見出し画像

20220906-20230317

前回の日記から約半年、文章を書きたくなったので書いている。
例によって現実で特に変わったことはない……と言いたいところだが12月頃に引っ越しをした。現実の話終わり。

最近なにをして過ごしているかと言うと今までと何も変わらずアニメや本を読み号泣したり感動したり様々な対戦ゲームで怒りの感情を増幅させているわけだが、一つ新しいことがあるとすればUnityを触り始めた。
なぜそんなことを始めたかというと、VRChat先達の友人に連れられて行ったアバターミュージアムという有料無料問わず多くのアバターが展示されたワールドでたくさんのアバターを眺めていたら一つ(一人?)のアバターに交通事故のような一目惚れをしてしまい、勢いのままそのアバターを購入したからだ。
知識がない状態でUnityに向き合うのはとても苦しく、わからないことを解消するために検索をするとまたわからない言葉や概念が新たに登場してきて常にあの有名なFF13のコピペ(パルスのファルシのルシがコクーンでパージ)を読んでいるような気持ちで何度も部屋で大声を出して発狂していたが、これも先達の友人たちの助力のおかげで自分の望む形に改変(主にアバターの容姿を変更することを指す)することができて本当に嬉しい。

本当にかわいいね

見てわかるようにそんなに特別な改変は施していない(基本的には服装を一般に販売されているものに着せ替えたり色変えをした程度)だが完成したアバターを見るとプリセットのアバターよりも何倍も愛着が湧いているから不思議だ。あとはサンプルアバターを着ているときには感じなかった所有欲が満たされるのも興味深い。データ上はほとんど差異がないテクスチャとボーンの集合体なのに、自分がなにに価値を見出しているのかなんとなくわかって面白い。おそらくは希少性だろう。


アバターを完成させてから毎日自分のアバターを踊らせることができるワールドでダンスを眺めているだけだったが、最近重い腰を上げてHMDを購入した。(上の写真はHMDを被って即撮影したもの)
デスクトップモードではある種俯瞰的な視点でアバターを見ることができたため、ただなにも気にせず可愛さを享受することができていたが、HMDを通して美少女アバターと同一の視点を獲得することによって鏡を見た瞬間にアバターとの同化現象を起こさないか本当に不安だったが、意外とそんなこともなく今までと変わらず俯瞰的な視点からアバターを認識することができて安心したので今度はダンスではなく自撮りばかりしている。仮想現実を手に入れるためにHMDを導入したというよりは好き勝手にポーズを取らせるためにHMDを導入した格好になってしまっている。
特に他人と交流せず自撮りを繰り返していたがこれではいかんと思い興味のあったワールド探索を始め、その中でも『凸凸デコレーション!!』というワールドにとても感動したのでそれについて書く。

凸凸デコレーション!!の詳細は上の記事を読んでもらうとして(書くのが面倒なので)、おれがこのワールドのなにに感動したかというとそれはVRでしか成立しないメタ的な物語への向き合い方へのアンサーという点だ。


凸凸デコレーション!!は架空のゲームだ。支柱となる物語は描かれておらず、回想シーンのみで構成されている。その回想も各シーンの繋がりは薄く、それぞれが独立した小話として成立する。一つのシーンあたりの文章量も精々100~300文字程度で短く、物語というにはかなり簡素だ。

世界で一番短い小説はヘミングウェイが書いたといわれる(諸説あり)「For sale: baby shoes, never worn(売ります。赤ん坊の靴。未使用)」というのは有名な話だが、この6つの簡素な英単語で構成された文章と前述した凸凸デコレーション!!を読んだとき、おれ達はなににストーリーを見出しているのか?それは余白である。
文章化された輪郭のすぐそばに確かに存在する輪郭のふち、そこに描かれた文脈を読み空想を膨らませ、自分の中にだけ存在する物語を作り出し、それがストーリーとなる。
こういった作風は最近の考察ありきのホラー作品などでよく見る手法ではあるが、凸凸デコレーション!!はそれだけで終わっていない。このゲームはVRChatのワールドにのみ存在するゲームである、という点だ。
凸凸デコレーション!!を終了するとVRChat内の部屋に戻ってくるわけだが、その部屋の中には凸凸デコレーション!!のグッズが所狭しと置かれている。
アクリルスタンド、抱き枕、キーホルダー、マグカップ、設定資料集(もちろん架空のもの)。おびただしいグッズの数々によって作品への愛を視覚化することで、否が応に我々の中の凸凸デコレーション!!の実在性を高めている、というのが一段高い位置でのメタ視点になっていてもはや恐ろしい。

余談だが凸凸デコレーション!!のイラストは全てNovel AIによって出力されており、全てのアチーブメントを達成すると失敗した出力イラストも閲覧できるようになるが、最近話題の画像生成AIがイラストを出力する手段と前述のストーリーはどこにあるのか?という問いは似ているな、と思う。
画像生成AIは機械学習によって膨大な数のイラストを認識し、それぞれのイラストの顔らしいパーツや体らしいパーツを評価しそれらを組み合わせて一枚のイラストを出力するが、あくまでもそれはイラストから要素を抜き出してそれらしいものを作り上げているに過ぎない。凸凸デコレーション!!をプレイし、文章化された要素から空想を膨らませ物語を作り出したおれ達となんの違いがあるのだろう。(これは考えすぎかもしれない。)

ただ物語を読むのではなく自ら体験できるというのがVRのいいところだと思うのでこれからはこういう体験ができるワールドを探して行きまくろうと考えているがあまりめぼしいものがないのでVRChatにそれを期待するというよりは普通にVR対応でストーリーのあるゲームをプレイしたほうがいいのではないか、という気持ちにもなってきた。なんにせよゆっくり探していきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?