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詩まとめ

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書いた詩のまとめ。
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#冬

【詩】聖歌と旅路

これ(以下)の続き 長い間夢を見ていた 未来予想地図を片手に、輝く世界を掴めると 一人ではなかった 同じ夢を見る者は他にも沢山いた しかし輝くのは未来ではなく過去の栄光、偽物の太陽、ハイエナの目 世界はいつまでも闇の中で、出口も正解も何一つ見えない 冷たくて現実的、思えば太陽が偽物なのだから、あたたかい訳がなかった 人々は僕らを「夢追い人」と揶揄し、「新しいものは、変化はいらない」と叫ぶ 既に棺の準備を始めて時を待つ人々に、僕はなれなかった 書き込みだらけの地図も、やがて擦

【詩】Live

吐く息白く「ぽっぽ」と唄う 人で溢れる昼下がり 人のふりしてはみ出すレール 立ち入り禁止 忘れたマキアージュ 不織布に祈りをかけた ゆるされないね 何もかも 当てのない旅も、素顔のままも 未納の年金とか 「ここが地獄?」 ごめんね大王 笑えぬ冗談吐く舌抜いて でもまだ「ぽっぽ」の真似事していたい 「生きていたいよ、嘘じゃないよ」 だからまだ殺さないで サザンクロスはまだ遠く 時が来たら自分で目指すから レールの外に咲く桜達 「また会いましょう」と笑い、花びらが舞う

【詩】春告花

空一面に白雲 地上は銀世界 雪が降る中、傘も差さず世界を見ていた 月や星は当然見える筈もなく、人間さえも存在しない 在るのは白 それのみ ふと水面に浮かぶ白椿を見つけた 息はまだある 掬い上げて雪に還し、春を祈る 澄んだ空気を身に受けながら歩き、やがて袖からいつかもらった髪飾りを出してみた それもまた、白椿であった 髪に着けて、また歩く 彷徨っていると言った方が正しい 当てもなく、果てもない 強いて言えば、花々を弔う旅路だったのかもしれない やがて白銀の泉に辿り着き、花の如

【詩】冬朝

夜の作家も逃げられなかったお化け 知っていてなお光の方へ走る 星屑の煉瓦 異世界の曇り空 積み木の塔を壊して進む 幸せ過ぎて寂しかったから 氷柱塗れの君の手 握って僕ら 桜色の朝へ 流星が青く鳴いて ふたり 夢に取り憑かれてゆく