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直売所に行こう!~農産直売所 あぜみち~

こんにちは!

突然ですが、皆さんは直売所に行ったことはありますか?

現在は、買い物の仕方も多様化し、スーパー、コンビニ、インターネットでも直接野菜を買うことができます。

今回私たちが取材させていただいたのは、栃木県で採れた野菜やお米を販売している直売所「農産直売所 あぜみち」さんです。

農産物の流通をめぐる形が大きく変化しているこの時代に、直売所の担う役割とはいったいどんなものなのでしょう。
そして、農業と地域の未来はどのように進んでいくのでしょうか。

街の中の「道の駅」

「農産直売所 あぜみち」は、代表である林 書緯さんが18年前に始めた事業です。
テントでのイチゴの販売から始まった事業は、着実に広がりを見せ、現在は栃木県内に4店舗が運営されています。

まず最初に、なぜ直売所という形で農産物の販売を始めたのかを伺いました。

「18年前、当時は『道の駅』が少しずつ出てきたころで、直売所が熱かった。
でもまだ街の中にはなくて、街の中でやったら売れるんじゃない?ってノリで始まった。

だって道の駅って郊外でしょ?たまにしか行かないけど、行った人はみんないいって言ってる。
だから街の中にはすごいこだわってた。」

食とは、常に生活の基本部分として存在するため、日常に根付いたものです。
その中で、その地域の特産品を販売する「道の駅」を街中で運営するというのは、たしかに自然な流れかもしれません。

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今回お話しを伺った、代表の林 書緯さん

直売所の役割

しかし、現在では宇都宮市内のほとんどのスーパーで地産地消コーナーがあり、
最近では、インターネットで直接農家さんの野菜を買うことができます。

そんな現代において、直売所の果たす役割とはいったい何なのでしょうか。

あぜみちさんが形作る直売所の姿には、二つの理念がありました。

「僕が思うスーパーと直売所の違いって、コミュニティの形勢だと思っていて、
地場野菜を買うという目的だけでいえばスーパーで全然いいんだけど、野菜を手に入れるのであれば、地場野菜コーナーでなくてもいろいろ事足りるんだけども、
ただ大切なことって、農家と消費者の近い関係性を作って、お互いを認め合える場所でやっていけるかということ。
これは、直売所の一番大きな役割だと思っている。」

コミュニティを創る

農家さんとお客さんが、互いに認め合える場所を提供すること。

ただ、地元で採れた新鮮な農産物を売って、地産地消を目指すことが直売所の形だと考えていた私たちにとって、
それは想像していたものとは違った答えでした。

「身近な話でいうと、例えば農家さんが納品したときにお客さんと会話するとか、お客さんを農家さんのところに呼んで何かイベントをやるとか。
そうするとなんとなくファンになっていくんだよ、『あ、この間のおじちゃんね。』って。

ある意味すごい地道だけど、不思議なもので口コミになっていくんだよね。

そうすることによって、自分たちの食の本当の意味での『見える』っていうものをやりたかった。

すごくシンプルな話、自分の兄弟とかが作ってたら、変なものではないと思うじゃん?
そういう近い関係性を、地域で作っていきたい。」

ー地域の農家さんが作っているということへの信頼感?

「そうそう。それを醸成するための場所だし、そうなるための仕掛けをお客さんに用意している。」

農家さんとお客さんが交流できるコミュニティをつくることで着実に農家さんのファンを増やし、農産物への安心感を築いていくということ。

地域の持つつながりを大切にすることが、「食べること」に対する生産者と消費者、双方に理想的な環境を作り出しています。

誇りを取り戻す

そして直売所のもうひとつの役割、それは流通の選択肢です。

現在の流通の形には、農家さんがメーカーとして仕事をするために欠けているものがあるといいます。

「もう一つの理由というのは農家サイドの話で、既存の流通だと、規格に沿って(農作物を)つくれば対価としてお金をもらえる。

でもそこには、決定的にメーカーであることに欠如していることがあって、買っている人たちがどう感じているか、評価がわからないんだよ。

美味いものを作るのが評価ではなくて、形のきれいなものを作るのが評価になっている。」

「いま日本の農業の一番の課題って、高齢化でしょ?
農業人口がどんどん減っているんだよね。

おれはその原因の一つに、農家さんが自分の仕事に誇りを持てていないということがあると思う。

売価が高い安いだけじゃ、跡継ぎはできにくい。
本当は、自分たちのやっていることがしっかり利益が出せて、自分たちがやっている仕事の意義、すばらしさを誇れて、それを見て育った子供たちが農業を継ぐんじゃないかと思っている。」

