議論 : 何故に優秀な上司の下に、優秀な部下が育たないのか?

なぜいい上司の下にいい部下が育たないのか?
というお題がnewspicksで上がっていました。

https://newspicks.com/news/2305005/

概ね賛同できるのですが、少し自分の経験•感覚と異なるので、ノートに書きました。

長文ですがご笑覧下さい。

それはその上司の方が、プレーヤーであって、仕事を全うすることだけを仕事と思い、人を育てる「決断」をしないからです。

例え話をしましょう。

その上司のところに仕事が来ます。それを部下にアサインします。例えばある製品のプロモーションビデオを作らないといけない、としましょう。

部下は、SNS時代のプロモーションだから、スマホを駆使して撮影をし、素人を使い、SNSでバズらせましょう、という提案を持ってきた。
上司はそんなことをやったこともないし、会社上層部はどう思うか?、自分がどう説明するか?とか、いろんなことを頭に巡らせます。

当然、仕事の完成第一だと、そのアイデアを却下し、自分の脳内の設計図を示し、こうしなさい(例えば今まで通り、電○を読んで、いいビデオを作りなさい)と指示します。

その結果、部下の新しいアイデアの枝は切り落とされ、上司の能力・経験の枝と同じ形の枝が部下にできます。

能力というのは、うまく行くと枝のように育ち、広がるものと思います。
ここでは、その能力の形を能力樹形と呼びます。ところが、上司視線で枝借りを続けると、部下一軍に自分の能力樹形と同じ能力樹形がに構成され、かつ、それは上司を超えられません。上司は自分をモデルにそう刈り込んだからです。
こうして、ミニ上司グループの誕生です。

イチョウ並木がキレイなのと同様、この部隊のメンバー個々の能力樹形は揃っていて、とてもキレイで、決められた仕事は隊列を組んで素早くこなします。
しかし、上司はいつまで経っても部下を信用出来ません。何故なら自分の脳内の設計図を実現するのは、自分が1番早いからです。

ところが、能力樹形が皆一緒なので、1つの外乱で死にたえる可能性が上がります。イチョウだと、外注や台風などに相当します。時代がSNSに移行している、という大変化に対して、従来の仕事のやり方を続けます。

この状態が部下が伸びない、ということです。上司は「うちのメンバーはもう1つ力がないから、いつまでも俺がフォローせんといかん」、と言い続けるパターン。

ではどうすればいいでしょうか?

上司がリスクを取った判断をすることです。
先の例では、「分かった、この土日で必要なものを集めて、20秒のビデオを作ってこい。
それがうまくいきそうだったら、そのアイデア採用する。その代わり代休はしっかり取れよ」と自分の中で取れるリスク(失敗しても通常シーケンスを取って、挽回可能か?)を勘案して、部下の提案を実行させます。当然時には代替案のない決断もしないといけないでしょう。

でも、こうして部下を信頼することで部下の能力樹形は上司のものとは違って来ます。これが続くと一種類のイチョウの形ではなくて、リンゴや松などが育ちます。元々の個性は全員がイチョウではないのですから、イチョウの樹形に揃えても効率よくありません。むしろ、いろんな木が生えていることで、色々な突発対応が部下の判断でできるようになるんです。

つまり、基本は褒めること、が能力を伸ばす一番の策なのですが、今まで見たことないアイデアを、部下やチームにチャレンジさせられますか?
というのが内在する課題なんです。

仕事なんて所詮ゲームみたいなものです。
失敗しても殺されはしません。とは昔の偉い上司が教えてくれた言葉。

その覚悟がプレーヤーとマネージャーの違いになると考えています。

なお、代替案もないのに、とりあえずアフリカに行ってこい、という亀山さんは、偉大な上司を超えて、偉大な預言者です。

こういう決断力がないと、中国、アジアの諸国と互して戦えないでしょう。

彼らは思いついたら、何でもやってきます。


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