見出し画像

2020年の日向坂46を振り返りましょう。

今年も『日向坂で会いましょう』面白かったですね。

2020年最後の放送となった今週は、ひきつづき「アンガールズ田中をメチャクチャにしましょう!」企画。
ひなあいで今年いちばん笑った。お腹がいたくなって、のどが枯れるくらい笑った。文句なしにひなあいの歴史に深く刻まれる企画だった。今週に関しては、あれこれ言葉を積むよりも直に観たほうが最良だと思う。

今年のひなあいが終わったということで、2020年の日向坂46を『日向坂で会いましょう』を中心に総括していこうと思う。今年はこの番組に本当に助けられた。

本業であるアイドル活動については、仕事の都合で今年のライブをひとつも見ることが叶わず、全く触れられない。先日開催された「ひなくり2020~おばけホテルと22人のサンタクロース~」も見られなかった悔しさをどうか汲みとって頂きたい。運営のみなさん来年はどうかアーカイブを、アーカイブを配信してください。

来年はライブを観られますようにと願いを込めて、まずはじめに前々から気になっていたことの検証からはじめたい。

 取れ高おばけは実在するのか?


「日向坂46は取れ高おばけ」

驚異の売れ行きだったB.L.T.9月号「日向坂で笑いましょう」での番組Dのインタビューはじめ、様々なメディアでこのようなニュアンスの文言をよく見かけた。たしかにわたしもよく思うことだけど、これははたして本当なのだろうか。

確かめてみた。
検証内容は今年放送の全52回の内、いくつ企画があったのか。
条件はだいぶアバウトに以下の通り。

・比較対象として同じ坂道グループの冠番組『乃木坂工事中』『そこ曲がったら、櫻坂?』(改名前は『欅って、書けない?』)を採用。
・ソースはwikipediaを参照。タイトルがついてるものを1カウントとし、前後編にわかれていても、企画単位でカウント。

取れ高の検証なので、割合が少なければ少ないほど取れ高があったというとこになる。あくまで数を比較するだけであって、内容は全く関係ないということだけ言っておきたい。感性はひとそれぞれ、くれぐれも注意していただきたい。

それではさっそく結果を、ドン。

『乃木坂工事中』:36企画
『そこ曲がったら、櫻坂?』(『欅って、書けない?』):30企画
『日向坂で会いましょう』:25企画

確かにひなあいがいちばん少なかった。
『乃木坂工事中』では今年、白石麻衣さん、中田花奈さんなどの卒業関連の細かい企画がたくさんあったこともあり、このような結果となった。
なかでもで大きく差が出たと思った時期が、5月中旬ごろにあった。コロナの影響で急遽編集したVTR放送を終え、リモート収録を行っていた期間だ。
各番組が8週にわたって行っていた企画数は、『乃木坂工事中』が4企画、『欅って、書けない?』が3企画、『日向坂で会いましょう』が2企画という結果だった。この結果は「日向坂46は取れ高おばけ」と表現するに足るひとつの根拠となるのではないだろか。
余談だが、ひなあいの企画タイトルだけひと際ゴキゲンだったのが個人的にクスッときた。

そんな”24人の取れ高おばけ”たちが、どのように番組を盛り上げていったのかを今度は見ていきたい。

 全員が個性をもったエンターテイナー

今更わざわざ言うことでもないが、日向坂46はバラエティが達者である。
MCのオードリーはもちろん、内外の番組プロデューサーなど業界関係者からも、そのバラエティに対する前のめりな姿勢や当番組が高い評価を受けている。だがあくまで、日向坂46の前のめりな姿勢には(アイドルにしては)という枕詞がつくことに注意が必要だ。テレビに出て間もない方たちは皆、どうにか結果を出そうと必死に参加しているから、いち芸能人としてはなんら特別なことはないだろう。
しかし、『日向坂で会いましょう』が大いに盛り上がり、高い評価を受けている理由には、前のめりな姿勢に加え、メンバーすべてが個性豊かなことが要因としてあげられる。

わたしたち一般人にも大切な要素である個性。「背が高い/低い」「おバカ/頭脳明晰」「運動神経がいい/悪い」など特徴によって、人は認知され名前を覚えてもらえる。当時の富田さんからも、キャラ付けに東奔西走迷走してた様子からキャラというのはそれだけ大切だという認識が伺える。

2018年4月、初冠番組に意気込み努力の方向を模索していた彼女たちは、一滴の贔屓から少しづつ大きくなり、バラエティにおける自身の個性を見つけ、番組をつくる大人たちの力を借りながら爪痕を残せるようになり、大きな運河となって2020年、個性を生かした外番組へとたどり着いたのだった。その象徴といえる人物が潮紗理菜さんだ。

