楽しくて少し刺激的だったウルムチ(4)
そこから風向きが変わる。
若いのはパスポートと領収書を交互に指差しながらリーダーに説明している。警察官同士が数分話をする。リーダーはピンクの女性とも話をする。ピンクは領収書と同じような紙を持っていたようで、それと見比べる。さらに会話。
その時に気がついたが、もう1人の若いのはスマホを胸のあたりに持ち、ずっと会話をビデオ撮影している。道理で彼は何も話さない。
次にリーダーは、ピンクの女性に説明口調で話し出す。長く感じる時間。リーダーがこちらを向いて何か言う。若者がスマホを貸せとの手振り。
スマホ翻訳には「あなたは問題ない」と文字が浮かぶ。
よかった。何かわからないけど、連行は免れたようだ。
3人の警官は、何事もなかったのように出て行く。一晩警察はいやだなぁとか、新聞にのるか?とか言う懸念が、晴れた。半分まだ疑心暗鬼だが。
その後、ピンクとその後ろに隠れていた後2人の女性が、警官が出て行くと入れ替わりで部屋に入ってくる。ピンクはペンを貸せとの手振り。
ペンを貸すとベッドの上で先の領収書の裏に何か書こうとする。が、ベッドが柔らかくてうまく書けない。おそらく緊張もあったと思う。
スマホを差し出す。
戸惑いながら文字を入力する。
「すみませんでした。私の間違いでした。」
本当に済まなそうな顔を見せる。
そうか、彼女が通報したんだ。少し事情が呑み込める。
僕は彼女の肩を叩きながら笑顔で「大丈夫」と声をかける。彼女たちは引き続き本当に済まなそうな顔で出て行く。
これで終わった・・・のか?
続く
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