直売所には、商品の品質などの規格は基本的にはなく、値段やパッケージなども農家さん自身が決めています。

直売所はあくまでも売り場を提供しているだけで、「仕入れる」という形ではないと林さんは言います。
そして、売れ行きやお客様の感想などの情報をフィードバックして、農家さんと一緒に「売れる野菜」を生産していく。
つまり、農家さんの工夫やこだわりが直に売り上げという形に現れます。

そうすることで、農家さんの思いが作物に反映され、農家としての誇りを次世代に繋げていきます。

「Tsuna-garu Tochigi」でつなぐ未来

地域のコミュニティ創りと、農家さんの誇り

あぜみちさんの掲げる2つのテーマは、「TSUNA-GARU TOCHIGI」というひとつの形であらわされています。

「TSUNA-GARU TOCHIGI」とは、あぜみちさんと宇都宮のタウン誌「monnmiya」がコラボした企画で、栃木県の農家さんと飲食店を一緒に紹介することで、文字通り地域と農家をつなげています。

「始めたきっかけは、僕が直売所を始めてからずっと思っている事があるんですけど、
農家の人と付き合えば付き合うほど、農家の人たちってかっこいいなって思うことがたくさんあるんですよ、考え方とか、職人気質なところとか。

でもそれをかっこよく紹介しているものって、世の中にないんだよね。
せめて県内だけでも、リアルな農家を、なるべくかっこいい切り口で発信したいというのがあった。」

「一つはもちろんお客さんに、こんなすごい人がいるんだよって伝えていきたいっていうのと、
もう一つはやっぱり、農家さん自身の誇りを取り戻してもらう。

こうやって、いろんな人に一農家が注目されているかもしれないっていうことは、改めて自分の立ち位置や自分がやってきたことに対してのちょっとした自信になるじゃん。

そういう農家さんを増やしていきたいっていうのが、根本にはある。」

この「TSUNA-GARU TOCHIGI」は、私たちが今回の取材をお願いしたきっかけでもあり、とても丁寧に一軒一軒の農家さんに寄り添った記事となっています。

いろいろな農家さんの活躍が見られます。ぜひHPをのぞいてみてください!

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農家さんの選択肢として

日本の中での直売所の役割。
地域のコミュニティの場として、そしてその先にある日本の農業全体の問題を解決する新しい形として、これからも直売所は進み続けます。

「僕らの掲げる理念は農業の発展なんで、やっぱりがっつり稼げる農家さんがたくさん出るっていうのがテーマになってくるんじゃないですかね。

やはり日本の農業が衰退していった原因って、流通にあると思うんですよ。
共同出荷という仕組みができて、ある意味合理化は進んだのかもしれないけど、結果的に誰ももうからなかったみたいな。

これって本末転倒じゃないかと思ってしまうわけですよ。
であれば、リスクはあるけど儲けも得られるっていう農業の在り方もあるべきだと思う。

ただそれだけが正しいってわけではなくて、そういう選択肢も農家さんにはあるべきだと。
自分にメリットのある方を選択できることが、これからの農業の、農家さんの利につながっていくんじゃないですかね。」

流通の形を広げ、農家さんが選択肢を持てるようになること。
既存の流通を否定することではなく、多様化を進めることでお互いが、そして日本の農業全体が豊かになっていくことが、あぜみちの掲げる理想の姿です。

最後に

いかがでしたでしょうか。

今回の取材を通して、地域の野菜を食べるということの意味、今までは気づかなかったすばらしさに触れることができました。
栃木の野菜がより多くの人に食べられることは、農家さんの誇りであるのはもちろんのこと、そこに住む私たちの誇りにもなりえるのかもしれません。

あぜみちさんでは、毎日栃木県で採れた新鮮な野菜やお米、花などを販売しています。
野菜のひとつひとつに込められた思いを知ったとき、私たち消費者も農業の新しい楽しさに気づけるかもしれません。
この記事を読んでいただいた方が、一人でも多く足を運んでいただけたら嬉しいです!

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代表の林さんをはじめとする農産直売所あぜみちの皆様、お忙しい中快く取材をお受けいただき、本当にありがとうございました!

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お得な情報がいっぱいなので、ぜひフォローしてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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取材:尾澤・横内 編集:尾澤


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