苦手になるかどうかの分岐点

実は僕、趣味で空手をやっています。僕の普段の外見からすると意外みたいで初めて聞いた人は「えっ空手やってるんですか!」と結構驚かれます。
みなさん空手家というとこんな感じ…っていうイメージがあるんでしょうね。
空手といっても流派がいっぱいあるんですが、僕がやっているのは極真会館が代表格の突きや蹴りを実際に当てあう直接打撃(フルコンタクト)という系統の空手です。

自分の子供が空手始めた時に少年部の指導の補佐を始めました。自分の子供は大きくなり空手を辞めてしまったんですが、今でも自分が住んでいる地域の道場の責任者として子供たちの空手の指導にあたっています。

空手と稽古といえば、突き、蹴り、受けといった空手の動作を繰り返す「基本稽古」、攻撃してくる相手を想定して行う「型稽古」、実際に攻撃を当てる感覚を養う「ミットを使った稽古」等々いろいろあります。そして自由に攻撃を出し合う「組手稽古」があります。
この「組手稽古」やったことがある人はわかるんですが、実際に突きや蹴りが自分の体に当たると「痛い」。

実は僕も昔は組手は嫌いでした。それでも辞めずに空手を長い間続けてこれたのは、「いつかは黒帯を締めたい!」という憧れが捨てきれなかったからだと思います。そんな僕も今では黒帯を取得しどっぷり空手にはまってます。

さてこの「組手稽古」(めんどくさいので以後「組手」と書きます)ですが、子供達の場合も好き嫌いが別れます。
初めからガンガンいける子もいる一方で、基本や型はできるのに組手になると逃げてしまう子もいます。まぁ言い方はあれだけど日常生活で「殴る、蹴る」という行為はしないので怖くて当たり前なんですけどね…。
そこで指導者が「気持ちで負けてるぞ!」とか「逃げちゃダメだ!」とか言ってるばかりでは、ますます苦手意識が高まっていきます。

さてどうしたら組手が楽しくできるようになるのか?
自分なりに分析する為に自分の子ども時代を振り返ってみました。

僕の場合はドッヂボールが苦手でした。 体育の授業だったり地区の対抗戦だったり、小学生までは球技といえばドッヂボールだったんでドッヂボールのある日はゆううつでしたね。
まぁ運動が得意じゃない、ていうことが大きな原因ではあるんですが、つきつめて苦手だった 原因を考えてみると、
「ボールを取って投げ合い当てる楽しみ」 よりも
「ボールを 当てられる怖さ」が勝っていたから
まぁ昭和の時代の話で、特にボールを取ったり投げたりの丁寧な技術指導はないし、とりあえず「やって覚えろ」の感じ。
すんなりできる様になった人はOK。僕は真っ先に当てられるか、ひたすら逃げまくってました。

空手の組手だと
「突きや蹴りの攻撃を出し合い、技が当たる楽しみ」よりも
「突きや蹴りの攻撃を当たられる怖さ」が勝っているから

ここは指導者としては少し時間をかけて、技に対する防御(ディフェンス)もしっかり教えて徐々に慣らしていく。その段階で「ちょっと頑張れば越えられそう」な課題をクリアさせていきます。もちろん相手の技が当たり痛いこともあるんですが、それを上回る組手の楽しさを知ってもらうことが大事かな、と思っています。

ただ一方で組手に対しての恐怖心よりも楽しみがすでに上回り、最初からガンガンできている子もいます。そういう子は案外攻撃が主体で防御がおろそかになりがちで、試合で自分より強い子にコテンパンにやられて一気に落ち込む、といったこともありますのでバランスが大事ですね。

でもいろんな子供がいて指導は楽しいです。

今回は組手の話でしたが、自分の子供に空手を習わせよう、と思っている親御さんへ一言。
子供はあまり乗り気でないけど親の思いで道場に通わせようと思っている親御さんも時々いらっしゃいます。そういった場合は長続きしないことが多いです。
ある程度続いても子供時代の嫌な思い出になることも。道場に行く前にある程度子供に興味を持たせてからがいいと思います。もちろん習い始めればキツイことも苦しいこともありますけどね。そこから何を身につけるか?ですから。でも始めるきっかけは大事にしてほしいです。
ヒーローのカッコいい後ろ回し蹴りがきっかけでもいいし、横浜流星さんとか那須川天心さんとかカッコいい空手経験者の有名人がきっかけでもいい。
そして興味を持ったら、いろんな道場に見学に行って自分の子供に合った道場を選んであげましょう。

どんな子供も空手に夢中にさせてしまう空手の先生をめざして僕も日々修行中です。


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