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デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ ――クソどうでもいい仕事の理論』 刊行記念 訳者陣厳選フェアリスト<協力:岩波書店>

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なぜ、やりがいを感じずに働く人が多いのか。なぜ、ムダで無意味な仕事が増えているのか。なぜ、社会のためになる職業ほど給与が低いのか。
謎を解く鍵はブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)にあった!
数々の証言に基づき、人文知を駆使しながら、私たちの世界をむしばむブルシット・ジョブの実態と弊害とメカニズムを解明、理論化。
ひとの役に立つ仕事に正当な対価を払い、互いをケアするまっとうな経済社会を築くため、仕事のほんとうの「価値」を再考する。

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ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論
 デヴィッド・グレーバー
酒井隆史・芳賀達彦・森田和樹訳
¥3,700 岩波書店 9784000614139 2020年

以下は訳者厳選フェアリスト
尚、各書目のコメントは選書した訳者によるものです。

●デヴィッド・グレーバーの仕事

負債論 貨幣と暴力の5000年
デヴィッド・グレーバー
酒井隆史監訳、高祖岩三郎・佐々木夏子訳
¥6,000 以文社 9784753103348 2016年
貨幣(カネ)とは何か。この問いのもとに世界中から拾い集めた、汲めども尽きぬ逸話と知恵の大百科……もはやこれは一種の知的祝祭である。空疎な経済体制と望まぬ労働の影に負債の存在がちらつくとき、人類五千年驚愕の秘史は、わたしたちに何をみせるのか。

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官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則
 デヴィッド・グレーバー
酒井隆史訳 ¥3,500 以文社 9784753103430 2017年
「世はまさに規制緩和時代!!」のはずが……無意味な規則と書類の数はなぜ増える!? 空飛ぶ車の実現(不)可能性、ファンタジー世界の根源、暴力と無知の弁証法、ゲームの正体、おまけにバットマン。驚くなかれ、これらの話はみな「官僚制」と繋がっている。

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アナーキスト人類学のための断章
デヴィッド・グレーバー
高祖岩三郎訳 ¥2,200 以文社 9784753102518 2006年
「たった見開き一頁に目から鱗が二回は落ちる」との評もある、グレーバー入門書に最適な一冊である。人間の知恵も夢も壮絶な地獄も噛みわけた人類学者が、きわめて平易な文体で綴った、「現に存在する」諸可能性の地平がここにある。

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資本主義後の世界のために 新しいアナーキズムの視座
デヴィッド・グレーバー
高祖岩三郎訳 ¥2,000 以文社 9784753102679 2009年
「価値」とは一体なんなのか。この厄介な現象に人類学でもって対峙するのが〈人類学的価値論〉である。この独創的議論のダイジェスト版を収録した本書は、BSJ(価値なき労働の矛盾)を理解したい人間にとって、それだけでも比類のない価値を持つはずだ。

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民主主義の非西洋起源について 「あいだ」の空間の民主主義
デヴィッド・グレーバー
片岡大右訳 ¥2,400 以文社 9784753103577 2020年
民主主義とは選挙制度のことではない。それは合意のもとにすべてを一変させる約束の力なのだ。ならば民主主義の実践者は、一体どこの、だれだったのか? 人類の知的遺産を特定の文明の軛から解き放つ「啓蒙の脱植民地化」プロジェクト記念すべき第一作。

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●望まぬ労働の廃絶

労働廃絶論 ボブ・ブラック小論集
 ボブ・ブラック
高橋幸彦訳 ¥833 『アナキズム叢書』刊行会 9784990623067 2015年
万国の労働者たち! 休息せよ! この宣言から繰り出される「労働なき世界」の展望。機知に溢れる挑発的文体によって若かりしグレーバーを魅了した「労働廃絶論」は、真に自由な社会の姿を大真面目かつ不真面目に構想した、わたしたちへの一通の挑戦状なのだ。

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怠ける権利』〈平凡社ライブラリー〉
ポール・ラファルグ
田淵晋也訳 ¥1,200 平凡社 9784582766479 2008年
「怠ける権利」の行使される瞬間こそが技術革新の真の契機である。労働者の機関紙にマルクスの義理の息子が放った突飛で情熱的な文章は、芸術家と文学者をも魅了し、30以上の言語に翻訳された。本書はあたかも19世紀版「ブルシット・ジョブ」のようだ。

