表紙イラストの作画資料とその成果+オマケ
拙作『天竜川高校 竜競部! 友情リレーションズ』の表紙にはホンダの市販レーサー〝NSF250R〟が描かれています。
市販レーサーというからには市販していないレーサーがあるの?とか、レーサーって人間を指して使う言葉じゃないの?かと。バイクに興味がない人からしたらよーわからん。それが市販レーサーNSFです。(※詳細は作中に書かれているので、ぜひそちらで(笑))
このNSFが登場する小説、それが『天竜川高校 竜競部! 友情リレーションズ』。当然NSFを表紙でバーンと見せたい。表紙イラストを描く左折さんに、NSFを描いてもらいたい!
しかし! NSFは一般道を走れない競技専用車両ということもあり、街で見かけることはあり得ず、バイク販売店でも見かけることもほぼありません。
そうです。よーわからんバイク故に、作画資料が非常に手に入りにくいのです。
ホンダに貸してもらえば? と思いますか? 残念ながらNSFは広報車がありません。(もちろん広報車の一般向け貸出は行っていません)
サーキットに行けばいいかもしれませんが、まさかいきなり声をかけて、ちょっと写真撮らせてくれなんて無理。サーキット走行の邪魔になってしまいますし。
それに、作画資料、つまり〝資料写真〟は、ただ写真を撮ればいいというわけではありません。書き上げるイラストをイメージしながらアングルやポージングを調整します。ツナギやヘルメットの用意しないと。あとバイクの資料写真は天気が重要。カメラに関しては素人なので、ピンボケしないかシクハック。
要はけっこう大変なのです。
今回はとにかくNSF現物がない。まさか1,479,500円税込み(本ノート投稿時現在)を買うわけにもいかない。つーか注文時期が決められていて、買いたくても買えない!
もう知り合いの伝をあたるしかない。NSFを所有している人は何人か思いあたる。でも先述の通り、結構時間をとるし、みんな忙しい。気軽にお願いするわけにも行かない。イラストを描く左折さんの都合もある。ツナギ類は揃えるとかさばる&重い
あ〜〜〜どうしよぉ〜〜〜バンサクツキー/(^o^)\
と頭を抱えたのですが、どうにかこうにか、というか無理を言って、レース業界じゃ老舗、MOTOBUM様のご協力を得ることができました。オカベさん、本当にありがとうございました!
モトバムはMotoGP、当時のWGPにも参戦していた名門チームです! 現在は全日本ロードレース、鈴鹿8耐に参戦。Moto2にワイルドカードで参戦と、実績の枚挙に暇なし!
そうして得た、資料写真がこれだぁ!
※この資料写真は大量にある資料写真の中の一枚です。乗っている丸顔は郁子匠本人です。装備類はすべて郁子の私物だったりします。
この資料写真をまさに資料に、左折さんが描いた表紙イラストこれ!!!
どうです。すばらしいでしょ。どうにかこうにか頑張った甲斐があったってもんです。
このイラスト、文庫本の表紙を飾ったものです。文庫本ですので、A6(105mm×148mm)サイズで印刷されました。そう。小さく印刷されたのです。しょうがないことなんですが、でっかく見せたいじゃないですか。なによりここを見てほしい。
どうですか。NSFのこのディテール。リアリティ!ゼッケン48!
最大級にかっこいい! すばらしい作画! なのにここは帯に隠れるところなので、特に大きく見せたかったんですね。
※NSFのデザインはCBR250RR竜競部号を踏襲したものです。(デザインは郁子です)NSF250R竜競部ですね。
左ハンドル(マッちゃん側)のハンドルの根本を見てください。赤い点が見えますでしょ。これ、消し忘れとかじゃありません。ハンドルを固定した時につけるマーキング(緩みが発生した時には位置ずれでそれが分かる役目もあり)なんですね。こんな小さなところまで書き込んでくれました。
あとタイヤにはタイヤカスが。パソコンと繋げるカプラーも!言い出すとキリがないのでやめますが、かっこいい。それをぞんぶんに描いてくれました!
左折さんありがとう!!
さて、NSFは郁子の憧れです。
シンプルなアルミフレームのスリムなボディ。猛烈に低い位置にあるハンドル。強烈なバックステップ。溝のないスリックタイヤ。レースのためだけに造られた競技専用車両。この字面だけでかっこいいでしょ。
バイクの頂点とも言える、レーサーバイクは昔からの憧れです。レーサーに乗りたくてレースやっていたといっても過言ではありません。
実はNSFにまたがったのも、この資料写真撮影の時が初めてでした。めっちゃワクワクで跨っていました。
そんなテンションだったので、別に資料でも何でもないんですが、よくMotoGPレーサーがやってる、止まっているバイクに乗ってレーシングしちゃいました。(笑)
マシンに伏せるとひとつの塊になる。う〜んセクシー、いやレーシー。
体が地面と平行になるほど深く伏せます。ただバイクに覆いかぶさっているだけではありません。両膝と腰をぐっと引き締め、ハンドルをしっかり掴み脇を締め、首を思い切り反らす。これを精一杯やっています。そうじゃないとこの姿勢を保てないのです。この時の僕は、はぁはぁぜーぜー息があがり、汗だくになっていました。止まっている状態でこの有様。実走時はどうなってしまうのか(笑)
ガソリンタンクにヘルメットの顎の部分がうまっていますよね。これは少しでも空気抵抗を下げるため(ヘルメットの位置をさげるため)に、タンクを凹ませているからです。
こうして横から見るとヘルメットと背中が一直線に(僕の首そらしが若干足りてませんが)なっているのがわかりますね。ツナギの背中のコブが空力上で必要なことがよくわかりますね。
脇から右腕にかけて、ツナギに変なシワや引っ張りがありませんよね。ツナギはまさに、レースをするために纏うものだからです。だからバイクを降りると途端に窮屈に感じます。
右足の下、ただのパイプにしか見えない(笑)エキゾーストマフラーから出た灼熱の排気でスイングアームが焼けていますねぇ。排気ガスの温度は一体何度なのか!?
う〜〜〜〜〜ん。カッコいい。カッコ良すぎる(しつこいw
いつか乗りたいNSF。いつかほしいなNSF。
ということで、小説の制作工程?のよもやま話でした〜。
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