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もううんざり?

 前回のNoteでしばらく寝かせておくといった too much な話です。

 後半3Dの話題になって、too much の曲の考察じゃないので、タイトル通り「もううんざり…」って人は無理しないでください。あくまで私個人が今回考えたことをダラダラと書いてますので、ご了承いただける方だけ先にお進みください。

 too much、好きな曲調です。私はSevenより3Dより断然これ。Central Ceeの部分は具体的な描写がありすぎて色々アレなのですが(とりあえず病んでる彼女と付き合ってる設定なのかな)、元々ブリティッシュアクセントのラップが好きなので聴けてしまう。3人の声の相性抜群だなと思います。

 でも以前3Dの記事でも書いた通り、私は恋愛色が強すぎる歌にはあまり関心がないというか、バンタンでいうホルモン戦争やBoy in Luv期のような、未熟な男性が未熟な女性に恋してお互い辛そう…という感想しか抱けないのでツボではないです(でも聴く)。でも、こういう若々しい恋物語も若い層を取り込むには必要ですよね。

って書いてたら、この記事が流れてきてちょっと笑ってしまった。

 え、もしかして私ってZ世代なんですかね?(全然違います)

 セックスシーンといえば、少し前に夫が The Last of us (ゾンビパニック系人気ゲームの実写化)3話でありえないほど泣いたと言ってて、周りでも結構話題になってたので見てみたんです。

 中年のおじさん2人が極限状態の中で愛を育んで添い遂げる話で、確かに感動的だったんですけど、私的にはベッドシーンが露骨で余計だったんですよね。なかったらもっと精神的な絆にフォーカスできたのになぁと。それを夫に伝えたら「同性愛だからダメだったってこと? 男女なら受け入れられたの?」という質問が。そうなのか?と自問してみたら、私は男女でも特にベッドシーンいらねーなって思って(あっても適当なところで暗転派)。夫はそこまでじっくり描かれてたからこそ絆の強さも分かって良かった、とのこと。こればっかりは好みの問題だ。

 私はこの話をきっかけに、性的指向・嗜好関係なく、単に目の前であからさまに性的な話や行為をするタイプが苦手なだけなんだなという気付きを得ました。確かに人目を憚らずいちゃいちゃしまくるカップルや、直接的な下トークが万人にウケると思ってる人は同性愛でも異性愛でも苦手だったわ……。

 でもそこで恋愛や性的なものを極端に忌み嫌って表現を規制していく世の中もカルト的で怖いと思う。やっぱり色々な価値観を描いた作品があって、それを選べる自由があってこその多様化なんだろうなと。今まで男女の恋愛を描いた作品が多すぎたから最近それ以外の作品がたくさん出てきてるけど、今まで多数派王道と言われてたものは時代遅れだ、跡形もなく消え去れというのもなんか違うと思う。それはそれで生まれ続ければいい。選択の自由は消費者にあるわけで。

 バンタンの曲は女性とか男性とか恋愛とかをあまり意識させない傾向が一時期あって、それが多くの人に受け入れられた理由でもあるとは思うけど、だからと言って自分の色を出したいソロ活動で、異性愛の特定の恋愛観が前面に出てる歌を歌うのを咎めるのも横暴な気がするんです。私の好みと違うと言うのと、あなたはそっちに行ってはいけないって言うのはまた違う気がする。そこを切り分けて考えてないとなと思いました。自戒も込めて。

ユーモアのセンスの違い

 too muchを聴いて、改めて3Dについて考えるようになりました。もちろん設定が繋がってるわけじゃないけど、この好きで好きで、自分としては愛情を示しているつもりだけど、価値観の違いから裏目に出て女性に愛想つかされてる感じが、3D議論で凹んでしまっている一部アミへの歌みたいだなぁ〜と思ってしまいました。男性側は彼女が苛立ってる理由にピンと来てない感じもリアル。たとえ謝っても「何が問題なのか本当は分かってないでしょ」って言われちゃうやつや。

 Central Ceeの歌い出しがこれなんですよね。

Am I doin' too much?
俺、やりすぎかな?
Do you understand my slang and get my sense of humor?
俺のスラングとユーモアのセンスが分かる?

 この一節で、なんで私自身が3DのJack Harlowパートにそこまで嫌悪感を感じなかったのか気付いたんです。

All my ABGs get cute for me
俺のABGs(Asian Baby Girls)たちは皆俺のために可愛くなってるよ

 ABGを差別用語と認定すべきかどうかは一旦置いておいて、私は瞬発的にジャックはこの発言に対して

I'm not being cute for you. I AM CUTE !
あなたのために可愛くしてるんじゃない。私は元々可愛いの!
Go fu** yourself, WBB(White Baby Boy)!!
一人でヤッてろ(意訳:黙ってろ)白人赤ちゃん坊や!

