舞台「エレファント・マン」を見た
3回見ることができました。
それでもまだ、頭の中で答えが出ないことが多い。
終演して、家に帰るまで誰の声も聞きたくないし、音楽も聴きたくない、ただこのお話について考えながら帰りたい。そんな舞台でした。
ネタバレありの感想を書きますので見たくない人は戻ってね。
幸せとはなにか。
星が降る夜と眩しい朝が繰り返すようなものじゃなく、
大切な人に降りかかった雨に傘を差せることだ。
と、back numberは言っているけれど。(幸せとはって単語を聞くと無条件にこのフレーズが出てきてしまう)
これは要するに守るということが幸せってことかな。
このエレファント・マンでのフレデリック・トリーヴズが言う「幸せ」もこれに近い。守られること、守られていることが幸せだとメリックに言う。
守るということは、制限するということでもあって。
親が子に「これは怪我をするからしてはいけません」「この子は言葉遣いが乱暴だから関わってはいけません」、これらと同じだと思う。
でも本当にそうなのか。守られることが幸せなのか。安全安心なことが幸せなのか。その代償に制限される生活があっても。
序盤でぞっとしたシーンは、メリックが病院で保護をされてからのシーン。
トリーヴズはメリックに「(こうやって保護されて)幸せです」「規律を守ると幸せになれる」と復唱させる。
怖かった。メリックが自ら言うならわかるが、幸せだということ、そして幸せである理由を植え付けるかのように復唱を強制させていたから。
この段階から私は「あれ…?雲行き怪しくない…?モラハラ的なやつ…?」とハラハラし始める。
トリーヴズはメリックに「人間らしい生活」をさせることを心がける。
そのために女性との関わりが必要だとして、ケンダル夫人を紹介する。
メリックは初めて女性と友達になったのだ。
うん、まぁここまでは良い。
「人間らしい生活」ってどこまでを想像していたのかな?
人間には三大欲求というものがある。「食欲」「睡眠欲」「性欲」。これらの欲を抱くことはいたって普通なこと。抱かない人もいるんだろうけど、抱くことは普通。
メリックがいままでは女性と関わりを持つなんてありえなかったところから、関わりを持てた。そうなったら、女性の身体に対して興味を抱くことは普通。まぁ、ですよねってレベル。
でもあれだね、時代もあるんだろうね。
人間らしい欲を抱いただけなのに、トリーヴズにめちゃくちゃ怒られる(しかも別にケンダル夫人に脱いでって頼んだわけではない)メリックがかわいそうで…。これが制限された、規律を守った先の行く末か…と。
メリックもそのことに気づいていた。というか最初からわかってた?復唱させられた時点でわかってた?規律を守ることが幸せじゃないってわかってたのかな。
そしてメリックがトリーヴズに嫌味を言う。
これは個人的好みだけど、いいことばっかり言う人って人間味がなくて苦手。人として素晴らしいと思う。誰の悪口も言わない、嫌味も言わない。文句も言わない。私にはできないからこそ尊敬はする。でも人間らしくないなって思ってしまう。
だからあの嫌味を言うシーンで、メリックがとても人間的になったと思った。家ができて、ご飯が食べられて、好きなことができて、お話し相手がいて、好きな人がいて。感情の幅が広がったからこそ生まれるのが喜怒哀楽。
でもその嫌味のせいでまたトリーヴズを怒らせるんだけどね。怒ってるならはっきり言えよ、と。まぁあの周りくどさはむかつくよね。私も言っちゃうかも。何に怒ってるのか言ってくれって。あの言い回しは…メリックの優しさなのかな?なんなんだろ。
トリーヴズはなんで麻酔のことを調べていたのかな。良い麻酔があればメリックの命を伸ばせるかもしれないって思ったからなのかな。関係ないのかな。
そしてトリーヴズは壊れていく。
メリックを保護したことは慈悲深いことだ、と自分で言っておきながら、制限することが正しいことではないとも思っていて。
メリックにはケンダル夫人が必要だとわかっていても、ケンダル夫人にメリックが死んでいく姿を見せるわけにはいかない。だから遠ざけなければいけない。
そして、これは憶測だけど、メリックの命がもう長くないとわかっていても、どうすることもできない。医者として治してあげることもできない、その無力さが彼を苦しませていたんじゃないかな。
何が正しくて、何が正しくないのか。
何が幸せで、何が幸せじゃないのか。
答えは「人による」という乱暴で漠然としたものだと思う。
でもその問いのせいでトリーヴズは壊れてしまった。
メリックが亡くなったあともきっとこの問いをずっと考え続けて苦しみ続けるんだろうな。
幸せとはなにかをすごく考えさせられる舞台だった。
ちょっと前まで自分の頭の中の議題になっていた安楽死のことを思い出したな。(願望があるわけではないよ)
バカっぽい感想も言わせて欲しい。
あ〜〜小瀧望すごい顔小さかった…背高かった…衣装(スーツの方)すんごい似合ってた…彼は品がある。素晴らしいことです。
役柄的にムキムキ、ガリガリじゃなくていいからあの感じがいつもの体型なのかな?あれくらいが好き。触ったら気持ち良さそう。あ、ごめん。
また舞台やって欲しいな。やっぱり舞台好きだな〜シンプルに「すごい!!!!」って思えるから。いや、映像でも思うんだけどね。わかりやすくすごいから好き(語彙力)
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