈しはじめていると思いますが、頑張って最後まで続けます。

ボクは「これ以上聞いたら、機嫌を損ねてしまったり、関係を悪くしてしまうのでは」ということを気にして、相手が怒る(本当の)デッドラインよりも手前で質問を止めてしまうことが何度もありました。おそらく大半の人が一度は抱いたことのある感情だと思います。

とはいえ、本当の悩みや背景事情を深く知らないまま、相手にとって役に立つ存在になるのは難しい。「だからもっと踏み込んで聞け」という意見も痛いほど分かります。でもやっぱり踏み込むのは怖い!

そこで相手に愛を伝えるために「勇気」を持って一歩前に進む後押しとなるテクニックについて取り上げます。

聞きたいことを上手く聞き出せないなら

先ほど「価値訴求」の話の中で「情報を出すだけの価値がある」と信頼してもらうことが大切だと書きました。でも、いくら信頼してもらえていても、相手にとって話しにくい・正直に答えるのを躊躇してしまう場面があると思います。

その理由の1つとして、何かしらの制約があることによって答えにくいこともあるでしょう。

例えば相手も自分のことが気になっているけど恥ずかしがっているような場面であれば、「もしワンピースのキャラから選ぶとしたら誰にする?」のように前提を変えることで、気軽にタイプの人物像について語りだしてもらえるかもしれません。

他には、多少デリケートなことを聞きたい場面では「なんでそんなことを聞くの?」と怪しまれてしまわないように、「実は君に紹介したい友達がいてさ~」のように質問の意図を伝えておくことで答えてもらいやすくなることもあるかもしれません。(注:本当の恋愛では、その後の展開について責任を負いません)

もっと深堀りたいなら

枕詞を上手く使って答えやすい質問ができたとしても、いきなりすべて教えてもらうのは難しいので、より具体的な回答を引き出していきたいですよね。

とはいえ、どこから聞いていくか迷って黙ってしまうと会話が終わってしまう…そんな場面でボクが重宝しているフレーズがあります。

内容を明確にする:どういった事情がありますか?
詳細を引き出す:具体例はありますか?
背景を引き出す:どのような理由がありますか?
全体像を捉える:他にもありますか?

このような短い一言の質問には、相手にもう一度ボールを戻すことで、まだ出ていない情報を引き出したい狙いもあったりします。

既に付き合っている人がいるなら

これまではお互いにフリーである前提で話してきましたが、恋愛(営業)ではすでに付き合いのある人(会社)がいるケースも十分に想定されます。

それでも2人で恋バナをするチャンスがもらえたような場合、実は言い出しにくい悩みや困っていることが隠れているのではないか?と考えるようにしています。

・なぜそういう理想の人物像(目標)を設定されたのでしょうか?
・なぜ(1年後などの未来ではなく)今のタイミングなのでしょうか?
・現在すでに付き合いのあるヒト(他社)だと不十分なのでしょうか?

このように相手のあるべき姿、理想と現実に焦点を当てることで、より核心に近い情報を引き出せることもありました。

まだまだ他にもあると思いますが、ボクがよく実践している「勇気」を持って一歩前に進む後押しになるテクニックは以上になります。
注意点としては「テクニックは、あくまでテクニックでしかない」ということです。身に着けた技を発揮することを目的としてしまっては本末転倒なので、そういうときは「その提案に、愛はあるんか?」と自問自答するよう心掛けています。

最後に

「好きな人への告白」が必ずしも成就しないように、「わかってくれる、意図を把握してくれる、的確、明確」な営業を体現したとしても、失注してしまうことは大いにあります。

その背景には、たまたまタイミングが悪かったのか、本当に相性が良くなかったのか、一時的に何か忙しくて余裕がなかったのか…色々な事情があると思います。

それでも「好きな人のことを考えているときが幸せ」のように、営業活動のプロセスそのもの、お客さまと信頼関係を築いていくこと自体を楽しむことができたら素晴らしいのではないかなと思います。

最後に中村信仁さんの著作「営業の魔法」から一番好きな言葉を紹介して終わりにします。

営業とは、商品を売るのではなく、顧客の問題解決のお手伝いをすること
そして共に成長し感動を共有する使命を担っている
「ありがとう」ということばが自分の報酬

明日は株式会社フィードフォースで人事をされている柳さん(通称:ねこやなぎさん)による「キャットタワーの予算が20万円以上オーバーした話」です!お楽しみに!