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遺留分侵害額請求について

 遺言執行者として遺言披露を行う際に、遺留分について一般論として、説明するケースがあります。

遺言での分割内容が、各相続人の遺留分相当額以上確保出来ていれば、問題無く、例え相続する遺産額が各相続人の想定額よりも低くても、粛々と受け入れなければなりません。(ちなみに、第三順位者:兄弟姉妹、甥姪には遺留分はありません)

ところが遺言書の中で、子供たち相続人が相続する額が全くない、あっても少額となった場合、遺留分を満たしていなければ、他の相続人等に際し遺留分侵害額請求をすることができます。(できると書いたのは、必要がなければ、財産がいらなければ、しなくても良いのです。)

さて、この遺留分の計算、果たしてどのように算出するのでしょうか?
まず全体の財産がいくらなのか把握しなければなりません。相続人の財産目録は、民法1011条の1項において「遺言執行者が財産目録を遅滞なく作成、相続人に交付しなければならない」とありますので、受益の少なかった、あるいは無かった相続人でも、目録を請求して確認ができます。

ご家族、ご親族が遺言執行者に指定されていた場合、こういった部分を端折るケースもあるようです。法律に親しみの薄い方が遺言執行者として、事務などを執り行う場合、手続きが要領を得ないのでしょう。
相続人の方は、しっかりと財産目録は確認した方がよろしいかと思います。

 さて、自分は遺留分を侵害されているだろうかと疑問を持った時に、遺留分の計算はどうしたらよいのでしょうか。そもそもそうに感じても、その侵害額は果たしていくらになるのか?一般の方には皆目見当もつかないと思います。

遺留分って何?

知人の方で、親族の方から全財産の遺贈を受け(包括遺贈)、その亡くなった親族に子供がいたケース。子供より遺留分侵害だと申し出があり、知人の方が弁護士さんに相談したところ『漠然と(金額を言わずに)請求された場合は、「遺留分侵害額はいくらなのか?またその計算根拠は何に基づいているのか」などを逆に請求側に確認した方が良い』とアドバイスを受けたそうです。ただ単に「遺留分を侵されているから、お金を請求する」のでは通らないようです。

そうなった場合、一般の方ですとやはり弁護士さんにその計算及び請求手続きを頼らざるを得ないケースがかなり多いでしょう。遺留分の計算には相続開始前の一定期間の生前贈与した額なども加味します(詳細は下部のリンクをご参照ください)ので、取引銀行への資料請求また、不動産を所有しているならば、その不動産の価額をどのように査定するのか、相当の専門性や知識が求められます。

その請求の際は弁護士さんが代理人として、内容証明郵便などで請求をするでしょうから、たとえば子供の間での請求であれば、「弁護士さんを通して」となるともう仲違いの始まりとなってしまうでしょう。
「相続人○○代理人 弁護士A」などと書かれた便りが来れば、気持ちは穏やかではありませんし、その後の子供間の交流は断絶となってしまうことが多いように聞きます。

そう考えると、血を分けた子供たちの相続後の交流継続を願うのであれば、遺留分を考慮した配分をする遺言が理想で望ましいと言えます。
よく巷間で「あの家は、遺言書があったけど揉めたんだよね」と聞かれる噂はおそらくこのようなケースを指していると推定します。

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