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You’ll Never Walk Alone

2月2日、キャプテン・サー・トムが亡くなった、コロナで。


フットボールファンなら誰でも知ってる名門チーム「リバプール」のアンサム、《You’ll Never Walk Alone/ユル・ネバー・ウォーク・アロン》。聞けばわかるけど、涙が出るくらいの熱烈応援歌。1963年、大ヒットさせたのは、当時リバプールの人気バンドとして「ザ・ビートルズ」と人気を二分していた「ジェリー&ザ・ペースメーカーズ」(だってマネージャーが同じブライアン・エプスタイン)。



世界応援歌選手権なんてものがあったら、絶対に優勝するだろうの「You’ll Never Walk Alone」。2020年3月20日(金)午前8時45分。コロナに日常を奪われ、不安におののくすべての人に向けてこの曲がヨーロッパ中のラジオから流れ出た。オランダの「3FM」 DJ Sander Hoogendoorn の呼びかけに応じて欧州31か国、183のラジオ局が時刻をあわせて、いっせいにオンエアしたのだ。

あっという間に「コロナに負けるなソング」になった《ユルネバ》は次々にメディアにキャッチボールされ、オンエアされまくり、20年4月末、全英シングルチャート1位になってしまう。63年以来再びだ。

そこに登場したのが歩行器を使う99歳退役軍人のTom Moore/トム・ムーアさん、コロナ禍と闘う医療従事者への募金活動を始めるのだ。これがなんともユニーク、歩行困難な障害者が自宅の庭25mを100歳の誕生日までに100往復するよ、と歩き出した。1ヶ月もかからずで27億円(!)を集めてしまう。

同時にミュージカル歌手Michael Ballと、この《ユルネバ》のデュエットを歌うや、8万2000ダウンロードを記録。トムじっちゃんのチャート1位はむろん英国音楽界最高齢である。


女王陛下からサーの称号を賜り、大尉から名誉大佐に昇格したトム・ムーアさん、残念ながらコロナウイルスに感染し、2月2日に亡くなった。肺炎治療薬を服用していたためワクチンを接種できなかったという。彼が集めた医療従事者への支援金は、最終的にはなんと47億円になった。

女王は哀悼の意をあらわし、英国民は悲しみにくれている。宮殿を含め、英国の公的施設では半旗が掲げられている。ブライアン・メイが弾く《ユルネバ》が切なく、悲しい。


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