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なぜソロキャンプをするのか

「なぜソロキャンプするのか」
そんな考察が、あちこちでされている。

空前のキャンプブーム?
老若男女問わず一人でキャンプをする人たちの増加?
孤独を求める?
集団を離れる?

なんか色々考察されているけど、ソロキャンプをしようと思った気かっけなんて、きっと人それぞれだろう。

私とキャンプ

子供の頃、夏休みは毎年、海水浴と、山へキャンプに行っていた。
海水浴は日帰りだったように思う。
道北の旭川は山に囲まれて、海へは、留萌まで行く必要があった。

車で1時間半程度で、黄金岬の岩場ではイカの足をつけた紐でカニ取りを楽しんだ記憶もある。

浜辺にテントを張って泊まった記憶もある。
波打ち際からかなり離して張ったのに、朝目が覚めると、テントの目の前まで波が迫っていて驚いたことがある。

2学年下の弟が小学生の頃、剣道クラブに入っていた。
剣道は、大会に行くために親が送迎をしたり、応援をしたり、なんだかんだで、子供だけではなく親同士も交流も生まれるのだろう。
私よりも年上のお兄さんもいたり、今思えばみんな随分と仲が良かった。

そうすると、家族ぐるみでキャンプに行こうという話も出る。
それも近場じゃなくって、車で数時間かけて、夕張とか、遠方のキャンプ場へ行ったし、
キャンプは2泊3日とかだった。

3~4家族で、事前にうちに集まってどこに行くか相談して、当日は車に荷物をぎゅうぎゅう詰め込んで、各々出発し、
トイレ休憩ポイントだったり、現地で交流して、それぞれテントを立てて、
食事は一箇所に集まってみんなでBBQだった。
焚き火をした記憶はあまりない。

それでも、テントの設営や炭火をおこすなど、やりたがりの私はなんでも自分がやりたくって、大人のそばをチョロチョロしていたように思う。
大人になって実家の前で友人を呼んでBBQしたときも、火起こしは私の仕事だったし楽しかった。

子供は、弟の剣道仲間ばかりだったので、女の子は少なくて、弟と同じ学年の男の子ばかり。
うちは私と弟と、3学年年上の姉。
6学年離れた兄は全く参加せず家で好きにやっていた。
女の子がほとんどいないので、誰かの母親によく可愛がられたのを覚えている。
男の子だけのお母さんばかりだったので、疑似娘のようで可愛かったのだろう。

ある夏のキャンプの打ち合わせで、誰かの母親に
「キャンプでピザ焼こうね」
と楽しそうに言われた。
ワクワク楽しみにしていたら、キャンプの前日にその人からFAXが届いた。
ピザを作る材料と、作り方だった。
つまりレシピなんだけど。
ん?と思っていたら、キャンプ場に着くなりブルーシートに大きなビニール袋を開いて広げ、そこに粉を出し、いきなり生地づくりが始まったのには驚いた。

生地からかー

と思ったのを覚えている。
でもきゃあきゃあ言いながら生地をこねて、黒いゴミ袋に入れて気温の上がる車内に置いて発酵させ、
出来た生地を丸く薄く伸ばして好きな具材をチーズをたっぷり乗せて、炭火の上にあるホイルを被せて焼いたのは楽しかったし美味しかった。

ある年のキャンプでは普段より更に遠くへ向かうことになり、どこかで無線機を数台借りてきて、各々の家族の車に配備して、はぐれないよう連絡を取り合いながら移動するという事もあった。
もちろん、はぐれたし、けっこう大変だった(笑)
その時の無線の担当が私だったのは言うまでもない(助手席に座りたいやつ)
当時は母が運転をして、父は単身バイクでついてきていた。

そういうわけで、私の中でのキャンプと言うと、

・みんなで
・遠方に
・1泊以上
・いろいろする

というベースが刻み込まれた。
元々両親と4人の兄弟で6人家族なので、特に「みんなで」は大きかったかもしれない。
ちなみに私はテントで寝ると端っこになることが多く、内側のテントに腕や足がくっついた状態になり、高確率で蚊に刺されるので、それが嫌で嫌で、いつ頃からか一人で車で寝るようになった。
毛布にくるまって寝る(北海道の夏の山は朝晩肌寒い)

キャンプの機会が無くなる

弟が中学性の頃までは、そういう感じで毎年キャンプに行っていたが、
高校進学とともに機会はなくなった。

なぜなら弟は、実家から随分と遠い、全寮制の高校へ進学したからだ。
高校に剣道部がなかったため、空手部に入った(兄が空手をしていて、私は少林寺拳法を習っていた)
そうして、私自身が高校を卒業し、実家を出て札幌で一人暮らしをするようになり、
「みんなで」キャンプに行く機会は、なくなった。

夏のお盆休みに帰省はしたが、弟は高校卒業後に東京に修行に出たのでほとんど帰省せず、
あの頃の「みんな」が集まる機会すら失われた。

大人になったら大人になったで、キャンプに行く機会はあると思っていた。
しかし思いのほか、私にはその機会はなかった。

①車がない
免許は持っており、GW、お盆休みの帰省時には、父が運転の練習に付き合ってくれた。
その際に乗るのは、保険に制限が掛けられていない、父が普段仕事で使っている、後ろの座席が取り外された、
車高の高いハイエースだ。
そしてオートマだ。
めちゃくちゃ楽。
しかしマイカーは持っていないので、キャンプに行くには車を持っている誰かが必要だった。