穏やかな性格で心優しい人物で、バラエティのセオリーも初めの内は知らなかっただろう彼女が、いまやスターである。彼女がひとたび話しはじめれば、わたしたち視聴者はその行方を期待せずにはいられず、その透き通った声で届けられるアツいトークに思わず耳を傾けてしまう。今ではお馴染みのインドネシアをはじめ「教養は一生自分を助けてくれる」「チョベック」「ちなみに私もその1人」など、ひなあいで今年多くのパンチラインを放ったメンバーのうちの1人になった。外番組に呼ばれることも増え、他のメンバーとくらべ、ラジオによく出ていたイメージが強い。

潮さんのすごいところは、オードリーを介する必要がないというところ。大喜利で達者に答えたり、オードリーの振りに対して上手く返すなどバラエティで面白いのではなく、潮さん自体が面白いのだ。これは潮さんだけの武器であり、潮さんで完結できるところが彼女の素晴らしい個性だと思う。

バラエティ番組においては、いじったりして番組を盛り上げていくトリガーとなる個性。ここまで24人の取れ高おばけたちの個性について話してきたが、そこを語るにかかせない重要人物こそ、当番組MCオードリーの2人である。

 ぴっちり七三、ピンクベスト

坂道番組MC3組を比べてみると、オードリーにはある特徴がある。昨今のひなあいの大盛況は、けやき坂46時代からあった人間を受け入れ調和するグループの雰囲気とオードリーとの相性が良かったことも要素として考えられる。

その特徴がよくわかるのが、オードリーの冠番組『あちこちオードリー』である。先日、日向坂46も出演を果たしたこの番組は、オードリーのもとにいま注目の有名人をゲストに迎え、普段言えずに押さえ込んでいる本音をぶっちゃけるトーク番組となっている。
この番組に来るゲストの方たちは、パートナーへの不満、自身の将来への不安、現状の仕事についてなどの普段は言えない鬱憤をこれでもかと吐き出しし、それを見ていると一見華やかそうな芸能人たちもわたしたち視聴者と似たような悩みを抱えて仕事をしているんだと親近感を感じる。その本音を引き出すオードリーの聞き上手が素晴らしい魅力となっている。

オードリーの聞き上手は、人間の本音を面白がるところにある。
人間には性分がある。何気ない仕草から彼らはその性分をみつけ、ひっぱりあげてケラケラと笑う。一見すると趣味の悪い笑いだと思われるかもしれないが、その笑いには「しょうがねえな」という共感の成分が含まれている。
彼らは人間性を善し悪しで判断しない。いうなれば”ぴっちり七三ピンクベスト”なのだ。

エッセイで綴られたように社会に馴染めない苦味を味わった若林さんや頑固でドケチな春日さん、生まれ育っていく中で培われた人間性が社会や人間とどうしても折り合いがつかない違和感に、彼らは心当たりがあるのだ。だからどうしようもない性分に「しょうがねえな」と笑う。

そんな2人がアイドル番組のMCをすると、登場する人間はすべておもしれえのだ。そういった視点を持ってメンバーに接しているからこそ、わたしたち視聴者もそういう見方をするし、わずかな違和感に気づきツッコむことで、それをヒントにメンバーは個性を見つけ、スターになっていく。
自分の推しを面白い人だよと言ってくれる、オードリーには本当に感謝しかない。

しかも興味の対象はメンバーだけにとどまらず、番組に関わるスタッフさん、果てはメンバーの両親まで及び、見つかった誰もがみな魅力的な人物に見えてくる。

アイドル番組では定番の両親アンケート企画「祝・ダディガ記念! 人生のパイセンに理想の娘の育て方を学ぼう!」では、両親をとおしてアイドルのオフの表情を知れる魅力のあった企画のこれまでとは違い、おたけのお父さんというタレントを発掘したのは、オードリーの性分による成果だといえよう。

そんなハートフルな”七三ピンクベスト取れ高おばけたち”に今年2月、坂道研修生としての活動していた3名の新3期生が加わった。

 4人の3期生、日向坂46の未来

日向坂46の3期生、少ないと思いませんか?
2018年に実施された坂道合同新規メンバー募集オーディション合格者がそれぞれ、乃木坂46 4期生16名、櫻坂46(欅坂46)2期生15名、日向坂46 4名配属された。少ない。アイドルグループは、卒業や体調不良そのほかもろもろの理由で人数が減っていく組織だ。グループの未来たる加入メンバーが少数ということはあらゆるリスクや負荷を生じさせる選択だ。なぜ人数を増やさないのか、その答えは今年8月に公開されたドキュメンタリー映画『3年目のデビュー』にあった。

