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詩まとめ

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書いた詩のまとめ。
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#花

【詩】聖歌と旅路

これ(以下)の続き 長い間夢を見ていた 未来予想地図を片手に、輝く世界を掴めると 一人ではなかった 同じ夢を見る者は他にも沢山いた しかし輝くのは未来ではなく過去の栄光、偽物の太陽、ハイエナの目 世界はいつまでも闇の中で、出口も正解も何一つ見えない 冷たくて現実的、思えば太陽が偽物なのだから、あたたかい訳がなかった 人々は僕らを「夢追い人」と揶揄し、「新しいものは、変化はいらない」と叫ぶ 既に棺の準備を始めて時を待つ人々に、僕はなれなかった 書き込みだらけの地図も、やがて擦

【詩】ラナンキュラス

「Bouquet」内に盛り込んでいた詩 朝の 白い光の中 置かれた花冠と蝶のイヤーカフ 止まりそうな時の中でねむるきみを見る その手にひとひらの花びらを掴んだまま もう片方の手には花びらの元、ラナンキュラスの花を胸に抱えて 胸からあふれたそれが、きみの恋ならいいのに どこにもいかないで この部屋を満たして 枯れることなく ただ流れ続けて 早く生まれてよ あの柔らかい、おめざの笑顔を待ち侘びている

【詩】Bouquet room -purple-

また、朝が来た。藤のカーテンは美しいが、いつまで経っても開くことができない。その花で埋まる空だけが、私を囲む世界。隙間から微かに零れる以外に太陽の光は届かない。 池のように水を張った床に、紫陽花を浮かべた。まんまるな紫陽花達が水面に咲いている。カーテンから零れた光は水と花に融け、キラキラと輝いた。灯籠のようだ。 パルフェ・タムールの香り。キキョウのブーケ。カンザキアヤメの便りを心待ちにして、それらを抱き、もう一度眠りにつく。 いつか見た夜明けの、本物の空。太陽を全身に浴びて

【詩】chamomile

白い花畑でぽつんと リンゴの香り華やいだひと 涙色の目は地平線を覗いた 紫のサイレンに抱かれて 桜が散り、青葉に詰られ、紅葉に怒られた夜、細雪のノックで目を覚ます 扉の向こう、寒椿 水面に弧を描く 今年はリンゴの花が咲くのかもしれない

【詩】勿忘草

勿忘草の花言葉 引き千切って罪に置き換える 「彼の願うこと それは罪」 流れ星の噂より馬鹿らしい

【詩】花めく君へ

ドラマ版「アルジャーノンに花束を」観て作ったもの いつからだったか夢を見ていた 枯れた世界に咲く一輪の花の夢 今、その夢の向こう側 枯れた心で咲く一輪の花の夢 「お花になっても君が」 裾を揺らして 続きを言えずに 花に変わり果てるのを見ていた様な 君が散らばる部屋の中 月に照らされ夢を見ていた 花びらの先を紡いでくれる 君の夢