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兄弟姉妹
保護猫マンチカン姉妹のアネとイモが、今月初めに1歳になった。
うちにやってきたときは8ヶ月だったから、もうそれなりに育っていたのだけど、この4ヶ月でまた少し大きくなったような気がする。
相変わらずマンチカンのくせに足が長く、知人にも「立派なキジトラに育ったね」と言われた。
キジトラ柄とは一見ガサツな印象だが、床に散らばったアネやイモの毛をよく見てみると、一本の毛の中に白い部分と黒い部分があり、それらが正確に並ぶことで柄が描かれているとわかる。
そして毛が生え変わろうとも柄は変わらず、いつでも狂うことなく同じ線が引かれている。
単なる遺伝子のしわざと言ってしまえばそれまでなのだが、そんなふうに一本の毛の先っぽにまで意図が行き届いているのを目撃すると、自然の産物とはいかに精密な作りであるか身に染みて、もはや恐れすら抱く。
トンと姉妹を見比べていると、どうやら姉妹の方が"自分たちは猫である"という認識を強く持っているようだ。
アネとイモはよく取っ組み合って遊んでいるが、人間の手にはじゃれつかず、お互いに毛繕いはするけれど、人間の手を舐めたりはしない。
その点トンは、人間の手足に飛びかかっては噛みまくるし、毛繕いのついでに私の手もきれいにしてくれる。
私が怒ればキレ返し、姉妹に気を取られてあまり構っていないと拗ね、贔屓して可愛がった日の夜は布団にボフッと乗ってくる。
トンとの方が意思疎通できている、と感じるのは、ともに過ごした年月からなる信頼よりも、トンが人間の中で育ってきた猫であることが大きいような気がする。
姉妹が来るまで、トンの世界に"他の猫"という存在はなかった。
しいていえば、庭によく来るノラ猫がいたが、彼が来るとトンは身を固くして、怯えるあまり窓の存在も忘れてブチ切れていた。
それが今では、彼の姿が見えるや否や、目をランランと光らせ駆けていくので、向こうの方がおどろいて逃げてしまうほどである。
今まで自分と人間しかいなかったトンの世界に、"他の猫"という存在が加わったことで、トンも自分自身のあり方を変化させたように思えるのだ。
そういう本能ではない思考の部分が、トンの行動に垣間見える気がするのは、やはりトンの本能に欠陥とも言える余白があるからなのではないか。
その余白がトンらしさになって、今日の愛くるしい振る舞いにつながっているというわけだ。
その代わり、未だに猫同士のじゃれ合いには苦労しているようだけれど。
さて、今月はマンチカン姉妹に続いて、私の弟の誕生日もあった。
19歳になったそうなのだが、私は彼の誕生日には毎年「えっ、私もこないだまでその年齢だったのだけど…」と驚いてしまう。
弟とは2つしか歳が変わらないから、その年齢が私の中で過去になる前に弟のものになるので、いつも振り向けばすぐそこにいてびっくりするのだ。
姉とも3つしか違わないので、もしかしたら姉の方も、私に付け回される気分を味わっているのかもしれない。
しかし、そうして代わりばんこに歳を数えていると、年齢とは私ひとりの中に積み重ねられていくものではなく、おさがりの服みたいに、兄弟の間を順番に降りていくもののようにさえ思える。
ところで、弟が19歳になった日は、妹が1歳になった日でもあった。
実は去年、再婚した実父のもとに女児が生まれ、なんと腹違いの妹ができたのだ。
小さい頃、兄と姉と弟がいるから、あと妹ができたら兄弟姉妹コンプリート!などとぬかしていたが、まさか本当に実現するとは思わなかった。
しかも弟と同じ日に生まれるなんて、ちょっとすごい偶然である。
彼女にはまだ会っておらず、これから会うことになるのかどうかもわからないのだが、しかし21も歳の離れた妹ができたと思うと、それだけで背筋がしゃきっと伸びる。
彼女にとって、私はどんな存在でいられるだろう。
いつか私にもトンのように、自らのあり方を問われる日が来るのかもしれない。
2021.2.27 LINE BLOG
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