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楽しくて少し刺激的だったウルムチ(3)
すると若いもんが、僕に向かって何か話し出す。この時には少し冷静になっていて、スマホを手に取りグーグル翻訳を起動。グーグル翻訳はオフラインモードがあり、辞書をダウンロードしておくと中国でも使える。中国人に渡して先方の言いたいことを書いてもらうために、あらかじめ中国語キーボードもダウンロードしてある。そのスマホをそのまま若いのに渡す。
彼はすぐに意図を察し、スマホにサラサラっと入力。彼が書いたのは、「荷物の中身を見せろ」。
慌てて持ち歩くカバンの中身をベッドにぶちまける。今日買ったお土産やバッテリー、タオル、ペンなど雑多なものがベッドに広がる。
彼は荷物を少し見ただけでもう一度スマホを手に取る。あれっ、出したのに見ないの?
スマホには「この部屋はあなたの支配にありますか?」。何それ?
つまり、自分で借りたのか?ということらしい。そんなの当たり前なんだが、それって「そうだ」と言う以外何かできるか?
この時には、そこそこ冷静に戻ってきている。たまたまホテルにチェックインの時に支払ったデポジットの領収書を思い出す。それしか書いたものがない。
とりあえず、ベッドのサイドテーブルにある領収書を取り上げ、内容を確認して、渡す。
その時気付いたのが、なんとそれには僕の名前が印刷されていた。あわててその領収書とパスポートの名前が一緒だと指差す。
続く
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