って返せる女性がめちゃくちゃ好きだろうと思ったんです。だって好みの女性、デュア・リパらしいし。そもそも全アジアの女性が彼のために可愛くするわけがないから、完全にHIPHOPのフレックス(見せびらかす、格好つける、自慢する)と受け取っていた。

 差別という考えが頭になかったのも、HIPHOP界では白人として批判されがちだった存在で、BLM運動を支持してる人だというのが頭にあったからに過ぎない。彼の出身地ケンタッキー州はKKK(白人至上主義団体)の本部があり、アメリカの中でもかなりそういう傾向が強い地域として知られています。その中で白人として育ってBLMを支援する側に立つというのは他の地域よりもかなり大きな意味を持つんじゃないかなと。
 そういえば彼のインタビューで「今後君が絶対に行かないと思ってる路線は?」と質問されて「なんだろう……白人至上主義者とか?」って答えて、黒人インタビューアーが「音楽的にって意味だよ!!」ってツッコミながら大爆笑してた動画を見たことがあります(私も爆笑してしまいました)。

 どうせどこに行っても強者というレッテルが貼られるのであれば、それを逆手にとって自虐を込めた痛烈なブラックジョークで距離を縮めようとするタイプの人たらしなんだなぁと。強烈発言で軽くてしょうもない男だと思わせといて、別のところで誠実さを出してギャップで人を落とすタイプとみた(好きなタイプではありませんが、好きな層がいるのは理解できる)。

 でも今回、色々な人の見解を聞いて「そうか、確かに単に女性をモノ扱いしている嫌なヤツとも解釈できる」と思い直しました。私も彼をリアルに知っているわけじゃないので、普段本当に「ジャック〜💕」って目をハート型にしている女の子たちを侍らしてふんぞりかえっているようなタイプなんだったら、確かにムカつくかもしれない。その上でのABGは無理な人には無理だよなぁ。弁解するタイプでもないだろうから、真相は闇の中になるんでしょうが、今回の『発言者の属性や印象によって言葉の受け取り方が変わる現象』はとても興味深いと思いました。

 こういうユーモアのセンスの違いについては、私も未だに壁にぶち当たることが多くて、以前少しこのNoteでも吐き出させていただきました。

 上の記事では「パールハーバー」ネタを紹介しましたが、私が実際に友人に言われたジョークで良い例だと思い出したのは、

「おかしいなぁ。昔の007の映画で"Man comes first in Japan"って台詞があった気がするんだが」

 私はそこで「残念、そんな女性はもう存在しないよ。タイムマシンが必要だね」と返した。これも結局ジョークだと処理できていた理由は、その白人男性が日本人の恋人の尻に敷かれてて、私にも威圧的な態度を取った事がない柔和な人だったからで。でも今思い返してみると、違う状況でこのネタ振ったら最低でしょうし、普段から嫌な感じの人だと思ってたら私も笑って返せなかっただろうし。あと、側から第三者が会話を聞いてたら「こういうことをジョークにするんだ」って傷つくかもしれないんですよね。今回の件で、改めて気をつけなきゃいけないことなんだと感じました。

現実を反映する作品作り

 少し話は変わりますが、私は30Rockというアメリカのコメディ番組が苦手です。とにかく人種・性別その他諸々の差別的なネタが多くて。

 でもこれ、番組の製作総指揮者で主役のティナ・フェイが実際に有名コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」(SNL)の女性脚本家やってて、彼女が弱者サイドから見てきた愚かなるテレビ業界の裏側を面白おかしく描いているということで社会的にはセーフ?というかむしろ評価を受けているのだそう。
 で、ここでセクハラ最低上司を演じてるアレック・ボールドウィンは民主党支持者として知られており、普段はトランプ元大統領のモノマネをSNLでやってるような人だから、本人が思ってもないであろう差別的で酷いことを言うのも面白い要素のひとつとされているんだそうです。これも発言者の属性や印象によって言葉の受け取り方が変わる現象のひとつでしょうか。

もっと詳しく知りたい人はこちら↓

……でも正直、「いや、そんな番組外のトリビアなんて知らんわ」ってならないのかなと思って。差別表現を正す人(ツッコミ役)が画面内にいないところも心がざわざわするのかも。だから私自身はあまり面白いと思わないけど、これまた夫は好きなんだそうで。「実際あるのに、TVではそんなもの存在しないかのように扱われてる方が怖くない?」とのこと。まぁ、それもなんか分かるんだよな〜。(ちなみに夫は白人だけど名前で移民と分かるので、自己紹介の後に態度を激変されるという経験はしてきているらしい)。

 「こんなの見ないで!」とか「面白いと思わないで!」と言うのもなんなので、差別があるこの愚かな社会を嘲笑うことでストレスを発散させるタイプの人たちがいる事実は受け入れるべきなのかもなぁと最近思っています。

 差別発言を直球で非難するのではなく、「うわー、この間見たコメディみたいなこと本気で言ってるww プププ ダサwwキモww」という雰囲気を作って辱めようというアプローチということかな?(合ってる?)

