スタンドアップコメディ

知り合いのジャックから聞いた話。彼は日本の中学校で特別講師として英語を教えてる。ある時、同僚の齋藤が受け持つクラスでイジメが発覚したそうだ。
30人のクラスで、K君がH君をイジメていた。加害者1人と被害者1人の簡単な話さ。
同僚の齋藤は問題を解決する為に28人の生徒を罰したそうだ。

なんでだ?なんで問題をややこしくするのか?
齋藤が言うには、「クラス内にイジメがある事は恥ずべき事だ。気づいてたにしろ、気付いていなかったにしろ、先生に発覚する前に対処出来ていなかった周りが悪い。」と。
...お前の監督不行き届きだろ?

何が正しくて、何が正しくないかを教える為の学校だろ?

どうやら大事(おおごと)にするのが得意な齋藤はその後、K君、H君と、2人の親、校長、教頭を呼んで話し合いをしたらしい。
齋藤「K君のお母様。実は学校でK君がH君をイジメている事が発覚しました。
・・・(中略、どんな事をしたかの説明。)
H君は大変辛い思いをしたはずです。ですので、K君
、H君に対して謝って頂きたい。」
K君のお母さん、「K、謝って。」
K君、「H君、ごめんなさい。」
H君、「...いいよ。」
いや、こんなん、許す他無いよね?どんだけの大人に囲まれてると思ってるんだよ?

どうやって日本の同調圧力が育って行くのがわかった気がするよ。

相変わらずな齋藤は、これで解決したと思ってる。
ただ納得行かないのは、帰ってきてから学校の話を聞いて愕然とした、罰を受けた28人の生徒の親達だ。齋藤のデスクでは苦情の電話が鳴り止まなかった。罰を受けた28人はK君とH君を疎ましく思い、2人はハブられる羽目に。2人は学校に来なくなったり、転校したりで、齋藤の仕事が増えるばかり。
それでも飲みの場でこぼすらしい、「なんで俺ばっかり」ってね。

悪いのは彼に教育免許を与えた者だ。それって誰だ?ああ、そっか、私達か。

私達が教育免許を与える者を選んでいるんだった、忘れていたよ。
...て事は、そのせいでイジメられる生徒がただ不憫な思いをしている?私達も齋藤から罰を受ける必要があるって事?

ああ、そうか。加害者側は謝ればいいのか。ごめんねH君、君に神の加護があらんことを。

因みにジャックに聞くと、アメリカではもしイジメがあった場合、加害者に罰を与えて、被害者にカウンセリング等を勧めるらしい。
うーん、実にシンプルだ。

これがジャックから聞いた、ことのあらまし。
日本は子供の頃から同調圧力に屈する訓練を受けているとアメリカ人の知人から教えて貰った話。

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