②「みんな」がいない
キャンプは「みんな」でするものだと思い込んでいたのと、①の車がないこともそうだが、
正直言うと一緒に一泊で出かけるような相手が私にはいなかった。
気心の置ける友人は札幌にはおらず、友人はみんな旭川だ。
そしてアウトドア気質の友人は居なかった。

③思いつかなかった
私自身は、もともと友人も多い方ではないし、一人で出かけることに何の抵抗もない。
喫茶店、ファーストフード店、ファミレス、居酒屋、焼肉と言った飲食店はもちろん、
冬にJRで小樽まで行って雪あかりの路をひたすら撮影しまくったり、
ひとつ前の記事に書いた一人旅もよく行った。
しかし、一人でキャンプに行くという発想が、まったくなかった。

行きたい場所があれば行けばいい

10年くらい前までは、実家に帰省すると、父が運転の練習だと言って、仕事で使うハイエースを運転させてくれた。
助手席にいつも座ってくれて、目的地は父が決めていた。
旭川から出発し、
函館、釧路、稚内…
遠方ばかりで、稚内に関しては日帰りだったから帰ってくるころには夜になっていた。

24歳の頃、お付き合いする人が出来てからは、GWやお盆休みはその人と過ごす時間も多くなり、車の運転の練習は全くしなくなってしまった。
その人とお別れして、帰省時に実家で過ごす時間は増えたが、母親の運転でドライブするくらい。
自分で運転することは全くなかった。
(自賠責保険の制限とかあるしね)

今から3~4年ほど前だろうか。
カーシェアというサービスを知ったのだ。
好きなところに、好きな時に行ける。
その誘惑にのり、登録して、まずは30分ほどの場所にあるシャトレーゼに行くことから練習を始めた。

タイムズのカーシェアの車はほとんどオートマだし、私の家の近所にはカーシェアの車のあるタイムズがそれなりにあった。
広いタイムズの駐車場でカーシェアし、バック駐車の練習もした。

何回かシャトレーゼまで走らせると、なんとなく感覚を思い出してくる。

隣に乗ってもいいよ、と言ってくれる友人がいて、札幌から秩父別まで、片道約3時間のドライブに付き合ってもらったりもした(帰りは運転してもらった)

そうしてやっと、一人で、自分の運転で、朝5時に出発したけど、片道約1時間かかる支笏湖までのドライブができるようにまでなった。
※誰もいないし駐車場は無料だし店は開いてないし湖を見るだけなので滞在20分くらいだった

行きたいところに、行きたいと思ったときに、行けるじゃないか!
と、この時やっと、気付いた。

だがまだ、
一人で車を運転してキャンプに行けばいい、という事までは、気付いていなかった。

方法を知った時

キャンプに行きたいな、とは、今思えば、ずっと思っていた。
でもそこに至るまでのプロットを、組み立てる事が出来ずにいた。

コロナ禍で、キャンプ人口が増えたという話題を耳にする。
ソロキャンプという言葉を知る。
一人で自由気ままにキャンプをする人がいると知る。
それまで知らなかった。
私の中でキャンプは、みんなで行く、が定義だったから。
そこで突然、あ、一人でキャンプに行ってもいいんだ、という気付きを得たのだ。

一人で喫茶店に行く。
一人でファーストフード店、ファミレス、焼肉屋で食事する。

一人で旅行する。
一人で温泉に行く。

同じことだった。

なぁ~んだ、とっても簡単なことだった。
調べてみたら、一人用のテントも売ってるし、全く何の問題もそこにはなかった。

キャンプをしたかったら、一人でも、自分で運転できるのだし、行けばいいんだ。

この大きな気付きを得てから、必要なものを買い集め、実際に一泊のキャンプを実行するまで約一か月。
このスピード感のおかげで、約20年にわたる、ぼやっとした「キャンプしたいな」欲をいくらか満たす事が出来た。
いざ一人でキャンプをしてみると、もちろん大変なことも多かったけど、結論としては「楽しかった」の一言に尽きる。

そしていろんな道具や、キャンプ地へのあこがれが生まれてくる。
あれをやってみたい、あの道具を使ってみたい、あの景色が見たい。
欲望は、尽きることがない。

誰かと行くキャンプというのも楽しいだろうとは思うけど、複数人用のテントを用意するとか、
いっしょに行けるよという人の確保、都合を合わせることを考えると、なんとも面白いことに、
こちらの方がハードルが高い。

本当は、子供の頃の、あの頃一緒に行った人たちと行ってみたいという思いもあるけど、
それは無理なんだろうな。
年もそうだし、関係性とか。
あの頃と同じではないものが多くて。

まとめ

冒頭に書いたけど、
「なぜソロキャンプするのか」
そんな考察をたまに見かける。

集団からの脱却
自然の中での孤独
感覚を研ぎ澄ましたい

何か色々むつかしいことを言ってるけど、
実際にソロキャンプしてる人たちって、多分そこまでたいそうなことは考えてない。

行きたいから行く
やりたいからやる
一人だと誰かと都合を合わせる煩わしさがない
だから一人で、行きたいときに、行きたいところへ行く。

ただそれだけなんじゃないかな。

だって、誰かと行くのも楽しいって、ちゃんと知ってるんだもん。

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