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【ライブレポート】Other アマチュア8耐〜ダンスは続いて行く。〜at EBISU BATICA

夢を見ていた、しかし現実だった。

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自分が体感したのは本当に8時間という長い時間だったのか。音に身をまかせて体が揺れる、感情の高波にまかせて手を上げる声が上がる、たった一人でも、二人でも、いつものみんなでも、各々が各々に、幸せを噛み締めている。
日本語ラップで私たちを踊らせてくれるのがDJ peko、そんな私たちを肯定してくれるのはサイドMCとしてKZ。

午前11時を少し過ぎた頃、小雨の恵比寿にDJ pekoが到着した。
これまでとは違うデイタイムでの開催、睡眠時間もしっかりとれたようで全国ツアー時よりも体調と体力は万全なようだった。

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リハーサルが始まる。「結構ふわふわしてるっすね」ポツリつぶやきながら入念に機材とPCをチェックしていく。

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しばらくしてKZが到着

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今回はDJの合間にKZのLIVEも予定されているため、リハーサルを行う。 

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「#アマチュア8耐 」パーティー中も盛り上がりを見せていたハッシュタグに載る動画を撮るふたり。

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笑いを交えながら軽く交わされる会話の中で二人の絆と歳月を感じる。
照明が落ち、ミラーボールが光る、開始の時間が迫る。

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p「アマチュア8耐に来るみんなは、同じクルー。仲間です。」
K「8時間っていう荒波を超えて行く船に乗り合わせた、ほんまのクルー」
p「乗客員やからさ、やっぱり」
K「見に行くって感覚やったら、甘いよな。お前も演者やでっていう」
p「君も一部なんだっていう」
K「pekoやんがメインやと思ってたらちょっと違うというか」
p「俺はただの舵取りよ」
K「何やったらpekoやんが船やんな」
p「そうそう、俺が舵をん〜〜〜ってやってるだけで、みんなは船の上で働いてくれないと、それは何もならんから。見てもらわないとね、あっちの方に行ったりこっちの方に行ったり。そこはみなさんのお力がめっちゃ重要なんで。」
──アマチュアラジオより

peko、KZと共に8時間を作り上げるのはフロアに集まったお客さんひとりひとりである。最大のリスペクトを込めてクルーと呼ばせて欲しい。

開演30分前、変わらず降り続ける雨の中、EBISU BATICAの前にはすでに列ができていた。

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開場し、続々と二階に入る、フロアに充満するのはクルーたちの高揚した空気感。

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ついに始まる、8時間の伝説。
カウントダウンが始まる「じゃあ一緒にカウントしますか。」 
KZとクルーの声が重なる「9・8・7・6・5・4・3・2・1・Let’s Go!」

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DJ pekoの指が針を落とす、心地よくスピーカーが歌い出す。

流れ出す オリジナルフロウ
Dope Beats Lyrics Melody Harmony
ハイテンションな Vibe で勝負
フル回転するぜ ハイセンスフロー
CHECKしろ Real shit yo
深いところへ連れてくよ Baby
触れてみようぜ そのウワサの裏側に迫れ

すでに隙間のないのフロアが一瞬で熱気を帯びる。
そしてクルーの全てを受け入れるようにKZは言う
「もう知ってる人はガンガン歌いましょう。俺は明日、華金で、喉潰れたらしんどいけど、何も気にせず今日は遊び尽くそうと思ってるんで、一緒に遊んでくれますか?」
フロアから生命力に満ちた歓声が上がる。
「まずはRHYMESTER、ウワサの真相」

8時間の伝説は興奮と共に幕を明けた。

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先ずはHungry Strut/KOHEI JAPAN、LET'T GET DIRTY/YUKSTA-ILL feat.SOCKS、CHECK THE METHOD/DARTREIDER feat.弗猫建物、Democase/山仁 feat.MAki the Magic等でフロアを盛り上げ、仙台からChoice/HUNGER、福岡から五重塔/TOJIN BATTLE ROYAL 、金沢からPark/Jony the sonata&PePe、東京からPain/doooo feat.仙人掌など、その土地に根ざしたHIPHOPでクルーを連れて日本中を旅させたローカル繋ぎでは、pekoならではの選曲センスが光り「地元のラッパーの曲がかかってぶち上がりました。」との感想も多かった。4800日後…/METEOR、ラッパーはモテる/MC松島、マイク持つDJ/DJ OASIS、CHECK YOUR MIC/晋平太でフロアが大きく沸いた後は、あいにゆく/DJ松永 feat.Jambo Laquer、HOT COFFEE/韻シスト feat.鎮座DOPENESS,チプルソ,サッコン&BASI、Dandelion/RIP SLYME、Draw4/kanjou mid night等、緩やかに気持ち良い選曲が続く。

