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【チン・ゲン・サイ】chin/gen/sai

【チン・ゲン・サイ】chin/gen/sai
職務遂行に不可欠なコミュニケーションの3要諦を、覚えやすいよう日常生活で馴染みのある食材名に当てはめたビジネス用語。「チン」は「沈黙」、「ゲン」は「眩惑」、「サイ」は「猜疑」である。
同種の用語として「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」が知られるが、これは原則として下位者が上位者に対して行うものであるのに対し、「チン・ゲン・サイ」は上位に立つ者がその優位性を維持するため、あるいはチーム内において他者に優越するための必須条件を提示するものである。

《チン》…沈黙:silence
他者には口を閉ざせ。情報を与えてはいけない。それが職務遂行上必要と思われるものであったとしても。どうしてもというときは可能な限り分割して小出しにする。たとえ上長であっても他者は都合よく動きさえすればよいのであって、考えさせてはならない。特にトラブル状況が生じたとき何より有効なのが、この沈黙である。上位者を怒らせることもなく、周囲からの糾弾・制裁を防ぐこともできる。

《ゲン》…眩惑:dazzling
他者を惑わせよ。正常な判断をさせてはいけない。他者には親しまれるより怖れられるべきである。意味なく怒鳴りつけたり、かと思えば脈絡もなく大笑いしたり、机やロッカーなどに突然ケリを入れたりして「この人ヤバイ」と周囲に思わせること。そして、あたかも自分が他者より有能であるかのように振舞え。世間にとっては「有能に見える奴が有能」なのである。実質など別にどうでもいい。どうやったら有能に見せかけられるか? その方法は本屋にもネットにもいくらでも転がっている。転がりすぎてる。

《サイ》…猜疑:suspicion
他者を疑え。およそ他者が発する言葉を素直に受け取ってはならない。総ての他者は絶対に、あなたを追い落とそうと企んでいる。常に色眼鏡で見、揚げ足を取り、つけ入る余地を見つけてはネチネチと指摘し続けなければいけない。それが些細な瑕疵であるほど良い。日々細かく糾弾することで他者の積極性を削ぐと同時に、あなたの上位者に対しては「目端の利く、デキるヤツ」と思わせることもでき一石二鳥。

(2019.08.17)

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