パンクスじゃなくなった

鼻炎が再発して耳鼻科に行こうと思うも、結局行かない今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。


今日は私の呪いについて書こうと思う。


私はいわゆるロックが好きだ。中でもパンクというジャンルの音楽が好きで高校時代よく聴いていた。私の激イタ高校時代を支えてくれたのがパンクであり、私の高校時代のすべてである。毎日なんで自分のような人間が生存しているのか、ずっと考えていた。死にたかった。同い年の周りの連中より何もしていない自分がコンプレックスでずっと死にたかった。そんな思いを代弁してくれていたのがパンクだった。高校時代の私にとってパンクとは、仲間であり味方であった。分かり合える友達も誇れるような何かも何にも持ち合わせていない私に「それでもいいんだよ」と言ってくれたのがパンクである。別に誰も私を縛っていたわけでもない、誰かが私を否定したわけでもないのに苦しんでいた。辛かった。甲本ヒロトはものすごいメロディーで、ものすごい歌詞でその私の心を歌った。自転車に乗って遠回りをして帰る私は学ランの胸ポケットから流れるその歌に自然と涙していた。止まらなかった。今はツルハドラッグになっている当時TSUTAYAだった建物の横を自転車で走っていた時に流れた「見えない自由が欲しくて~見えない銃を撃ちまくる~ 本当の声を聴かせておくれよ~」という歌詞は、私が息ができなくなるほどに核心を突いた歌詞であった。私はブルーハーツの他にも、銀杏BOYZ、Hi-Standardといったパンクを愛していた。でも、今は聴いていない。あの頃の私のすべてを今は聴いていない。大学生になってKOTORIに出会う。3年生の今、私は聴いていない。

私は変わったのだ。

今まで聴いて「分かる!」「コイツの言っていることがすべて!」といった感情はなくなってしまった。いわゆる反骨精神といったものだろうか。21歳になってその人の背景を考えるようになってしまった。別に悪いことではない。ただ、その人のことも考えるようになった、ということだと思う。大学で心理学を学んで、知らない土地で知らない人とたくさん絡んでいく中で、あの頃から年を重ねていく中で、そうなったんだろう。別に悪いことではない。多分少し悲しいだけ。あの頃のピュアでまっすぐな否定ができないことが少し引っかかるだけ。あの頃の私はかっこよかった。同時に、愚かだった気もする。21歳のボウズが何をほざいとんねんと思うかもしれない。でも、紛れもない本心であり、たった今の私の感想なのだ。私の中のパンクス。全員殺してやろうと思って学校に通っていたあの頃の私、生きる意味を必死に探していた私、他人との違いを模索して打ちのめされてがんじがらめになっていた私、夜中に道路の真ん中に寝っ転がっていた私、トラックに轢かれて死にたいと思っていた私、自分が生きるくらいなら不慮の事故で亡くなった5歳の子どもに寿命を分けてあげたいと思っていた私、好きなことをしてないやつが嫌いなのに自分の好きなことが分からなくてのたうち回っていた私、もういないんだ。だから、悪いことなんかじゃないんだよ?でもなんか悲しいし、寂しいだけ。今の私を見てあの頃の私はどう思うんだろう。知らない。大学生のうちにバンドを組んで下北界隈でそこそこ有名になるはずだった。でももういい、心の底からそう思ってる。何かやりたいことができたわけでもないけど、バンドではないことは確かだ。もういいんだ。今はそんなことより楽しいことの方が多い。本を読んだり、ボートレースをしたり、彼女と遊んだり、お笑いを見たり。そんな中、なんかふと思っただけ。

「もう、俺はパンクスじゃないんだな」って。

人間って変わっていく生き物だから。あの頃の私に縛られるのってもったいない。縛るんじゃなくて共存したい。捨てるんじゃなくてずっと持ってたい。でも、なんか消えてってる気がするんだ~。あの頃の「つまらない大人」「つまんないヤツ」「しょうもないヤツ」になってる気がするんだ~。消えてってしまうのを自然の理だって言ってほっとくのは、なんかあの頃の私がかわいそうなんだよな。ワンワン吠えて噛みついてた狂犬だったのに、すっかり牙なんかなくなってサークルの代表なんかやって、バイトでは頼りにされて、彼女なんてできちゃってる。しょうもねぇ。すごい幸せなのにあの頃の私は置いてけぼりな気がしてさ。うまい折り合いのつけ方が分からない。すごい好きなのに、あの頃の俺。かっこいいのに。今じゃやらないこと、いや、やれないことばっかやれてた、イケてたのに。みんなはこんなこと考えないの?教えてほしい。だから私はバンドって感じの最近のバンドの曲は聴けない。うるさいと思ってしまう。聴きたくない。薄いし薄い。自分のことがすべてだと思ってその曲を歌ってる。そんな歌は嫌い。でも私のこの考えも多分薄いし薄いんだ。知らんけど。ブルーハーツは多分ずっと好き。21歳の夏が終わる。向き合わな。

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