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開始から2時間経過し、悪党の詩/D.O、自由の詩/SEEDA feat.A-thug、Growth/ANARCHY、など不良のHIPHOPゾーンに突入する。その後はトラボルタカスタムのトラックをプロデュースした事が記憶に新しいBACHLOGICゾーン。凌駕/WILYWNKA、愚痴か?否か?/SWANKY SWIPE、そしてクルー全員が待ちかねていたであろうトラボルタカスタム/梅田サイファー feat.鋼田テフロン。KZ、pekoのVERSEでの盛り上がりはもちろん、ボルテージMAXの被せっぷりにトラボルタカスタムへの愛をクルー全員が共有した時間となった。「梅田サイファーの曲が聞けたのは、やっぱり嬉しかったです」との感想も多かった。

16時半頃には、OSCA(コマツヨシヒロ)も登場し、フロアの熱気が高まる。

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一方でKZはしばらくの間、フロアに降りてクルーに混ざって誰よりも楽しんでいた。

17時半、日本語ラップクラシックのトラックを10曲サンプリングし、8小説ずつ繋いで1曲にした『Jackin' 4 Beats/ZEEBRA』をベースに、原曲となった病む街/Microphone Pager、証言/LAMP EYE、Do the GARIYA thing/ラッパ我リヤなどの名クラシックで繋いでいく。中でもB-BOYイズム/RHYMESTERとB-GIRLイズム/COMA-CHIを互い違いに繋いでいく確かなDJスキルとpekoならではの造詣深いアイディアにフロアの勢いは増し続ける。

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8時間の夢も中盤戦に入り、中盤戦/KREVA feat.Mummy-Dを皮切りに『やべ~勢いですげー盛り上がる/田我流 feat.stillchimiya』でやべ~勢いですげー盛り上がフロア。開演から約5時間踊り続けているはずのクルー達がやべ~勢いですげー盛り上がっているハイな光景を忘れる事はないだろう。

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KZのLIVEが始まる。
フロアの雰囲気もガラッと変わる。2ndアルバムCASKより『Phantom Thread』、3rdアルバムNORITOより『norito』、そしてアマチュア8耐やDJ pekoとのDJタイムについて書いた曲『ダンスは続いていく』
聴くものを揺さぶる優しくて力強いメッセージ、ストイックなリリシズムとLIVEの圧倒的な気迫にひと時も目を話すことができない。心の底に閉まっていた感情に肩を組んで語りかけるKZの日本語ラップにひとりひとりが打たれていた。

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『マジでハイ/梅田サイファー』ピークタイムが始まる。

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DO MY THING/NORIKIYO scratch.DJ ISSO、Only God Can Judge Me/AK-69、パーティーはIZUKO?/KREVA、ライムボカン/随喜と真田2.0 feat.ICE BAHN、道頓堀ナイツ/CHIEF ROKKA等、そしてpekoがプロデュースをつとめた『梅田ナイトフィーバー’19』紡がれている詞にアマチュア8耐を想うクルーの感想がとても多かった。KZのVERSEの中には「8耐 フライト機体が揺れる 立つ舞台上 期待溢れる これは旅だ フレッシュであれ だろ?マイメン ライフは一瞬だぜ」8耐への詞が書かれていた。

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アマチュアナイトの由来となったRHYMESTER/ザ・グレート・アマチュアリズムがかかったと思えばココロオドル/nobodyknows+、春夏秋冬/STEADY&CO.、よる☆かぜ/ケツメイシ、One/RIP SLYMEなどヒットチューンはつづき、4seasons/Refugeecamp、今夜はブギー・バック/スチャダラパー featuring 小沢健二、水星/tofubeatsとさらに畳み掛ける。

