父というスーパーヒーロー

とある投稿を見ていて、ふと思い出したので気分が冷めてしまわないうちに書いておこうと思う。
その投稿は、ここに転載できないのだが、概ね、次のような内容である。
廃車寸前の状態だった車をタイヤなどの交換の覗いて自身でやって車検が通る倉にまで復活させたという話である。

これをみていてふと俺は亡き父を思い出した。

父はいわゆるエンジニアで、船のエンジンの仕事をずっとしていた人である。
家庭生活の中でもいろいろなものを分解して修理したり、時には分解して戻らなくなってしまったり…なんてこともあったのだが・・・。
そんな器用な父を小さい頃から見ていて、「ああ、お父さんって何でもできるすごい人だ!」と憧れのような尊敬のようなそういう感情を覚えたものだ。
そして、同時に、近所のお父さんたちも同じようなものだと勝手に思っていた。
子供とはそういうものだ。しかし、年齢が上がってくると父の器用さが特別だと言うこともわかり始めた。
そして、10代になる頃には俺には父というのは、俺にとってのスーパーヒーローなんだという気がしてきた。


そして、自分が結婚してから、それは明らかに確信へと変わった。
仕事人としても誠実で親切だった人は、もちろん家庭においても親切で誠実であった。どんなに控えめに見ても父の欠点を探すことは難しかった。


母が教えてくれた数々の思い出話はどれも心を温めるものばかりだった。
子供の頃から苦労しかしてこなかった母が父と出会えたことは、息子である俺が見ても最も素晴らしい選択だったと思えるのは、俺が何の苦労もなく生きてこられたこと、愛されてきた実感を伴っていたこと、家の中がいつも平和で、父を慕う友人が多かったことがあるのじゃないだろうか。


残念ながら、父は俺が妻と結婚する1年前に逝ってしまった。最後にできた親孝行は、父に恋人時代の妻を会わせてあげられたことだろうか。

そんなスーパーヒーローの父が亡くなってまもなく6年。相変わらず躓いてばかりの俺だが、せめて妻が安心してくれるような生活をしたいのだけど、今の俺には元気が足りない。
ここからどうやって這い上がろう。

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