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【餅】逆噴射プラクティス&自作創作物のまとめ

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自作の創作佛のまとめです。 逆噴射プラクティス参加作品とZINE的なヤツや一次創作、二次創作、Webサービス及び名状しがたい何かを収蔵します。
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2020年7月の記事一覧

【創作】下読みをしたりされたりもらい水、の話

よく来たな、お望月さんだよ。『逆噴射小説大賞2020』まで3か月を切ったということでパルプ業界もにわかに活気づいています。そんな気がします。 昨日の敵は今日の友逆噴射小説大賞から2年も経つと戦友とでも言うべき仲間たちが増えてきます。やがて全員射殺すつもりであっても、同じ方向を向いた関係というのは心地が良いもので接点も増え、NOTEやTwitterで継続的に記事を書いているような人であれば小説技巧以外の側面に理解が及んでいくわけです。 そんな中で、読者としての評価をいただい

『すすり泣く幽女』(牧竜シリーズ)

承前 本作はウルティマオンラインで実際に発生した事件を元にリライトされたフィクションです。 誉国、夜半。 区画整理の行き届いたチェッカー(碁盤の目)状都市の中央に大きな池がある。誉国市民の憩いの場であり多くの詩人の題材となったその池の名を鏡池(かがみいけ)という。鏡池の中央には葦が寄り集まった浮島があり、そこに一人の女が立ち尽くしている姿が目撃された。 うつむきがちに顔を伏せ髪を下ろし白い長襦袢姿のまま、水面に立ち尽くしている。その姿はぼんやりと発光しており足先は葦に

『平家シャーク2020』

承前 (本編約1万文字 ) <プロローグ>2020年7月。山口県下関市壇ノ浦。梅雨明け、快晴の海水浴場は恐怖に包まれた。早朝からサーフィンを楽しんでいたカップルが無残な姿で打ち上げられたのだ。第一発見者の平家蟹漁師、山田安徳(58)によると、上半身または左半身のみになったその死骸は苦悶の表情を浮かべ、助けを求めるように腕を伸ばしていたという。 「羯諦羯諦波羅羯諦羯諦羯諦波羅羯諦」 安徳は悼むように手を合わせると念仏を唱えながらビーチを去った。 <1>十数年ぶりの特殊水難事