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青い箱レコーディング風景

2022年8月初旬 ミーティング

植田真梨恵、西村広文氏にエンジニアをまじえてのミーティング。
響きの異なる複数の場所で録音したいという前提のもと、記憶に残るピアノや好きなピアノを出し合う。
最終的に録音を実施した会場の他にも、大阪市中央公会堂、retro Back Page、JANUS、gee-ge、大阪芸術大学、大阪音楽大学などが候補にあがり、録音環境や日程の調整を経て、6会場に絞られたのだが、結果的に、思い入れや関わりのあるピアノや場所であることを重要視した会場選びとなった。

【最終的にレコ―ディングを実施した場所】
1. 大きなホール メルパルクホール
2. ライブハウス ボトムライン
3. レコ―ディングスタジオ ビジュアルアーツ専門学校大阪
4. 街スタ BASS ON TOP ピアノスタジオ
5. 小さな部屋 GIZA studio ROOM 9-C & D
6. ストリートピアノ

2022.8月~9月 Pre-Production

シングル曲、リード曲、ラズワルドピアノ人気曲を書き出し、実に40曲以上のプリプロを実行。
細かいコード進行やBPM、アレンジを確認し合うとともに、クリックの有無や、どんな音で録音したいかなどを想像しながら、それぞれの曲にレコ―ディング会場を振り分けていった。

西村氏の後ろにあるグランドピアノはプリプロでは使用せず

2022.10.8 小部屋 / ROOM 9-C&D (GIZA studio)

YAMAHA A1

スタジオではなく、練習や打ち合わせで使用されることも多い、ごく普通の小部屋。ピアノのある部屋を中心に、両隣の部屋にケーブルを引き回し、即席のコントロールルームとボーカルブースを仕立ててレコ―ディング。

隣の小部屋がボーカルブースに

この小さなピアノは、2011年4月22日の二人の初ピアノレコーディングで使用したピアノ(「LAZWARD PIANOとは」参照)。スタジオ(GREENWAY STUDIO)が閉鎖され、GIZA studio内の小部屋に移されたもの。今でもライブ前の簡易リハーサルで使用したり、Academic!のアーティスト写真撮影にも登場している。

2022.10.14 ライブハウス / ボトムライン

YAMAHA C5

ツアーで何度も訪れ、そのピアノの音が印象に残っていたライブハウス。
ライブハウスも青を基調にしており、アナザージャケットと配信盤の写真はここボトムラインの2階客席で撮影された。

会場の方もとても協力的で、レコ―ディング当日はBL Caféも含めて全館閉鎖。ライブハウスの狭さ故、わずかな足音や気配をマイクが拾ってしまうため、外を通る救急車の音をやり過ごしたり、録音がはじまるたびに空調を切り、参加したスタッフ全員が微動だにせず、演奏を見守った。

THE BOTTOM LINE NAGOYA
ホールレンタル
ピアノはYAMAHA C5
ステージ上にピアノ、客席の一番奥にボーカルとアコギを設置

青い箱盤のスペシャルBlu-rayには、2016年のボトムライン公演から「吠える虎」のライブ映像が収録されている。

2022.10.24 街スタ / BASS ON TOP

BASS ON TOP ピアノスタジオにて

いわゆる街スタでの録音。
西村氏にとっては実際に普段からよく練習で使用しており、近年最も慣れ親しんでいるピアノ。

マイクやスタンド類も含めたレコ―ディング機材と大量のケーブルはすべて持ち込んだもの。限られた時間の中でセッティングを終え、休む間もなくレコ―ディング。
狭いスタジオには植田、西村氏、エンジニアの3名のみ。他のスタッフは扉のガラス部分から中を伺うことしかできない。

ピアノはYAMAHA C3

2022.10.25、26 レコーディングスタジオ / ビジュアルアーツ専門学校大阪

STEINWAYS & SONS B-211

西村氏の出身校ビジュアルアーツ専門学校大阪のレコ―ディングスタジオ。
10代の頃からよく弾いていたピアノだそう。
今回のレコ―ディング場所の中で唯一、完全に二人のブースを分けて個々の音をレコ―ディングできる場所であり、繊細な楽曲、クリックを聴きたい楽曲を中心にレコ―ディング。

卓正面にグランドピアノ
右手にボーカルブースがある
録れた音を確認中

2022.11.8 ホール / メルパルクホール

STEINWEYS & SONS D-274

言わずと知れた、Academic!で訪れたコンサートホール。
ライブではステージに反射板を出していたが、レコ―ディングでは素のままの広いステージで、中央にピアノ、奥にアコギとボーカルを配置している。

ステージ上でもこの距離感

Academic!ではYAMAHAを使用したが、現地音響スタッフの方の勧めもあり、今回のレコ―ディングではスタインウェイを使用した。

2022.11.23 ストリートピアノ

YAMAHA CF

コロナ禍ということもあり、最後までピアノ探しに苦労し、アルバムの中で唯一、はじめましてのピアノとなったエコールリラに設置されているストリートピアノ。

ICレコーダーとiPhoneで録音

エンジニアは同行せず、ICレコーダーとiPhone 2台で簡易録音。
事前にGIZA studio内ROOM 9-Cでピアノとボーカルの距離感をテストして挑み、植田自身がセッティングした。
ICレコーダーには、マイク(手前の風防)の他、アプリを立ち上げたiPhoneも繋げられている。奥のiPhoneは単独で録音。MIXしてみたりもしたものの、最終的にはICレコーダーにつないだiPhoneの音源単体が採用された。これがアルバム最後のレコ―ディングとなった。

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