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怠惰への讃歌』〈平凡社ライブラリー〉
バートランド・ラッセル
堀秀彦・柿村峻訳 ¥1,300 平凡社 9784582766769 2009年
第一次世界大戦の後、ケインズの友人がふとこんなことを考えた。殺人に費やされる金と労力が、もしも別の仕事に分配されていたら……と。普遍的BIを要求する女性たちの声、警察暴力をめぐるBLMの叫び、ここで反響しているのは、まさにこの問いなのだ。

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働かない 「怠けもの」と呼ばれた人たち
トム・ルッツ
小澤英実・篠儀直子訳 ¥3,200 青土社 9784791763078 2006年
ラッセル、ラファルグ、フランクリン……歴史上人物から新宿ゴールデン街の若者まで! 愛すべき怠け者の生き様を蒐集した労作である。蔓延する病理と気候変動に本気で歯止めをかけたいならば、今すぐ実行できる効果的手段は、無理して働かぬこと、これである。

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●人類学

 『石器時代の経済学』〈新装版〉
マーシャル・サーリンズ
山内昶訳 ¥4,800 法政大学出版局 9784588099502 2012年
労働なき社会の見通しは本書に示されるだろう。だが誤解は禁物である。グレーバーの恩師の採集/狩猟経済の解明は「文明を捨てよ」と述べ立てるものではない。現代社会に過剰な労働を強いているものはテクノロジーそれ自体ではないのだ(グレーバー)。

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反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー
ジェームズ・C・スコット
立木勝訳 ¥3,800 みすず書房 9784622088653 2019年
穀物栽培は骨の折れる重労働だ……ならば国家が麦畑と水田を溺愛するのはどうしてか。この問いこそが、支配と重労働を回避した人間の知恵の結晶である。そして感染爆発と国家解体という古代史上の歴史サイクルは、まさに時宜にかなった議論となってしまった。

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ゾミア 脱国家の世界史
ジェームズ・C・スコット
佐藤仁監訳 ¥6,400 みすず書房 9784622077831 2013年

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●フェミニズム

キャリバンと魔女 資本主義に抗する女性の身体
シルヴィア・フェデリーチ
小田原琳・後藤あゆみ訳 ¥4,600 以文社 9784753103379 2017年
現代女性の従属的地位を決定づけた世界史上の一大事件……資本家と封建領主の結託による民衆文化の破壊と男女の分断、それが魔女狩りなのである。グレーバーの盟友であり、家事労働賃金運動の国際展開にも寄与してきた第一線の女性史家による待望の書である。

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女たちの中東 ロジャヴァの革命 民主的自治とジェンダーの平等
ミヒャエル・クナップ、アーニャ・フラッハ、エルジャン・アイボーア
山梨彰訳 ¥3,200 青土社 9784791772537 2020年
アラブの春最大の成果、新たな自由の宝庫「ロジャヴァ共同体」……黙殺された革命を伝える貴重な一冊に、グレーバーは珠玉の序文を贈った。直接民主主義とエコロジーの旗印のもと、勇敢なフェミニストたちが奴隷復活論者を相手に武器をとって立ちあがったのだ。

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男性支配の起源と歴史
ゲルダ・ラーナー
奥田暁子訳 ¥3,689 三一書房 9784380962509 1996年

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科学と社会的不平等 フェミニズム、ポストコロニアリズムからの科学批判
サンドラ・ハーディング
森永康子訳 ¥2,800 北大路書房 9784762826788 2009年

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家事労働に賃金を フェミニズムの新たな展望
マリアローザ・ダラ・コスタ
伊田久美子・伊藤公雄訳 ¥2,000 インパクト出版会 9784755400056 1997年

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愛の労働
ジョヴァンナ・フランカ・ダラ・コスタ
伊田久美子訳 ¥1,825 インパクト出版会 9784755400230 1991年

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世界システムと女性
マリア・ミース、クラウディア・フォン・ヴェールホフ、ヴェロニカ・ベンホルト=トムゼン
吉田睦美・吉本裕子訳 ¥4,660 藤原書店 9784894340107 1995年

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家事労働と資本主義』〈岩波現代選書〉
ヴェールホフ、バーバラ・ドゥーデン
丸山真訳 岩波書店 9784000047814 1986年

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●「下からの歴史」

イングランド労働者階級の形成
エドワード・P・トムスン
市橋秀夫・芳賀健一訳 ¥20,000 青弓社 9784787232137 2003年
働きながらも学ぼうとした労働者のために、詩を愛した歴史家が全精力をかけて綴った労働者自身の歴史である。職人、活動家、知識人、芸術家の万華鏡のごとき連合体が、時代にふりかかる共通の変化の前に立ちあがった。わたしたちは歴史の主体なのである。

