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性同一性障害の現状

まえがき

 この記事は個人の独学と現状に対する主観が記載されております。
かつ、下記ブログへ記載したのが2012年と古い記事であるため、使用する用語等が古い場合がございますので、あらかじめご了承ください。
 また、気になる点がございましたらば、是非、病院での診察・判断を仰ぐようにしていただけたら、幸いです。
Creation of World | 性同一性障害の現状

以下、記載する記事は、ICD-10 国際疾病分類第10版(2003年改訂)を基に用語等の記載を行っております。

性同一性障害(GID) [DSM-5 : 性別違和]

説明

 身体上の性と精神および社会的な性役割が一致しない状態を指す。
性別違和感を、明瞭な自覚症状として示す場合もあれば、どことなく違和感を感じ続ける場合もある(個人差が大きいということ)。
 病態分類としては「適応の障害」に部類すると考えられる
("性自認"と"自分の身体の性"とアンマッチである為)。

 発症率は、原因特定に至っておらず母集団が定義出来ないため不明。
ただし、家庭環境、社会環境における抑圧、親戚・知人・友人等周りから受ける影響等、意思表示困難・不可となっている場合もあり、公になっていない人数も相当数存在するのでは、との推測もある。

 尚、現状(2013年頃) の統計情報では、日本には約5万人程の患者が存在する。

 (あまりメジャーでないと思うが)方向性を示す次のような呼び方もある。
・MTF:Man To Female:男性から女性への場合を示す
・FTM:Female To Man:女性から男性への場合を示す

診断基準

症状の度合いにより、次のように診断区分される場合がある。

性転換症:
 「社会上および生活上を異性での性役割としたい」事に加え、
「自身の誤った性の身体を正しい性の身体に治したい」意思を示す場合に診断される。
・TransGender(TG):"性自認"と"身体の性"の一致を強く望む("社会で認知される性"も、"性自認"と一致する事を強く望む)
・TransSexial(TS):"性自認"と"社会で認知される性"が一致する事を望む("身体の性"と"性自認"が一致する必要性までは感じない事もある)

両性服役割倒錯症:
 「異性の服を着用することにより、自身のアイデンティティを得られる」という状態を指す。
 「自身が望む性の服を着用することで、性別違和感が解消する」
という場合に診断される。
 ただし、性別違和感が無い(性同一性障害ではない)方との混同を避ける為、医師側は十二分にコミュニケーションを図り、判断を行っている。
・TransVestite(TV):"性自認"と"社会で認知される性"が生活の一部で一致する事を望む("身体の性"と"性自認"の一致は必要ない)

 以下は、混同されがちだが、性同一性障害とは全く別であり、完全に切り離した上での診断が必要

性的嗜好(フェチズム):
 "個人の嗜好"及び"性格"部分に関わる箇所であり、"性自認"とは全く異となる。

同性愛:
 MTFで女性に惹かれる、FTMで男性に惹かれる等、複雑な様相になる場合がある。同性・異性への好意が自身の性自認のズレと思いこんでしまう場合が良くある模様。

発症要因

 発症メカニズムは明確ではないが、胎児期の゛ホルモンシャワー゛が影響しているのではという説が有力。

 初期の胎児は両性具有(詳細には異なるが、男女両方の機能に成長する”基”を持っている)であり、胎内の成長過程で、片方は消滅するように出来ている。
 実は、”何も特別な変化が起こらなかった”場合、女性型となるように作られている。
 男性型への変化は、胎児が持つY型染色体の反応により発生し、胎内の男性ホルモン量が増加するタイミングが存在する。
 ちなみに、短時間に目一杯浴びる様子から、"ホルモンシャワー"と呼ばれる事もあるそうだ。
 この現象により、脳では「女性脳」から「男性脳」へのスイッチが入り、身体は第一次性徴の分岐が行われる。
(下記サイト「産婦人科の基礎知識」など、検索するとこの辺の情報はネットに掲載されている)
http://www.san-kiso.com/sannka/seibetu.html


診断上の注意

 診断のためには数ヵ月など比較的長い期間を設けてテストを実施する(ライフテスト、等) 事がある。
 例えば、ライフテストの場合、テスト実施期間を通して、本人が性自認をどう感じたか、実際に望む性での生活で自身の変化はあったか、等を観て、診断基準が作成され、その後の診察や指導等の方針を決定する。

