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夢幻
贅沢言うなら海に気軽に行ける距離で、各駅停車しか止まらないけれどアクセスは比較的良くて、最寄り駅の近くにコンビニと本屋さんとパン屋さんとケーキ屋さんがあって、のどかで空気が綺麗な街で、縁側のある家で君と本と音楽と暮らしたい. 春には桜の花びらを纏って、梅雨は雨を浴びて、夏は線香花火の煙に包まれて、秋は紅葉を狩りに行って、冬には雪だるまをつくろう.
いや、やっぱり5億円当てて好きな人たち会いたい人たちみんなと会った後、綺麗な海が近くにある人気(ひとけ)のないどこか遠くの街のちいさなログハウスを買って、何もかも捨ててひとり微かな波音と潮風の香りのなかでただゆっくり眠りたい. 夢の中でしか会えない君に会えるあたたかい夢を見たい、そのまま夢の中でずっと.
ああなんて言ってみたところで、わたしは何ひとつ捨てられないんだったね. あの時あの子がくれた言葉はなんだったか、あの頃あの人がくれた歌はどんなだったか. いまあなたがくれるあたたかさに触れてしまって仕方ないね.
今夜はどうか君の夢が見られますように若しくは夢なんか見ませんように.