こいしぃ


川の近くで育った
山があって、田んぼがあった
カエルとかカタツムリとかバッタとかがわんさかいて
昼も夜もにぎやかだった

19歳で引っ越しをした
田舎とも都会とも言えないところ
少し歩けば森があり、
人工的ではあるけれど池とか緑の公園があった

雨が好きだった
海も好きだった
“水”が 好きだった

地球上で、
太陽に依存しない生き物はいても
水に依存しない生き物はいない

常にめぐり続ける

日本もブラジルも南極も
どこの国とも言えない深海にも


厨二病くさいと思いながらも
雨が降ると

「この雨はどこからきた水なのか」と考えずにはいられない
南の方から来たのか?
その前は?
もしかして誰かの体内を巡ってから降ってるかも知れない

化学式に直せばたかが水素と酸素の化合物で
水が水としてのみ循環しているわけではないことは
私も重々承知なのだけれど


水が恋しい


そして今
なんとも言えない乾きを感じていて
水を求めるかのように
何かに飢(かつ)えている

何にそんなに餓(かつ)えているのだろうか
私は何になりたいのだろうか
どこかに行きたいのだろうか
これは本能だろうか
それともただの気分で、疲れているだけなのだろうか

水が恋しい
昔育った田舎のカエルやバッタやカタツムリも
私と同じように水を恋しがっていたのだろうか……



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