 誤診する可能性が高く、当人にとっても今後の生活や振る舞い等、人生に大きく関わる疾患である。
 現在、性同一性障害の正式な診断書とするためには、セカンド・オピニオンが必須事項となっており、かつ、二人以上の医師が同じ診断とならなければならないことになっている。

治療・対策

 自己意思、及び、診断の度合いにより、異なる。

共通アプローチ:
 "性自認"と同じ"社会で認知される性役割"にて生活すること。
親・親戚・友人・学校または職場関係者の理解と補助が必要となるため、事前に説明等を行う必要がある。

性別ホルモン剤の投与:
 体全体を"性自認"に近づけさせる方法。性別ホルモン剤を投与することで自身の第二次性徴をコントロールし、体を変化させる。
 ホルモン剤が使用される目的の多くは、「ガン治療」および「更年期障害」等であるため、副作用リスクが非常に高い(特に血管系および肝臓系)。
 処方のためには医師二人以上が同じ診断をしたという診断書が必要。かつ、日本では二十歳以上の成人でないと、病院から処方箋を出す事が出来ない。
 第二次性徴がほぼ終わる時期まで待つ必要があり、その間に本人が受ける精神的ストレスは相当な負荷となるため、現状では、個人輸入等を利用して海外の性別ホルモン剤を入手するといった方法を取る方も。
 服用開始以降は体調管理に特に注意する必要があり、定期的な診察・検査を受ける事が望まれる。
 尚、ホルモン剤を使用しての身体形成には、最低でも3年は要すると言われている。また、一度投与を始めて1ヶ月以上継続した場合、元の身体に戻る事が出来なくなるというリスクも存在する。

性転換手術:
 性指定適合化手術と呼ばれる場合もある。自身の求める性としての身体へ修正するための手術。不要な部位の切除、および、自身に無い部位の成形が主。
 改めて言うまでも無いが、一度手術を行うと、元の身体に二度と戻らない。担当医と本人との綿密なコミュニケーションが図られる模様。
 場合によっては性別ホルモン治療を事前に行い、有る程度の土台を作ってからでないと手術を行わないという判断をする所もある模様。
 最近では、身体への負担を軽減する(性別ホルモン治療の効果を上げる)為の手術もあるようだ。

参考文献、サイト
・精神医学ハンドブック(第5版):山下格 著:日本評論社
・国際疾患分類第10回改訂版(ICD-10,1992)より、「精神および行動の障害」F64項[性同一性障害]
・TSとTGを支える人々の会(http://www.tnjapan.com/home.htm)

以降、個人的な意見や主観等...

 最近では、以前に比べ、世間の認知率自体は上がっているように思われる。しかし、メディアの影響が大きいとは思うが、何でもかんでも「オネエ系」のように、
「同一視」をする傾向は、以前から全く進展が無いと感じる。
これはメディアに出て存在を知ってほしいという本人達の意思とは裏腹に、
番組製作側が全くその事について理解を示していないのが原因と思われるのだが・・・。
(そういう扱いぐらいしか見た記憶が無いため、尚更そう感じざる得ない)

失礼ながら名前を出してしまうが、はるな愛さんや椿姫彩菜さんは、人知れず、長年の苦労の甲斐あってこそ手に入れた現在の姿と立ち位置。
 詳しくは分からないがその間の負担および苦痛は相当な物だったのだろうと思う。
 前述した性別ホルモン剤での治療は、(記事記載の2012年現在) 保険適用外の薬であり、年間で係る費用が数十万に到達すると言われている。
故に、治療費が生活費を越えてしまうことも多く、かつ、社会上の認知不足から十分な職が得られず、困窮するといった事態も起こりえる。
 そのため、治療費を稼ぐために、水商売をやらざる得ないという話も良く聞いた。
 職が得られにくいことと、社会上の認知不足については、「社会の性役割」の考え方が割と関わってくるようだ。
 この辺は、当事者ではない自分が語れる内容では無いため、今回は避けさせて頂く。
 (検索すれば、様々な方々が自身の体験を語ってたりするのでそちらをご覧ください)

 さて、ここまで読んだ方々は何故、自分がここまで知ることになったのか不思議に思われるだろう。
 端的に言えば、友人に身近に居たため、現状と苦労、そして苦悩を目の当たりにしたためである。

 それでも、強く自分らしく生きていこうとする彼ら彼女らへ称賛の意と共に、これからも、影からではあるが、心から応援したい。

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