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ハッブル宇宙望遠鏡による深宇宙探査の歴史と画像まとめ

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。


今回は「ハッブル望遠鏡による深宇宙探査の成果」というテーマで動画をお送りしていきます。


ハッブル宇宙望遠鏡と深宇宙探査

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今から30年前の1990年、地上約600㎞で地球を周回しながら大気の影響を受けずに遠方の宇宙空間を観測することを目的とした、ハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げられました。

ハッブル宇宙望遠鏡は比較的近場にある天体の細かい構造まで鮮明に捉えられるだけでなく、非常に遠く暗い天体を観測することにも長けているため、地球から何十億光年~100億光年以上も彼方にある深宇宙の探査にも用いられてきました。

ハッブルディープフィールド(HDF)

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Credit:Wikimedia commons

深宇宙探査のために望遠鏡が向けられる方向としては、天の川銀河内にある地球から近くて明るい天体の光で観測が妨げられず、かつ望遠鏡が地球を公転する過程で地球や月に遮られないような方向である必要がありました。

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Credit:Wikimedia commons

それらの条件の下で選定が行われた結果、最終的にはおおぐま座の方向にある非常に狭い一見何もない真っ暗な領域が選ばれ、1995年12月18日から同月28日までの期間を使って連続で撮影し続けました。

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Credit:R. Williams (STScI), the Hubble Deep Field Team and NASA

その結果得られた画像がこちらになります!

画像内に映っている約3000にもなる天体のほぼ全てが超遠方にある銀河であり、天の川銀河内にある天体はほとんど映っていないと考えられています。

この領域はハッブル・ディープ・フィールド(HDF)と呼ばれ、このHDFの画像は超遠方の初期宇宙の姿を実際に映し出した画期的な画像として注目を浴びることになります。

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Credit:R. Williams (STScI), the HDF-S Team, and NASA/ESA

そしてその3年後の1998年にはHDFの時と同じような観測手法で今度は南天に望遠鏡が向けられ、HDFと非常に似た画像が得られたことから、宇宙にはあらゆる方向に見えないほど遠い銀河が無数に存在していることが明らかになりました!

さらに、非常に大きな視点では宇宙は一様で等方的であり、地球は特別な場所には存在していないとする「宇宙原理」の正しさをも示す結果をもたらしたということになります。

ハッブルウルトラディープフィールド(HUDF)

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Credit:NASA, ESA, S. Beckwith (STScI)and the HUDF Team

更に2003年~2004年の間の計11.5日間をかけて、改修によってハッブル宇宙望遠鏡に取り付けられたさらに高性能な観測機器を用いてろ座の方向の小さな領域が撮影されました。

HDFのアップグレード版とも呼べるこのプロジェクトで撮影されたろ座の領域はハッブルウルトラディープフィールド(HUDF)と呼ばれています。

HUDFで撮影されたこの実写画像には、約117億光年以上彼方にある銀河が1万個以上映し出されていることが明らかになりました!

ハッブルエクストリームディープフィールド(XDF)

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Credit:NASA, ESA, and Z. Levay (STScI)

そしてさらに2002年から2012年の間の計22.5日分の期間をかけ、HUDFの中の一部をさらに拡大してより詳細に調べた、ハッブルエクストリームディープフィールド(XDF)というプロジェクトも行われています。

満月と比較すると、XDFの領域がいかに小さい領域に過ぎないのかを実感できますね!

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Credit:NASA, ESA, G. Illingworth, D. Magee, and P. Oesch (University of California,Santa Cruz), R. Bouwens (Leiden University), and the HUDF09 Team

そしてXDF領域を長時間撮影した結果実際に得られた画像がこちらになります。

2012年に公開されたこの画像からは、HUDFの撮影時には知られていなかった銀河が新たに5500個も発見されているそうです!

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Credit:NASA, ESA, Garth Illingworth (University of California, Santa Cruz) and Rychard Bouwens (University of California, Santa Cruz and Leiden University) and the HUDF09 Team.

XDFの中に写されていた中でも、こちらのUDFj-39546284という天体は、今から134.5億年以上前、つまり宇宙が誕生してからわずか3.5億年頃の姿を映した人類の観測史上最も遠くにある可能性がある天体として知られています!

ハッブルレガシーフィールド

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Credit:NASA, ESA, and G. Illingworth and D. Magee (University of California, Santa Cruz);Moon Image: NASA, GSFC, and Arizona State University

そして最後に、ハッブル宇宙望遠鏡による深宇宙探査の集大成ともいえる1枚の画像を紹介します。

この1枚の画像に写された地球から見て満月と同程度の大きさのろ座の領域は、ハッブルレガシーフィールドと呼ばれています。

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Credit:NASA, ESA, G. Illingworth and D. Magee (University of California, Santa Cruz),K. Whitaker (University of Connecticut),R. Bouwens (Leiden University),P. Oesch (University of Geneva),and the Hubble Legacy Field team

ハッブルレガシーフィールドの画像はHUDF、XDFによる観測データを含む実に7500枚もの画像から作成されていて、実に26.5万個もの銀河が映し出されているそうです!

これまでのろ座の観測成果を詰め込んだこの1枚の画像は実に最大1.2GBにもなるほど超高画質で、宇宙には見えないだけでとんでもない数の銀河があるのだと改めて実感させられる壮大な画像となっています。

先述の通り非常に重いですが、こちらの画像のダウンロードリンクを概要欄に記載しておくので、容量に余裕がある方はぜひ自分でも楽しんでみてください!

ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡

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そして2021年10月の末には、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機にあたるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられる予定となっています。

こちらが活動を始めればさらなる遠方の天体を観測できる可能性が飛躍的に高まります。

現状最遠候補の一つとして先ほど紹介したUDFj-39546284のさらに正確な距離も、後継機の登場で測定されることに期待されています!

今後も超遠方の初期宇宙にある天体の観測からは目が離せそうにもありませんね!

情報参照元:https://hubblesite.org/contents/media/images/2019/17/4492-Image.html
https://hubblesite.org/contents/media/images/2019/17/4495-Image.html
サムネイル画像クレジット:NASA, ESA, G. Illingworth and D. Magee (University of California, Santa Cruz),K. Whitaker (University of Connecticut),R. Bouwens (Leiden University),
P. Oesch (University of Geneva),and the Hubble Legacy Field team


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