グループに立ちはだかる困難に相互扶助をもって立ち向かう彼女たちを映画は「私たちは誰も諦めない 誰も見捨てない」と銘打った。そこからもわかるように日向坂46は集団を存在価値としているのだ。ファンもわたしが知る限り、箱推しが多いイメージがある。映画を観て、いつか変化が起きるそのときに、もしかしたらグループ自体に終止符を打つ選択もあるんじゃないかとわたしは感じた。

メンバーのブログなどをみても加入した3人を迎え入れようとする先輩たちの姿に心が温まる。そんな先輩たちに囲まれてるんだから、ちょっと様子のおかしい番組だってきっと頑張れているさ。ほかのアイドルよりも一癖も二癖もある、クレイジーぶりっ子文化圏に住む椅子に浅く座る集団に放り込まれた新3期生、これからひなあいでどのように祝福されるのか、とても楽しみで目が離せない。

さて、役者が揃ったところで”七三ピンクベスト取れ高おばけたち”の住むホテル、めちゃおもろ最高番組『日向坂で会いましょう』について話していきたい。

 すべてを詰めた、今週の『日向坂で会いましょう』

面白かった。この1言に尽きる。
アンガールズ田中さんをメチャクチャにしましょうというテーマもおかしいが、画面におじさんしか映らないシーンがアイドル番組にしては多かった。
そもそもアイドル番組ってなんだって話だ。

先日開催されたM-1グランプリ。
優勝したマジカルラブリーの決勝2本目のネタが「果たしてあれは漫才なのか?」と議論になった。ボケの野田さんが一切しゃべらず、ジェスチャーのみでボケたネタ。わたしはめちゃくちゃ笑った。そしてあれは漫才だと思う。

ではオジサンばかり映るひなあいが「果たしてあれはアイドル番組なのか?」どうか、これと同じ問題だと思う。わたしはアイドル番組だと思う。

この類の話をややこしくさせている点は、定義が人の感性によるところだと思う。ようは人それぞれだよねってこと。
色でいえば、「青と緑の境界線は?」と聞かれるようなもので、そんなもの誰もきちんと答えられないし、アイドル自体も曖昧な定義なのだから、そこをはっきりさせようとする議論ははっきり言って野暮だ。ちなみに私の見解では、アイドル番組とは「アイドルの名前がタイトルについている」でいいと思う。けっこうゆるゆる。

しかしこの問題、ポジティブに捉えれば、定義を疑うほどに前例がないということだ。前人未踏ってやつだ。
メンバーみんな番組2年半の歴史で培ったすべてをアンガールズ田中にぶつけた。スタッフさんはめちゃめちゃ入念に準備した。すべてを出し切るつもりでバルブを開放しているさなか、寿司にわさびを入れ忘れる、たったそれだけのミスで、大量放水していた企画が大暴れした。
あんなハプニング狙って作れないよ。だからめちゃくちゃ面白かったんだ。もうアイドルが映ってないとか関係ない。勝てば官軍。かわいいは正義。
今週の放送をみて、腹かかえて笑ったのだから、それがすべて。
いやあ最高だった。

最も印象に残ってる一言がある。
「この番組でやるのやめてもらえませんか?」
キャプテン佐々木久美さんのセリフ、最高に痺れた。

この言葉はとても重い。振り返ってみれば、今週のドッキリの発端は日向坂46は全く関係ないじゃん。それだけじゃない、野球だって、大喜利だって、夜もヒッパレ?なんじゃそりゃ。そもそもキン肉マン企画だってそうじゃないか。おじさんの趣味全開で装飾されたひなあい、おかしいよ。
そんな番組の歴史をすべてひっくるめておじさんにピシャリとツッコんだ佐々木久美さんのコメント。今年のひなあいの締めくくるにふさわしい最後の言葉となった。

新年1発目はどうやらモノボケをやるみたいだ。次のスターは誰なのかな。
2020年、コロナに大きく振り回された1年となった。不安で不安定な生活の中で毎週楽しい時間をを届けてくれた22人のサンタクロースに本当に救われた。来年はぜひライブ会場へ、彼女たちを応援しに駆け付けたいと思う。
現在療養中の宮田さんが元気になりますように、来年はみなさんが健康で楽しくいられますように。これからもわたしは『日向坂で会いましょう』、ひいては日向坂46のますますの活躍を、楽しく見届けてゆきたい。

おしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?