片栗粉

片栗粉に捕らえられて、身動きを取れずにいた。身動きが取れず、徐々に片栗粉は冷えて、固まっていった。それで、いよいよ動きができなくなって、私は狭い範囲でぬるぬると動くしかない。だが、動いた。動くことだけはしていた。それでいい。それでいいぞ。片栗粉の状態の100%。いや、たまに逃げた。95%。片栗粉の柔く厚い膜が動く私を捕らえて離さない。片栗粉は嫌いじゃねえが、今日は朝からずっとだ。片栗粉だ。もう少しで酢豚になっちまう。酢豚になる前に眠ろう。酢豚を作る課程で、パプリカを切ったり、豚肉を切ったり、パイナップルを載せたりしなくちゃいけないと思うけど、今日はパプリカを切る代わりに羊を数えていたし、豚肉を切る代わりに自分の爪の垢を煎じて飲んだ、パイナップルを載せる代わりにテトリスをした。そんな1日だった。

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