赤い悪魔と友達

なぜ、皆、悪魔を悪だと考えるのか。
出会ったことも無いのに。

私はある悪魔と友達になった。
"彼女"は恐ろしく黒い目をしており、肌が薄く赤い。
4つの角は両のこめかみから左右に、その角の前方(おでこ)からも2つ平行に出ている。左右の角はこめかみに対して直角に出ており、数センチの所で90度に上に向く。長さはそこまでで、8cm程度。前方の2つは、日本刀のように空に向けて反り上がっている。30cmはあるが、左の先端はかけている。触り心地はカーボンの様で模様も特に無く、意外に軽そうである。毛という毛は無く、服などの装飾品もない。全身に幾何学的(ほとんどは重なった丸だが、所々四角いのもある)なタトゥーの様なものがある。なぜ、"彼女"であるとわかったかというと、胸があるからだ。その胸の中心に大きく六芒星のタトゥーがある。胸に突先は無い。人間と同じ関節を持ち、同じようなパーツや、歩き方をする。角や肌の色に加え、人間の男より3つ回り大きな手と、指が大きな爪(爪というよりオウムのくちばしに近い見た目)となっている。爪は第3関節から始まっており、少し黒がかっている。少し硬い上かなり角張っており、先端も尖っている。人間より可動域は少ないが、母指対向性は持っており、簡単な物なら持てる。赤の体に白の模様、人間と同じ様な生態、そして角も入れたら、身長は約2m80cmはある。
会話は出来ない(彼女特有の言語はありそう)。
吸い込まれてしまいそうな黒い目は、慣れていくと、ビー玉の様に純粋で美しく思える。

仲良くなったきっかけは偶然である。
私が地獄に落ちたのだ。完璧な絶望をした日の事であったため、彼女を見た時も当然の事だと受け入れた。
彼女は瞬きもしない黒い目をこちらに向けながら、手をへたり込んだ私の顔に伸ばしてきた。私はただその生物をボーッと眺めていた。
彼女は禍々しい爪を器用に使い私の頭を優しく撫でた。
私は見上げ、初めて彼女の輪郭を描いた。
真一文字の口が少し笑ったかのように感じたが、それを確かめる前に彼女の胸に飛び込んでいた。
彼女は私を支え、そして何時間でも抱え込んでくれた。
人間より少し体温が、私にとっては初めての本当の温もりに感じた。私は少し笑って、泣いた。

彼女は初めから優しかった。

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