夜

わたしたちはどうして今日が終わるのがさみしいのか。どうして悔しいのか。

満たされたら寝る、と言ったあの子の気持ちはとてもよくわかる。満たされていないのに寝てしまったら、なんだか満たされたとされてしまう気がして、この空洞をなかったことにされてしまう気がして。

別にそれでもいいんだろうけれど、この虚しさを、この痛みを、なかったことにされるのはあまりになんというか悔しい。べつにわかってもらいたいなんて思ってないけれど、なかったことにされるのは何だか癪で。

だけどわたしたちは生活をしていかなくてはいけなくて、明日のために今日を終わらせて眠って起きて生きていかなくちゃならない。空洞に薄い膜を張ってぎりぎりで生きてくんだ。

そんな虚しさの中で、ねえ、偶には膜なんて張らずに空洞を覗いてみたっていいじゃない。明日を失敗してもいいから、今日に縋ったっていいじゃない。なんていう風に自由になれたなら。

カロリーナが言ってた。空白があるなら埋めるんじゃなくて見つめるべきだって。眠れない夜に眠りたくない夜に、それでも眠るあなたのその虚しさを、埋めるんじゃなくほんの少し掬えたなら。