ならざきむつろさんの「ものかきさんにちょうせんじょう」やってみた!

誠に僭越ながら、ならざきむつろさんの企画に参加・挑戦してみました。

原作及び他の方の投稿はコチラ。
https://note.mu/muturonarasaki/n/n1302d3ed591a

title: 電脳戦線

「先輩、有った、有りましたよ!」 
首に巻いたネッククーラーで涼む私に、隣で手に持ったハンドマッサージャーで無表情にモニタと向かい合っていたはずの後輩の隼人が、突然威勢良く声をかけてきた。 
「お?どれどれ――」 
私が隼人のモニタを覗き込むと、黒の背景目一杯に広がる文字列の中に、一際目立つ1語句に目が付いた。
「お、脆弱性だな」 
「脆弱性!――って何ですか?」 
不思議そうに私を見つめる新人の颯に、私は無表情に応える。 
「今の言葉ではセキュリティホール、だったかな」 
「セキュリティホール?!うそ?!やりました!」 
私の答えに、隼人はハンドマッサージャーを握りしめながらバンザイした。連日徹夜の影響でふらついている。 
「おいおい、転ぶなよ」 
「はい!俺、リーダーにも報告してきます!」 
隼人がそう言って駆け去っていくのを見送った私は、改めて手元のモニタを見つめる。
見覚えのある1語句は、ハッカー対策用に私が過去に手掛け仕込んでおいたダミープログラムの一部だった。
「さて、どうしたものか」 
私は一人呟くと、背中に冷たい物を感じながら過去の自分との闘いに没入した。

(487文字)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?