『発狂頭巾対からくり四十七士』
1「旦那ぁ、さすがにこの屋敷はおかしすぎますって。アッシはなんかいろんなところから見られているような気がして……」
「ハチよ、無駄口を叩くでない。一宿一飯の恩義ぞ」
固く雑巾を絞り、屋敷内に配置された墓石を磨く吉貝京四郎。
「ちげえねえ」
この「からくり忠臣蔵」と呼ばれる屋敷は投獄された稀代の発明家・平賀源内が手がかけたことで知られる遊戯施設だ。
邸内には赤穂浪士の機械仕掛け人形が四十七体設置されており、人々は吉良上野介に扮した衣装で出口を目指すと言うスリリングでリ