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楽しくて少し刺激的だったウルムチ(2)

[2]警察突入

その日は、結局街中をぶらぶらと20キロほど歩いていた。8時過ぎにホテルに戻り、近所の便利店で買った500ccの黒ビールを飲みながら、VODでアメリカの映画を見ていた。

と、突然に部屋のドアを叩く音。ノックされる心当たりは全くない。

不審に思いながらドアを開けると、若者二人と中年の、3 人の警察官がドヤドヤっと入って来た。1人はテレビでたまに見る、機動隊の盾みたいなのを持ち、他の1人は1m余りの警棒を持っていた。最後の1人は45くらいのリーダーの感じ。映画でよく見る悪役そのもので、迫力ある風貌をしている。

後ろにピンクのセーターの女性が隠れるようにいた。彼女は部屋には入らずドアの外。

リーダーがなにかをしゃべる。もちろんまったくわからない。分からないと日本語で言っても、もちろん警官の話は止まらない。

とりあえずこういう時はまず身分証明書を見せないと、と思ってパスポートを見せる。

でも効果なし。さらに警官はしゃべり続ける。と、警棒の若い方が、部屋の片隅に転がっている僕の靴を指差し、そのまま外の方向へ指を向ける。どうやら外にいく(連行する)ということらしい。

えっ、警察に行くの? 頭の中で日本で新聞に載るかなぁ?なんてどうでもいいことが頭に浮かぶ。

仕方なく外出できるように着替えるしかない。部屋は暖かく着ていたのはTシャツと短パン。だが、ここでしっかり仕度しないと、外はマイナス16度。万一警察の前で放り出されたら、そのまま死ぬかもしれない。ステテコとヒートテック、靴下を二重にはいて、しっかりと身支度する。

続く

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