 そんな中で、夫婦でも割と笑えるコメディドラマが上の記事でもあげた「キムさんのコンビニ」。これもかなり攻めたジョークが多いんですが、なぜかこれは私も素直に笑えるんですよね。結局これも自分がアジア人だからなんだろうか?

 その中で秀逸だなぁと思ったスキットがあったので紹介しようと思います。

 主人公の韓国系男性と上司(白人)がランチに行った先で笑える中国人店員に遭遇。その時の話を男性が面白おかしく同僚に話してたので上司も便乗するが、中国人の真似したところで「それは真似しちゃダメ!(君は白人だから)」と言われる。上司は後で自分の行為が不適切だったと悔やむ。

 別の日、オーストラリア訛りのお客さんが受付にやってくる。話し方を真似する韓国系男性2人に「真似しちゃダメじゃない?」って聞く上司。
「大丈夫、オーストラリア訛りで怒るキーウィはいない」
「キーウィはニュージーランドよ」
「問題ないよ、白人の言葉だし?」
「でもその客は白人じゃなかったな」
「オーストラリア人なのに?」
(↑もなかなかの発言で上司絶句)
「どっちにしろ、この間の君のやつの方が酷かったよ」
「それはそうなのかもしれないけど、そもそもなんであなたたちが中国人の真似していいの?(韓国人でしょ?)」
「アジア人だからいいんだよ」
「よ〜し、ここはステイシーに聞いてみよう。だって君は……うん(黒人だから)。俺たちが中国人の真似しても問題ないよな?」
「だって中国人じゃん」
「韓国人よ」
「あ〜そう…別にそっち系の訛りなら全部やっていいんじゃない」
「そっち系って何だよ!」
「(ステイシーにとっての)ジャマイカみたいなもんよね?」
「私、ジャマイカ出身じゃないけど?」
全員気まずくなったので、上司が「皆それぞれ自分の文化のアクセントでだけ話すようにしましょう!」ってまとめようとするんだけど、結局さっきのオーストラリア人が戻ってきて、上司がつられてオーストラリア訛りになってしまうというオチ。

↓ うまく切り取られてた動画があったので貼ります。

「いやいや、お前ら全員アウトーーー!!!!」

って画面外から盛大にツッコむのがこの一連の面白さだけど、これもドラマ内ではツッコまれないから、見る人によってはモヤモヤするジョークの典型例じゃないかなと思いました。

 そこから更に韓国人男性を演じてた俳優(実は中国系でマーベル映画の主演とかもやってる)が自身のSNSにオーストラリア訛りの部分をUP。

 そして「こんなに上手いオーストラリア訛り初めて聞いた!」ってオーストラリア人たちに絶賛されるというWオチ。

 やっぱりこのね、不謹慎だと思わない感じがもう強者の証明だと思うんですよね。悔しいけど。

 今回の3D騒動に話を戻すと、ABGに関しては私は未だに立ち位置が分からないです。明らかなヘイトならともかく、意図していないであろう発言に怒って釈明・謝罪まで求めるのは自分が普段からコンプレックスを抱えていることを認めることになる気がして。それで私はあまり気にしたくないと意地になっているのかもしれない。なんなら私、アジアの方が本気ですごいって思ってますからね。だからアジア人差別してくる人がいたとしても「最近人気の我々に嫉妬かな? あなたごときに何か言われたところで痛くも痒くもありませんけどね。お疲れ様です、MIC DROP!」で終わりたい願望がある。

 一方で、実際にこの言葉で過去のトラウマが蘇り、傷ついて声を上げている人に「いつまで悲しむの?静かに応援して」と言うことはできない。彼らには彼らの戦いがある。でも「アジア人女性なのにどうして連帯して声をあげないの?おかしくない?」と言われるのも納得いかない。うーん、難しい。

 ただ、今自分の中で確かなことは、もう白とか黒とか黄色とか男とか女とか日本とか韓国とか強者とか弱者とかそういう全ての枠組みがマジめんどくせーーーわーーー!!!ってこと。もううんざりだわ〜!!!(あ、タイトル回収)

 全ての属性を取っ払って先入観も前世代の黒歴史も全てないまっさらな状態で仲良くできたらいいのにって思うけど、そんなのは不可能なんですもんね。自分の属性もまた自分の個性のひとつとして受け入れて愛していきながら、他者と関わっていくしかないんだろうな〜

 …最後まで何の結論も出ませんでしたが、とりあえずこのどっちつかずの感情をどっちつかずのまま吐き出せたので、GOLDENは新たな気持ちで迎えられる気がします。長々とお付き合いいただきありがとうございました。どんなアルバムになるか楽しみだな〜!

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