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詩まとめ

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書いた詩のまとめ。
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#片思い

【詩】聖歌と旅路

これ(以下)の続き 長い間夢を見ていた 未来予想地図を片手に、輝く世界を掴めると 一人ではなかった 同じ夢を見る者は他にも沢山いた しかし輝くのは未来ではなく過去の栄光、偽物の太陽、ハイエナの目 世界はいつまでも闇の中で、出口も正解も何一つ見えない 冷たくて現実的、思えば太陽が偽物なのだから、あたたかい訳がなかった 人々は僕らを「夢追い人」と揶揄し、「新しいものは、変化はいらない」と叫ぶ 既に棺の準備を始めて時を待つ人々に、僕はなれなかった 書き込みだらけの地図も、やがて擦

【詩】Marmalade

「おはよ」と言えば「おはよう」と返ってくる そんな日常が憎かった 僕の聞きたかった目覚めはこんな煩わしいものではない 好きでもない人間の声と始まる朝は、この上なく不愉快である 理想はあまり話したことのないあの子 たまに世間話と恋バナをする、華やかなあの子の「おはよう」で目覚めてみたい そう思うとどうにもダサ過ぎてムカつくけれど マーマレードジャムを乗せたトーストを齧りながら、うるさく囀る君と 一度の朝だけでいい、結婚してくれ 白昼堂々そんな夢を描ける程度の肝はあるのに、口には

【詩】自殺

ずっと苦しかった。ずっと悲しかった。 大好きな君が無邪気に僕の気持ちを踏み躙っていくのが堪らなく憎かった。 見たかった筈の笑顔を見るたび惨めな気持ちになる。それでも目先の欲に甘えて愚かな道を選び続けた。 笑顔が見たい。触れていたい。名前を呼んでもらいたい。 それが満たされるたび、満たされるのに、僕はひどく虚しくなる。 僕が求めた幸せで首が締まり、息ができなくなる。 そんな僕の手を取り、踏み躙った僕の息で、君は恋を語る。