卯月コウの4分33秒

            ≪はじめに≫

 以前「卯月コウがいかに素晴らしい存在であるか」というnoteを書き、Twitterなどで様々な感想を持って頂けたことに大変感謝の気持ちを覚えた。本当にありがとうございます。
 どれくらい嬉しかったかと言えば調子に乗ってまたnoteを書いてしまうくらいには嬉しい。
 感謝の念なのだから文体を変えようかとも考えたがそれも私には恥ずかしいので固い言い回しをさせて頂くことを許して欲しい。本当にありがとうございます。

           ≪4分33秒の配信の感想≫

 本題に入って1月4日、今年初のソロ配信をゲリラが行われた。
 しかもそれは初の歌枠という固定ファンだけでなくEGNで彼の歌声を知った多くの人が期待したと思う。少なくとも私は非常に嬉しく思い、何故スパチャできないのかと怒りを覚えるくらいに感情を昂らされた。

 だが怒りはそのまま、期待は大きく裏切られた。

 その内容は「4分33秒」という音楽の中でも異端の「無音を楽しむ音楽」を行ったのだ。つまるところ”無音”を見せつけられた。
 歌声はなく、BGMがあるわけでもなく、更に言うと生活音もないので真の無音をたれ流したのだ。
 そもそも4分33秒は無音の中にも起こりうる息遣いや服の擦れる音なども音楽の一部なのだという現代アート的なものであり、本当の静寂では意味がない。
(バーチャルという次元で4分33秒を行えば真の無音の配信となり、実際の劇場での4分33秒のような微かな音を大衆が楽しむのではなく、視聴者個人個人の無音を楽しむという視点で見ればある種の現代アートかもしれないなどという御託はなしとする。)

 つまるところ私は歌を歌ってくれない彼に激怒した。
 期待を裏切られた。
 今までで一番彼に本気の怒りを覚えた。

 Connectingで彼の歌声を好きになり、アイシーの惚れて、削除に悲しみ、EGNで最高に盛り上げられた後の歌配信で無言を出されたのだ。
 釣りではないと始めに言った上で、「リヴァイの物真似しながら紅蓮の弓矢歌ってみたwww」といったふざけた歌でもなんでもなく、無言を押し付けられた。
 最初は音響トラブルかとも思ったが、意図を理解して怒りでいっぱいになった。
 本当に許せなかった。ここまで期待を裏切ってくるとは想像していなかったからだ。
 冒頭の言葉を含めれば嘘をつかれたわけでもある。それはもう不愉快極まりないとしか言いようがなかった。

 卯月コウは最低である。



             ≪卯月コウは最高である≫

 手のひらを返すが卯月コウはやはり最高なのだ。これは私が卯月コウのほぼ全行程ファンになってしまっているからなんだとも思う。
 何が最高なのか、天才なのかと言えば「ファンを怒らせるエンターテイメントができる」からだ。これは完全に好意的な解釈に他ならない。怒りの感情をエンタメと捉えられるかは人それぞれであるというよりも、普通そうではないものだ。

 私は4分33秒の配信で確かに期待を裏切られ怒りを覚えた。だが少しの間を置いて考えてみるとあの配信は過去最大に心を大きく揺さぶられたとも思えたのだ。プラス100からマイナス100に感情が動いた。
 何故こんなに動いたかと言えばそれだけ彼が好きだったからに他ならない。
 自分が以下に彼が好きであるか、好意的な解釈を始めると過大評価が頭の中を目まぐるしく回った。

       

             ≪4分33秒配信の過大評価≫

 この配信で最も感動するべき点は彼の「度胸」である。
 リアルタイムでの視聴者は3000人を超えていた。その前で無言を貫く度胸がどれくらい凄いかを少し考えて頂きたい。

 例えば校長先生が全校集会で全員が静かになるまで黙って立つ場面を想定しよう。
 その場には数百の生徒でなく、3000の人間がいるのだ。しかも不良校のように思い思いのコメントがあり、そこには罵倒も歌って欲しいという期待も含まれている。
 その中黙り続けたのだ。口も動いてなかったことからミュートにして歌って気を紛らわすでもなくじっとコメントを見続け、表情を動かさなかった。

 ちなみにラジオやテレビでは10秒ほど無言が続くと放送事故となり、音楽やCMが流れるらしい。トークを基本とするライバーも多少なりとも話続けなければいけないという使命感のようなものがあるんじゃないかと思う。
 ゲーム配信で集中する時に無言になることはあるものの、基本音がある環境、見せる環境があり、その上で話をしてくださっている。
 それをわかった上で黙る。それも4分33秒もだ!これにはかのひろゆきでさえ彼の黙り続けるメンタルに脱帽せざるをえないのではなかろうか。

 更に言えば久しぶりの短時間クソ配信であったことに懐かしさを覚え、そこに嬉しさまでこみあげてくる。
 今回は最も時間を無駄にさせられたクソ配信であった。立派な大きな巻きクソであった。

 そもそもクソ配信は好感度調整のように行われてきたが、実際好感度が高くなってた時期かと言えば微妙と言える。
 付近の配信を振り返るとマリカ杯で大きく話題になったわけではない。先付実況は最高に面白く、あの素材を使った動画は大好きだが。
 ネジキ配信でクリアをしたわけではない。クリアして欲しいという熱は冷めず、アクションではないのでゲームとトークの双方が楽しめる配信ではある。
 おりコウ配信が大きく取り上げられたわけではないと思う。今回はハンドル言及であったりニットおっぱいであったり性癖に関することが多く漏れてとても最低で面白い配信ではあった。
 そしてクリスマスのEGN。これは本人も言及したように賛否両論で、話題にはなったが好感度が上がったかと言えばその分下がりもしたように思える。
 そう考えると今回の歌配信はEGNの今後を左右するといえば全くもって過言ではあるが、卯月コウというフィルターを通したEGNには影響を及ぼす大事な配信にできたはずなのだ。
 そこであえて4分33秒というクソ配信をした。

 他の誰があの状況、あの場でクソ配信ができるだろうか!
 揺れ動く時期に、期待の高まってるときに大きく外していく奴こそまさしく【卯月コウ】じゃないか!

 あれほど卯月コウらしさを見せつけられたのも久しぶりだと私は配信後に思った。これは大きな買い被りで、過大評価で、全行程的な個人の感想である。

 それでも大衆の感情が高まる中、無言を貫き最後に歌ったと思えばぶつ切りで終われる配信ができる彼は私にとって王なのである。

 大衆の中を肩で風を切りながら歩ける【はだかの王様】なのだ。
 自分が全裸であることを理解しながらも、堂々と歩き、罵倒の言葉を全身に浴びながらも歩き続けられる王の姿を私は見たのである。

 今回の配信は最低だったが、最高だと私は思う。

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