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2018年2月、24歳の若さで逝去したFEBB。
KID FRESINO、JJJと共に結成していた「Fla$hBackS」で共に進み、ソロとしても強烈な輝きを放つ3人だったが、2017年5月KID FRESINOが脱退し、それぞれが別の道を進んでいた。FEBBの早すぎる死に様々な憶測が飛び交うなか、仲間、命、そして音楽にあらためて向き合った人も多かっただろう。

『The Test/FEBB』がフロアに流れる、繋いだのは『LOVE/C.O.S.A×KID FRESSINO』、そしてJJJがFEBBのことを書いた曲『Changes/STUTS feat.JJJ』
心にしみたクルーたちを前にDJ pekoはさらに繋いでいく「誰ひとり欠けず いい景色を見たいと思うことはわがままかい」理想と現実の中で踠きながらも理想を追いかけたいと願う曲『何ひとつ失わず/BRON-K』、そして「今屍を超えていく 今までを超えていく 遠く飛び越えて放電」命が尽きたから終わりではなく連なる事でさらに進化し未来が作られることを歌った『屍を超えて/GAGLE』、そして「ずっと友だちだが時は経ち 離れた街と町で別々の道 選んだり Random された人生を 共に生きてる君に幸あれ」時が経ち変わりゆくなかでも変わらない友達への気持ちを歌った曲『トモダチ/ケツメイシ』。

DJ pekoにしかできない文脈を捉えた繋ぎであり、HIPHOPへの想いとリスペクトが溢れた選曲であった。

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パーティーはゆっくりと終演へ向かう。
ハローダーリン/SALU、夜を使い果たして/STUTS feat.PUNPEE、空音/planet tree、証拠/OZROSAURUS、夜のパパ/KM feat.田我流、そしてLONELY NIGHT/tofubeats。

とにかく楽しそうな二人に圧倒されたはずだ。
曲がかかるたびに笑顔が溢れていた、それでいて最高にかっこよかった。

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クルーひとりひとりの表情が、声が、指先が、幸せと歓びで満ちていることを教えてくれた。誰かの好きな曲がかかる、誰かの心が満ちる、そして身体いっぱいに表現する。そんな姿が誰かの心をまた解放する、いつの間にか緊張が解かれている。知らぬ間にフロア全体が、クルー全員が、自由になっていた。
「楽しい」ことが、こんなにも価値のある事だなんて知らなかった。こんなにも手離しで音楽という幸福を浴びていいなんて知らなかった。

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彼らは決して、日本語ラップを決めつけない。
8時間を通して日本語ラップへの揺るぎない愛を余すことなく伝えてくれる、それでいて親しみやすさも実現している彼らのパーティーは懐が深く、人を選ばない。
当日集まったクルーたちは、アマチュア8耐に初めてきた人、何度も来ている人、遊び方を知っている人、緊張している人、勇気を出してきた人、日本語ラップに詳しい人、詳しくない人、HIPHOPをずっと好きだった人、最近好きになった人……日本語ラップへの知識の深さや触れてきた時間、向き合い方、想いはそれぞれに違った。それでも全員がありのままで自由に踊っているのはDJ pekoとKZのパーティーだからだった。

クルーそれぞれに自由な解釈をもたらせる文脈を捉えた繋ぎ合せ、多彩で多角的なアプローチ、巧みな構成力、選曲力でクルーの恍惚と熱狂を引き出すのはDJ peko。

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誰よりも楽しむ姿勢で、日本語ラップへの愛で、声で、表情で、ダンスで、クルーの全てを受け止め フロアを明るく照らし出すのはサイドMCとしてKZ。

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夢の時間がもう直ぐ終わる。 

「クラウチングロケットみんな聞きたいよなぁ?」
KZとクルーみんながDJ pekoにリクエストしたのは『クラウチングロケット/ICE BAHN』
明日10周年のパーティーが行われる「華金」のテーマソングとも言える大切な曲だ。

ラストソングの前にクラウチングロケットで大いに盛り上がるフロア。

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そしてOther アマチュア8耐、
ラストの曲は『KICK THE CAN CREW/アンバランス』

