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電凸の恐怖

少し前、とあるインフルエンサーが犬笛となり、岩下の新生姜への不買運動が起きた。

ただ不買運動するだけであれば、個人の自由なのでそこまではまだいい。
我慢するとしよう。

問題は、岩下食品や岩下の新生姜を使ったたこ焼き屋にまで、クレームの電話をした者が大勢いたということだ。

この手の電話を受けた事がある人なら分かると思うが、攻撃的な口調や理屈にならない説教など、心の準備をしていないとダメージがデカい。

二回三回と繰り返されていくと怒鳴り声には慣れてくるのだが、電話の呼び出し音が鳴るだけで反射的に身構えてしまう。

さて、話は変わる。

東京都知事選に破れた石丸伸二氏についてである。

彼は安芸高田市長時代、SNSを駆使して〈巨悪に立ち向かう孤高の男〉像を作り上げた。

議会中に居眠りをしていた議員を名指しし「恥を知れ、恥を」と議場で吊し上げ、その動画が切抜き動画師によって拡散された。

Tik Tokを観ている層には「スカッとジャパン」のように映ったかもしれない。
越後の縮緬問屋のジジイが、実は水戸黄門だったくらいの気持ちよさか。

話は居眠り議員に移る。
彼は、母親の介護で夜を満足に眠らないまま、議会に出席した。
議員である以上、よほどの事がない限り議会に出席する。
それは普通のことだ。
だがその日に限って、うつらうつらしてしまった。
その挙動を〈正義の味方〉石丸市長が注意し、動画として拡散された。

ここからは推測だ。

彼の自宅に、攻撃的な電話が行ったのではないだろうか。
自宅の電話番号は当時、市のHPで公開されていた。
正義の憤怒に駆られた方々が、電凸をした可能性が考えられる。
自宅に介護の必要がある母親がいるのだから、上述のたこ焼き屋さんのように電話線を抜く訳にはいかない。
かなりのストレスを抱えていた事は、想像にかたくない。

後日、この議員さんには軽い脳梗塞がみつかり、今は既に亡くなられているため、真相はわからない。
だが、この一件以降、他の安芸高田市議は電話番号を非開示にした。

電凸は、一番気軽に行える精神的攻撃である。
ただ電話を鳴らすだけでいいのだ。
それだけで、受け手には少しずつダメージが蓄積される。

兵庫県で内部告発した職員が自殺した。
その背景に電凸がなかったか、気になっている。

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