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奴隷船の歴史
 マーカス・レディカー
上野直子訳 ¥6,800 みすず書房 9784622078920 2016年
資本制とは奴隷制の構造的変種にほかならない(グレーバー)。人間という唯一無二の存在を交換可能な数字に還元する構造的暴力は、現代の職場をいまだ覆っている。奴隷たちの生きた地獄と叫びと歌でもって歴史家が抗うのは、まさしく抽象化の暴力なのだ。

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資本主義と奴隷制』〈ちくま学芸文庫〉
エリック・ウィリアムズ
中山毅訳 ¥1,700 筑摩書房 9784480099921 2020年

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海賊たちの黄金時代 アトランティック・ヒストリーの世界
マーカス・レディカー
和田光弘・小島崇・森丈夫・笠井俊和訳 ¥3,500 ミネルヴァ書房 9784623071104 2014年

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パリ・ロンドン放浪記』〈岩波文庫〉
ジョージ・オーウェル
小野寺健訳 ¥780 岩波書店 9784003226223 1989年

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●ユニバーサル・ベーシックインカム

隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
ルトガー・ブレグマン
野中香方子訳 ¥1,500 文藝春秋 9784163906577 2017年
この若き才能の強みは歴史を学ぶ姿勢にある。つまり、想定と現実の不一致を恐れず、むしろ歓迎するのだ。わたしたちの夢を腐す常套句を、著者はまさに「現実」でもって迎え撃つ。車を空に飛ばしたければ、普遍的ベーシックインカムはその第一歩なのだ、と。

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ベーシック・インカム入門 無条件給付の基本所得を考える』〈光文社新書〉
山森亮
¥840 光文社 9784334034924 2009年
BIの基本理念と思想的脈絡を一望できる良書である。アメリカ福祉権運動、イギリスBI要求組合、イタリアの「女たちの戦い」と若きプロレタリアのアウトノミア……さらに日本の障害者運動。BI実現をめぐる思考は、まさに社会運動の渦中から誕生した。

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ロボットの脅威 人の仕事がなくなる日
マーティン・フォード
松本剛史訳 ¥1,000 日本経済新聞出版 9784532198619 2018年

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●気候変動

マルクス 古き神々と新しき謎 失われた革命の理論を求めて
マイク・デイヴィス
佐復秀樹訳 ¥3,200 明石書店 9784750350400 2020年
20年前、著者が発見したのは地球規模の搾取体制の発明に「異常気象」が関与していた事実であった。転じて本作は批判理論と気候変動の歴史的接点をあぶり出す意欲作だ。過剰な労働がこの惑星をも疲弊させるなら、「人新世」の理解は必要不可欠である。

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●SF的想像力

銀河ヒッチハイク・ガイド』〈河出文庫〉
ダグラス・アダムズ
安原和見訳 ¥650 河出書房新社 9784309462554 2005年
偉大な作家は「真空をつかむ術」を知っているものだ(グレーバー)。ならばイギリスSFコメディ史に燦然と輝きつづける本作は、意味ありげな無意味な数字の意味を求めて銀河全体が真空に巻き込まれるカフカ的官僚制風刺劇の傑作とみなせる!……かもしれない。

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短篇ベスト10 スタニスワフ・レム・コレクション
スタニスワフ・レム
沼野充義・関口時正・久山宏一・芝田文乃訳 ¥2,400 国書刊行会 9784336045058 2015年
テクノロジーの進歩がどうして問題=危機だというのだ? この矛盾の深淵に「排他的独占(私的所有)」があるとすれば、これを見抜いて物語に昇華せしめたのがレムだった。膨大に散らばる作品群から読者によって選び抜かれたレム短編集の決定版である。

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プレイヤー・ピアノ』〈ハヤカワ文庫〉
カート・ヴォネガット・ジュニア
浅倉久志訳 ¥840 早川書房 9784150101725 1985年

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宇宙の果てのレストラン』〈河出文庫〉
ダグラス・アダムス 安原和見訳 ¥650 河出書房新社 9784309462561 2005年

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泰平ヨンの航星日記』〈ハヤカワ文庫〉
スタニスワフ・レム
深見弾・大野典宏訳 ¥1,000 早川書房 9784150117252 2009年

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●足元からの仕事論

白エリと青エリ 1
関根美有
¥1,000 タバブックス 9784907053062 2014年

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エリと青葉子 白エリと青エリ2/育む茶室
関根美有
¥1,000 タバブックス 9784907053147 2016年

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はたらかないで、たらふく食べたい 〈生の負債〉からの解放
栗原康
¥1,700 タバブックス 9784907053086 2015年

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