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The CROSS ROAD

6月25日、代官山「晴れたら空に豆まいて」にて行われたスナック美浜(店舗は荏原中延)25周年をお祝いする「四半世紀音楽祭」に参加しました。手作りのカンカラ三線で本来の「演歌」を弾き語る岡大介さんを筆頭に14組の豪華な顔ぶれが、15分のタイトな枠でライブを展開。満席のお客様、精鋭ぞろいの晴れ豆スタッフの皆さま、そして美浜のゆうこさんとサポーターのみなさま、ありがとうございました。

たまたま宮坂洋生さんと7/8の初duo演奏会に向けて打ち合わせをした関係で15時に二人で一番乗りで会場入りしたのですが、スタッフのみなさんの準備の様子から見ることができ、徐々に集まる出演者どうし再会を喜ぶ声が聞こえ、3組限定のリハーサルを拝見したら否が応でも楽しい夜への期待が高まり、事実とても素晴らしいパーティーとなりました。どこをとっても絵になる人たち、舞台上も客席も、映画のひとコマのような光景が続きました。

お祝いの会の報告にはふさわしくないかもしれませんが、美浜さんとのご縁を語る上で欠かせないこととして、2月に、この10年くらい参加しているロバートDEピーコのボーカルであり、友人のぺぺ長谷川さんこと塚原活さんが自宅で亡くなっていたのが発見されました。数年前にステージの進んだ癌が発見されて以来、「いつかは」と覚悟はしていたものの、直前に二夜連続ライブを高円寺の無力無禅寺と南千住の泪橋ホールで行い、その時のエネルギッシュな歌声につい油断していました。本当にそのライブが良かったから、この瞬間がもっとずっと続くことを願って、次のライブの計画もしていた矢先でした。

https://soundcloud.com/kyoko-yamamoto-2/20230130-mp3?si=ed03c312be484a1e9326ec6c6210aade&utm_source=clipboard&utm_medium=text&utm_campaign=social_sharing

ぺぺさんの喪失感を、浴びるように酒を飲むこともできず煙草も薬物もやらない私は、この半年ほどをほとんど素面で、ただただ楽器に、音楽に取り組むことで過ごしてきました。

ロバートDEピーコは、ギターボーカルのハヤシヒロシ(大沼大)さんのソロ活動から始まったバンドなのでぺぺさんの力強い歌声はもう聴けないけれど、活動は形を変えながら続きます。私も参加し続けますが、小さなお子さんを抱えるメンバーもいるためライブをそんなに頻繁にはできません。たまたま年末に再会したモッチーさん率いるThe meDEtationsというバンドが畑違いの私を迎えてくださったことと、やはり去年知り合った末森さん・ディネシュさんの名コンビによるナマステ楽団の趣向を凝らした様々なライブに足を運び、時には演奏や料理で参加したり、5月には北海道のgiingooさんのツアーにも同行させていただくことを通じて、演奏の場が日常的にあるような状態、それに伴い、以前よりも身を入れて練習するようになり、徐々に心が回復しました。

美浜のゆうこさんとのご縁も去年のクリスマスイブ、浦和の写真スタジオ45でナマステ楽団と演奏をご一緒したのがきっかけでお会いしました。お会いしたばかりなのに、何かと気が合い、一挙に距離が縮まって、まるで昔から友達だったような錯覚をします。

ぺぺさんが亡くなった事実を受け止められず当惑していた私にゆうこさんが「これを聴いてみて」と送ってくれた音源がTOMBIでした。それから間もなく、3月にもっちーさんのバンドThe meDEtationsの対バンとしてTOMBIフルメンバーのライブがありました。美浜さんの教えてくれたTOMBIだ!と思い当日を楽しみにして、いざライブが始まったら、音源よりさらにもっと素晴らしくて、一曲目からすっかりファンになりました。あまりTOMBIは積極的にSNSなどをやっていないので、ライブ情報をつかむことが難しかったですが、なんとか情報を得て、横浜・野毛のボーダーラインでもう一度4人の演奏を聴きに行き、ちょっとずつメンバーのみなさんとお話しました。

TOMBIは来年で結成30年という長く続くバンドで4人での演奏の完成度がとても高いので、はじめは参加したいという気も起らなかったのですが、ちょっと前にたまたまKANちゃんとお話ししていたら、バンドがそろわない時にはソロやDuoでの活動もあることやKANちゃんがラッパの音色が好きだという話になり、「ホーンありTOMBI」の可能性がにわかに出てきて、昨日の美浜フェスにつながりました。

急遽だったので、フェスのチラシももう出来上がっていて、当日の飛び入り参加というような形でしたが、豪華なプログラム、満席に近いお客様、終始嬉しそうなゆうこさんの姿も見られ、迎えてくれたHalf TOMBIのKANちゃん、HIDERUさんに感謝です。

市川喜一郎さん撮影 喜一郎さん、ねじやさん、こやのさんなどお客様もナマステ楽団をきっかけに知り合った皆々様。ありがとうございました。

不死身の人はいないから、私の母のように、ぺぺさんのように、誰もが大事な誰かとお別れすることがあり、生きていても、なかなか会うことが難しいことだってあり、昨日お会いしたみなさんとも次にまたすぐ会える人もいればそうでないこともあるでしょう。まさにイベントタイトルのThe CROSS ROADSという言葉があるように、人生はきっといつも思いがけない岐路に立たされ、人との出会いと別れによってそのまま進んだり方向転換したりして、変化が起きます。美浜フェスをいつか振り返って、あの時がまさにその岐路の一つだったということになるのでしょう。

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