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『メモリーチェック』弱点診断テストを考える


 日能研が出版している『メモリーチェック』は問題量も豊富で6年生2学期以降の復習目的の使用に優れています。ただ、1点弱点診断テストについて思うところがあります。
 今回は弱点診断テストの課題とそれを改善した自作教材について紹介したいと思います。


1, メモリーチェックは復習用の教材として優れている。

6年生の2学期以降の社会科の学習は大きく3つに分かれると思います。
① 弱点補強並びに単元のブラッシュアップ
② 時事問題対策
③ 過去問による志望校対策

 ②については時事問題集が最適です(自分も自作していますが・・・)。また、③については過去問並びに最難関校であれば学校別模試が有効でしょう(最近あった件についてはいつか私見を述べたいと思います)。
 では①はどうでしょう。実際の入試問題をまとめた『最高水準問題集』などでのブラッシュアップも有効でしょう。しかし、それよりも知識の抜けを確認する教材を使用すると思います。そしてその中でも特に以下の3つのいずれかが利用されていると思います。

A:『メモリーチェック』(日能研)
B:『四科のまとめ』(四谷大塚)
C:『コアプラス』(SAPIX)

 Bは値段が少々張りますが、カラーで分かりやすく、また同じ単元でも左ページと右ページで異なる問題を出すことが多いのが特徴です。Cは赤フィルターを用いて書き込まないで覚え直しをするのに最適です。
 そしてAですが、問題量の多さが特徴です。また記述問題もしっかりと入れているのが特徴です。そして何よりも他の2つと異なり「弱点診断テスト」を入れてあることです。これを先に使うことで自分の苦手単元を確認するというコンセプトが多くの人に利用されている理由の1つになっているのだと思います。


2,弱点診断テストにも問題がある

 しかし、知識系の復習教材として優れている『メモリーチェック』の弱点診断テストですが、個人的に不満な点が大きく2つあります。
 まず1つは「問題の難易度が高い」ことです。基本的に選択問題ではありますが、出し方は様々です。中には入試で出題される正誤問題が入っています。これでは難易度が少々高く弱点診断に適さないと言えます。そのため中には何も分からずただ解答を埋めているだけの問題もあると思います。
 そしてもう1つは「問題数が少ない」ことです。これを見て違和感を抱く人もいると思います。弱点診断テストは80単元にそれぞれ3問出題、計240問あります。確かに全体で見れば十分な量かもしれません。しかし、単元毎で見ると問題数が3問では少ないと言えます。
 仮に全ての問題を運試し、つまり4択をいい加減に答えたとしましょう。その場合の確率は以下の通りです。

3問中0問正解:27/64 
3問中1問正解:27/64
3問中2問正解:3/64
3問中3問正解:1/64

 つまり、運試しレベルでも満点が取れる可能性があります。また2問以上なら1/16、つまり計算上5問は2問以上正解出来る確率になります。
 こうしたことから弱点診断テストは課題があります。そこで自分なりにブラッシュアップした教材を考えてみました。


3,『問題点確認テスト』について


 『問題点確認テスト』とは弱点診断テストに不満を感じた自分が作ったドリルです。コンセプトは以下の通りです。
① 難易度をできるだけ低くする
② 運試しでは評価が出ないようにする

まず①ですが、これは添付ファイルを見て頂ければと思います。


地理分野サンプル

地理分野サンプル


歴史分野サンプル

歴史分野サンプル


公民分野サンプル

公民分野サンプル


 以上を見ても分かる通り、一問一答問題で出てもおかしくないレベルの難易度を選択問題にしています。また、同じ構成の選択肢も単元によっては載せているため、少し頭の回る子であれば参考にして答えることが出来ます。そして、問題文をしっかり読めばそれだけで答えられるような問題も載せています。
事実、これを取り組ませた生徒は、10問中7~8問は取れますし、満点の子も結構いました。それだけ簡単にしていますので、出来なければかなりの苦手(未学習)単元であることが分かります。

 次に②ですが、これは1単元10問の4択問題にしています。仮に全て運試しで正解を出そうとすると、1/4の10乗、つまり1/1048576になり運試しでは出来ないようにしています。

 このように、『問題点確認テスト』は苦手単元を洗い出し出来る教材といえます

4,『問題点確認テスト』にも問題点がある


 こうして作った自作の教材ですが、問題点がないわけではありません。それは2つあります。

① 簡単すぎて出来る子には物足りない
② 地理分野と公民分野の被りがある

 まず①ですが、これは特徴が裏目に出たものです。簡単すぎる問題のため苦手単元の洗い出しが出来ますが、出来る子例えば四谷大塚・日能研で偏差値65以上狙える子であれば物足りなさすぎると思います。60くらいでもつまらないかもしれません。ただ、取り組み方次第では使いようがある教材でもあります。
そして②ですが、地理分野と公民分野については塾によって単元が異なります。私の場合もそうで、結果的に10問近く被る問題が出てしまっています。その点はいずれ改善を図りたいと思っています。

5,『問題点確認テスト』の使い方について

 これは本書の表紙に示していますが、大体10問を3分以内に解きます。ただ、あまりに簡単すぎるので、出来る子であれば半分の1分30秒(90秒)で十分なものです。
 しかし、出来るからといってどんどん取り組ませないでください。集中力は長くは続きません。そのため、能力以外の理由のミスが生じることがあります(私自身、チェックのために解き直すと以前の解答と異なるもの、つまり誤答を出してしまったことがあります)。大事なことは苦手単元を洗い出しすることで問題を多く解くことが目的ではないことに気をつけて欲しいと思います。
 そして苦手単元が見つかった後は覚え直しに入ります。私自身、一問一答問題を作って、この『問題点確認テスト』に利用していますが、本年度は諸事情のため一問一答問題を出す予定はありません。しかし、先程取り上げた『メモリーチェック』『四科のまとめ』『コアプラス』との対応表を作成していますので、それを参考に取り組んでください。
 また、本書は苦手単元だけでなく知識のブラッシュアップにも利用出来ます。不正解の選択肢のほとんどが中学受験で学習するものです(一部存在しない用語や高校日本史レベルがありますが)。その不正解の選択肢を利用して例えば「〇〇は▲▲のこと」といったように、その選択肢の語句に関連することを挙げることでどれだけ理解できているかの確認が出来ます。本書は地理分野が200問、歴史分野が240問、公民分野が160問あります。それぞれ4つの選択肢、当然重複するものもありますが、扱っている用語は各分野で押さえ得るべき最低限度の量になっています。こうして選択肢に使われている用語の確認を通して知識の積み上げが出来るようにもなっています。

6,終わりに変えての勧誘


 以上、『メモリーチェック』弱点診断テストの課題とその解消を目的とした自作教材の紹介をしました。自作教材はメイン教材になりませんが、メイン教材を効率良く使うための補助教材の役割を十分に果たしています。
 最後にその『問題点確認テスト』の手に入れ方です。申し訳ありませんが、有料とさせて頂きます。また、現在(2020年10月13日)は「BASE」にのみ販売しています。ただ、「BASE」は3分野まとめて購入すると100円お得になるようにしています。
 これまで色々な問題をTwitterにあげていますが、「世話になってるからたまには金を使ってあげるか」という気持ちがある方は是非購入頂ければと思います。

購入先
https://tyuukisya.thebase.in/

私のショップです。他の教材も随時出していきますのでよかったら買って下さい。


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