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ドラゴンサイトについて


さようなら、ドラゴンサイト


はじめに

Patch4.0で追加され、「鮭の皮」「線の付くギミックかと勘違いした」などと、色んな意味で世間を騒がせてきたアイツがついに消えるらしい。
効果範囲が5mから10mへ、有線から無線へと、時代とともに変化してきた彼も、7.0からは雲海の底でキーンフラーリやリング・オブ・ソーンと肩を並べることになると思うと、感慨深いものがある。

そんなドラゴンサイトの削除について、世間ではかなりネガティブに評価されているようだ。

ネガティブな意見のうち、
”竜騎士”というジョブの設定に紐づいていて、ジョブイメージを司る重要なアクションであったことが、一部の間では理由として挙げられてはいるものの、概ねほとんどの意見に関しては、

”方向指定が取りにくくなった”

というものだ。

前者についてはさもありなんと言ったところだが、後者については
個人的な考えとしては否定的で、

「本当に方向指定が取りにくくなったのか?」

という点について疑問を呈しておきたい
と思う。

7.0における方向指定の緩和

なぜ疑問を呈するかというと、7.0においては一部のウェポンスキルから方向指定が削除されていて、全体を通して方向指定を取る頻度が減っているからだ。

7.0以前のローテーションについては以下の通りで、10回のウェポンスキルのうち、5回が方向指定のあるものとなっていた。

6.0における基本ローテーション

戦闘中に実行するウェポンスキルのうち、概ね50%に方向指定があったということだ。

一方7.0においては、桜華繚乱・ヘヴンスラストの後に実行される5段目のウェポンスキルである竜牙竜爪・竜尾大車輪が、方向指定のない新ウェポンスキル「雲蒸竜変」へと置き換えられる形となっている。
これによって、現時点で考えられる7.0のローテーションとしては以下のようになり、10回のウェポンスキルのうち、3回方向指定がある形となる。

7.0における基本ローテーション(想定)
新アクションの画像引用元:『黄金のレガシー』ジョブ詳細リポート4・近接物理DPS編https://www.famitsu.com/article/202406/6827

つまり、戦闘中に実行するウェポンスキルのうち、方向指定のあるものについては概ね30%にまで減ったことになる。


6.0と7.0における方向指定の比較

この変化について、実際の戦闘を仮定して考えてみる。
フェーズ移行などによって攻撃できない瞬間のない、所謂木人系のコンテンツにおいて10分間(+20秒)、GCD2.5環境で戦闘を行った場合の6.0と7.0の比較が以下になる。

上記のように、10分間の戦闘を想定した場合に、
7.0では6.0と比較して概ね50回程度方向指定が減る形となる。

次に、ドラゴンサイトによって無視できていた、方向指定の回数について考えてみる。
ドラゴンサイトの効果時間中に8回ウェポンスキルを使用すると仮定した
場合、ドラゴンサイトの火力期待値が高くなる使用タイミングとしては、
”桜華繚乱前のGCD”と、次いで”ヘヴンスラスト前のGCD”となるため、
10分間に使用できるドラゴンサイト6回分についても、どちらかのタイミングで使用するものと仮定する。
どちらの使用タイミングでも、ドラゴンサイトの効果時間中に方向指定のあるウェポンスキルを5回実行することになるため、
ドラゴンサイト1回あたり5回分、方向指定のあるウェポンスキルを無視できるものと仮定する。
その仮定のもと計算したものが以下となる。

ドラゴンサイトのある6.0環境下では、10分間に実行する方向指定のあるウェポンスキルの回数は94回となり、
ドラゴンサイトがない代わりに方向指定の緩和された7.0環境下では、おおよそ75回となる。