見えるモノ全部
見させてくれ
聞ける音全部
聞かせてくれ
行かせてくれ
言わせてくれ
もう少し

ガキでいさせてくれよ

8時間という長い時間だったはずが、終わりが近付けば「聞ける音全部聞かせてくれ」「もう少し」と願ってしまう。

いつの間にか、ひとつになったクルー全員が歌う。右に、そして左に大きく手を振る。

マイアンサーNo. 1
快感のワンダーランド
階段を上がんならそう
今じゃない
今はアンバランス

p「ありがとうございました」
DJ peko、KZ、OSCA、クルーへの大きな拍手がフロアを包む。
p「この空間にギチギチに詰め込まれて遊んでくれた皆さん、ありがとうございます。8時間やりきりました。今回はそんなにしんどくなかったっすね。たぶん、めっちゃ寝てきたからやとおもう。」
K「結構マイナーなとこもいっぱいかけてて」
p「いや、もう、むしろメジャーどこしかかけてないくらいの」
K「もっとマイナーあんぞと?(笑)」
p「いや、もっとマイナーやったらお葬式なるな、と思って(笑)」
K「なるほどなるほどなるほど(笑)」

p「トイレ行く時に皆さんのところ横切って行ったら、ああ、もうギチギチで踊りにくいねんなって思った!」
K「そやね、すぐソールドアウトなってしまったし、いうて自分たちも2回目なんでほどほどで良い感じかなって思ってたらすぐソウルドアウトなってて」
p「なんでそんなことするんですか?(笑)」
K「いや、ありがたいです!(笑)」
p「ありがとうございます(笑)僕らもっとおっきい所で出来た方がいいとは思うんですけど、クラブのノリみたいなのがないと成立しないと思ってるんで、これが良い形なのかなと思ってます。RED SPIDERには、俺、なられへんからさ(笑)」
K「なるほどなるほど、まあでもゆっくりあげてって最終的には大阪城ホールとか(笑)」

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パーティー終演後、
麗らかでどこか成し遂げた表情を見せるクルー達はなんとも愛らしく、物販を待つ列でさえ幸せに思えた。

DJ peko、KZ、OSCA、クルーの
夢のような8時間はこの先も決して色褪せることなく「ダンスは続いていく。」

DJ peko、サイドMC KZ「Other アマチュア8耐〜ダンスは続いていく。〜」
2019年11月23日 恵比寿Batica プレイリスト(実際は割とその場その場で変えてたけどなver.)

・しょっぱなから盛り上がろう
・ナイスグルーブな曲達
・生きる伝説BACHLOGIC
・KZとセッション
・待ってろ今から本気出す
・全然まだまだ中盤戦
・クローズに向けてカームダウン

【KZ】
Twitter: https://twitter.com/KZ_THR
Instagram:https://www.instagram.com/kzph0t0

【peko】
Twitter: https://twitter.com/peko_sugarless
Instagram: https://www.instagram.com/peko_sugarlesslab/ 

 【KZ&peko関連作】
梅田サイファー EP「トラボルタカスタム」
配信:https://linkco.re/UQyTXnVe
CD:https://ucdfbr.thebase.in/items/22667142

 KZ 3rd album「NORITO」
配信:https://linkco.re/BBetcptP
CD:https://ucdfbr.thebase.in/items/22659342

梅田サイファー3rd album「Never Get Old」
配信:https://linkco.re/eSxHuStZ
CD:https://ucdfbr.thebase.in/items/15651562

梅田サイファー2nd album「UCDFBR sampler Vol.2」
配信:https://linkco.re/NzN3VtXp
CD:ソールドアウト

梅田サイファー1st album「See Ya At The Footbridge」
配信:https://linkco.re/FBnyuUd9
CD:ソールドアウト

KZ 1st album「PULP」
配信:https://linkco.re/tN0QTbmZ
CD:ソールドアウト

KZ 2nd album「CASK」
配信:https://linkco.re/daqQzRGU
CD:https://ucdfbr.thebase.in/items/15219011

高槻POSSE 1st album「P.O.P」
配信:http://linkco.re/Ay8ucTRs
CD:https://www.wenod.com/?pid=138008058

【梅田サイファーワンマンツアー追加公演!!】
20/2/8 at.梅田クアトロ
●ぴあ ⇒ http://bit.ly/2MauHC3
●ローチケ ⇒ http://bit.ly/2IGuqnZ
●e+ ⇒ http://bit.ly/31crdTI







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