Ueda Yushi

不良大学院生。備忘録として。

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ユートピアとアクチュアリティの狭間で――ダムタイプ『S/N』についてのノート

はじめに 『S/N』は、京都芸術大学の学生らによって1984年に結成された芸術家グループ「ダムタイプ」によって、1994年から1996年にかけて日本国内のみならず世界各国で上演されたパフォーマンス作品である。ダムタイプは現在も活動を続けており、そのメンバーには高嶺格や高谷史郎、ノイズミュージシャンとしても有名な池田亮司などがいる。『S/N』はダムタイプの全活動のなかでも飛びぬけて人気のある作品であり、エイズやセクシュアリティ、マイノリティをテーマにしている。メンバーの一人であ

    • 「家事労働」からの解放と新たな人間関係の創出――シルヴィア・フェデリーチのエッセイのレビュー2

       前回に引き続き、シルヴィア・フェデリーチのRevolution at Point Zero所収のエッセイについてのレビューを行う。  “Wages against Housework”ではいまだ不明瞭だった部分が、“Counterplanning from the Kitchen” (1975)および “The Restructuring Housework and Reproduction in the United States in the 1970s” (1980)

      • 「家事労働に賃金を」、その問題点と重要性――Silvia Federici “Wages against Housework”, Revolution at Point Zero: Housework, Reproduction, and Feminist Struggle, Second Edition, PM Press, 2020. pp.11-18.のレビュー

         “Wages against Housework”(「家事労働に対する賃金」)は、イタリア出身のマルクス主義フェミニスト、シルヴィア・フェデリーチが1975年に発表したエッセイである。彼女は1972年に始まった「家事労働に賃金を」運動“Wages for Housework”に参加していた人物であり、本エッセイはこの運動のための理論的支柱となった。エッセイのタイトルに使われている前置詞が、運動の名称に使われているforではなくagainstであるのは、その立場を明確化するた

      ユートピアとアクチュアリティの狭間で――ダムタイプ『S/N』についてのノート

      • 「家事労働」からの解放と新たな人間関係の創出――シルヴィア・フェデリーチのエッセイのレビュー2

      • 「家事労働に賃金を」、その問題点と重要性――Silvia Federici “Wages against Housework”, Revolution at Point Zero: Housework, Reproduction, and Feminist Struggle, Second Edition, PM Press, 2020. pp.11-18.のレビュー