つまり、単純計算といくつかの仮定のもとにおいては、

”方向指定が取りにくくなった”というのは真実ではなく、
むしろ”方向指定が取りやすくなった”と考えることが自然である

と言える。

7.0にドラゴンサイトが残っていた場合

ここまで読んだ諸兄の中には、
「方向指定を緩和させつつ、ドラゴンサイトも残せば良かったのでは?」と思った方もいるかもしれない。

仮にそうなった場合に方向指定がどうなるかを考えてみる。

ドラゴンサイトの効果時間中に8回ウェポンスキルを使用すると仮定した
場合、7.0においても、ドラゴンサイトの最も火力期待値が高くなる使用タイミングとしては、
”桜華繚乱前のGCD”と”ヘヴンスラスト前のGCD”となるため、10分間に使用できるドラゴンサイト6回分についても、どちらかのタイミングで使用するものと仮定する。
どちらの使用タイミングでも、ドラゴンサイトの効果時間中に方向指定のあるウェポンスキルを3回実行することになるため、
ドラゴンサイト1回あたり3回分、方向指定のあるウェポンスキルを無視できるものと仮定する。

その仮定のもと計算したものが以下となる。

さらに、メレー共通アクションである”トゥルーノース”についても考慮する。
トゥルーノースはチャージ数2・リキャスト45秒のアビリティであるため、10分間の戦闘においてはおおよそ14回程度、使用することができると仮定する。
また、10秒の効果時間を考慮すると、使用タイミングとしては、
桜華繚乱と続く竜尾大車輪の2回、もしくは竜牙竜爪の1回をそれぞれ含むタイミングとなるため、トゥルーノース1回あたり1.5回分、方向指定のあるウェポンスキルを無視できるものと仮定する。

その仮定のもと計算したものが以下となる。

すべての仮定を考慮した最終的な結果として、
10分間の戦闘中に使用するウェポンスキルの回数が248回であるのにもかかわらず、
方向指定を取る必要がある回数はおよそ1/7の35回程度で済んでしまう
ことになる。

”方向指定を取る”という行為が”やりこみ要素”や”遊び”になっているかという議論はさておき、
ここまで方向指定が減ってしまうと、プレイ時にストレスが緩和されるというよりは、むしろ遊びの幅を奪われてしまうような感覚になってしまうのではないだろうか?

「これくらい少なくてもいいよ」というプレイヤーももちろん一定存在するとは思うが、一方で「遊びごたえが足りない」というプレイヤーもいると思う。
”方向指定を減らし、ストレスを減らすことが、必ずしも良い結果に繋がるわけではない”という考え方があるということを留意しておく必要があると思う。

まとめ

ここまでの内容はほとんどすべて何らかの仮定を前提としたもので、実際の戦闘においてはこの想定以上に方向指定を要求される場面があるかとは思う。
また、バーストタイミングとギミックのタイミングが重なるような場合、
ドラゴンサイトが無いと、緩和されていたとしても方向指定が取り切れないような場合もあるだろう。
ただ、それらの問題については”竜騎士というジョブの設計”の問題というよりは、”方向指定が取りにくい状態が続いてしまう”、また、”バーストタイミングとギミックタイミングが重なる”ような設計になっている、コンテンツ側の設計に本質的な問題があるように思う。
なぜなら、それらは竜騎士に限定した話ではなく、前者であればメレー全体、後者であればすべてのジョブに共通して言えることだからである。

個人的には、ドラゴンサイトの削除と方向指定の緩和を含めて、竜騎士の調整には納得しているが、
一方で、吉田P/Dが以前インタビュー記事で述べていた、”コンテンツの作り方の見直し”という、バトルコンテンツの方向性が転換されるという点を含めると、零式の実装されるPatch7.05以降においてはジョブシステムの調整なども場合によっては行ってほしいという考えもある。

そこを目指すにあたって、7.Xシリーズからはコンテンツの作り方そのものを少し見直しました。というのも、近年のコンテンツ制作現場では、とにかく“ポジティブな印象で遊んでもらうため、ストレスが増える要素を極力排除していこう”という考えが強く働くようになっていました。これ自体はまったく悪いことではないのですが、客観的に見ると開発のやりかたとして、やり過ぎた場合マイナスな部分もあると感じたのです。

フォーラムなどを見ていると、主観的で整理されていない意見や、語気の強い意見などを多く見かける。
また、ポジティブな意見は埋もれてしまいがちで、ネガティブな意見はエコーチェンバー式に広がってしまうのが昨今のSNSなどの特徴であるように思う。
自身が愛着のあるジョブの境遇について嘆く気持ちは強く理解できるが、
右に倣えで否定的な考えや発言を持つのではなく、自身で論理的に分析をして正しいかそうでないか判断することが肝要ではないかと思う。


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