ぶらり関西みて歩記(あるき) 大阪の文学碑
〔第4回〕
林芙美子
■尾道が心の故郷に
明治36年に生まれた芙美子(本名、フミ子)の出生地について、彼女自身は「下関市」と語っていたが、出生届けは叔父の家がある鹿児島で出されている。
芙美子の誕生を、実父の宮田麻太郎はなぜか認知しなかった。そのため「林フミ子」として、母方の叔父の戸籍に入ったのである。
幼少期の芙美子は、麻太郎の浮気が原因で、母と番頭の沢井喜三郎に連れられて家を出た。長崎・佐世保・下関・鹿児島を転々としたり、あるいは山陽地方の木賃宿を泊まり歩いたりす